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[北京オリンピック観戦] 鳥の巣は"便衣兵"の巣窟!?
生まれて初めて、世界新記録更新の瞬間を目の当たりにすることができました。
8月20日、北京の中国国家競技場(通称:鳥の巣)でオリンピックの陸上競技を観戦したのです。ご存知の通り、この日に行われた男子200メートルでジャマイカのウサイン・ボルト選手が19秒30で世界記録を更新しました。とあるオリンピック・スポンサーからいただいたチケットは、トラックゴールに近い1階スタンドの17列目で、ゴールを切りそのままトラックに倒れこんみ、起き上がってガッツポーズをとるボルトを目の前でみることができました。
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さて、オリンピック観戦記は他のブログに譲ることにして、この日"鳥の巣"に出かけて気付いたことをいくつか挙げてみることにします。

[北京の交通]
ナンバープレートの奇数・偶数による流入規制の効果もあり、主要道路のクルマの流れはスムースです。外側の一車線はオリンピック・レーンに指定され、関係車両以外の通行が見つかると2,000RMB(約3万円)の罰金と下手すると拘束が待っているので、さすがに空いています。バス専用レーンの取り締まりも強化されていますから、一般車両が通行できるのは、片側4車線の道路であっても、2車線ほど。ですから、一部では渋滞します。けれども、交通規制前の渋滞ほど酷くない、と言うことです。
北京市民の中では、奇数日は奇数ナンバー、偶数日は偶数ナンバーのみ通行可能と言う、この交通規制をパラリンピック終了後も継続して欲しい、と言う意見が増えているそうです。自動車を運転しない市民はもちろんのこと、いままでクルマで通勤していて、この交通規制にぶつぶつ言っていた北京のスタッフまでが、そんなことを言っていました。
自動車による渋滞が緩和された分、公共交通機関は大変な混雑です。地下鉄は路線にも拠りますが始発から終電まですし詰め状態。バスもかなりの混雑です。
また、オリンピック会場へのアクセスに公共交通機関を勧めているわりに、インフォメーションが不足している感じがしました。
主要会場へはオリンピック専用バスが運行されていますが、運行系統が複雑で、地下鉄駅など乗り換え地点がどこなのか分かりにくい感じを受けました。また鳥の巣最寄の地下鉄駅もバス乗り場も、競技終了後はたいへん混み合うため、通常の路線バスのバス停に向かう観戦者も多いのですが、バス停の路線表示は英語になっていないので、海外からの観戦者には不親切な感じです。

[ダフ屋さん]
鳥の巣に向かう路上には、いたるところにダフ屋さんがいました。
不思議なことに、鳥の巣周辺の路上には、制服警察官や武装警察などのイカツい人たちがほとんど姿を現していないのです。
私は04年にサッカー・アジアカップの決勝戦(日本対中国)を北京の工人体育場で観戦しましたが、このときは周辺道路に既に多くの警察官や武装警察が、完全武装で配置されていました。北京オリンピックでもメディアでしつこいほど会場警備のイカツさを報道しているので、凄いことになっているんだろう、と思って出かけましたが、鳥の巣の周辺道路には装甲車が配備されていることも無ければ、制服の武装警察が盾を持って並んでいることも見かけませんでした。
そんなわけか、ダフ屋さんも鳥の巣のゲート前で堂々と商売をしておりました。
私は競技開始の19時を30分ほど過ぎてから到着したのですが、定価800RMBのチケットを500RMBで売っていました。この日は劉翔が出るはずだった男子110メートル・ハードルの準決勝があったので、チケットがダブついてしまったのでしょう。翌日のチケットは、1,000RMBとか2,000RMBとかかなり強気で売っていましたが。
買い手の多くは、欧米人でした。どこかに隠れていた公安か警察官が、取引成立と同時に飛び出してきて捕まえるのかと、ドキドキしながらみていましたが、何の取締りもありませんでした。
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中央の白シャツ青年がダフ屋さん


[安全検査]
前述の通り、競技開始後に会場に到着したためか、長い行列はありませんでした。ライターと飲食物は持ち込めない、と事前に掲示があります。大きな荷物を持った人の列とそうで無い列に分けられ、最初に偽物を判別する装置によってチケットをチェックされます。次いで、荷物をX線に通して、ゲートをくぐる、と言う手順でした。
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安全検査ゲート。イカツい制服は目に付かない...


横断幕やメッセージ性の高い掲示物を没収された、と言う日本の報道があったので、かばんの中身をいちいちチェックされるのかと思っていましたが、金属探知機を通すだけでした。身体検査のゲートも、ベルトのバックルや指輪・ピアスでもピ・ピ・ピと警報がなってしまう中国の空港より、厳しはありませんでした。
この程度の検査ならば、"Free Tibet"のバナーくらい、容易に競技場に持ち込める感じです。
しかも驚いたことに、この"安全検査"エリアにも、制服の警察や武装警察の姿が無かったことです。安全検査を行っているのは、お馴染みになったブルーとホワイトのスポーツ・ウェアを身にまとった"ボランティア"の人たち。私が通過したレーンでは、どうみても学生としか思えない、女の子が数人、ソフトな対応をしてくれました。イカツい公安や警察官の姿を目を凝らして探しましたが、見つけることはできませんでした。
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安全検査の"ボランティア"の女の子とチケット判別装置


[スタジアム]
中国の国民的ヒーロー劉翔が出場しないからでしょうか、観客席は7~8割くらいの入りでした。それでも、壮大なスタンドはほぼ観客で埋め尽くされているように見え、圧倒される雰囲気でした。
想定外だったのは、鳥の巣周辺の道路から指定されたスタジアムのシートに座るまで、制服の警察官や武装警察などイカツい警備の人たちの姿を一切見つけることができなかったことです。
指定された入場口でチケットのもぎりがありましたが、ここも例の"ボランティア"スポーツ・ウェアを着た学生と思しき人たちでした。指定通路でシートを案内する人たちもそうでした。1階スタンドの各通路には、2~3名の"スタッフ"が観客のほうを向いて立っているのですが、これもブルーとホワイトの"ボランティア"スポーツ・ウェアを着た人たちです。
とにかく、こんなにもソフトな警備を行っているとは思いもしませんでした。
もちろん、中国のことですから、そんな甘くは無いはずです。私が観戦するスタンドにも、きっとたくさんの公安や警察や武装警察が隠れていたのでしょう。少なくとも私の感じた限り、通路に立っている"ボランティア"スポーツ・ウェアの"スタッフ"は、武装警察官か何かでしょう。大学生と変わらないくらいの年齢ですが、身のこなしが違いました。トラックのほうを振り返ることなく、常にスタンドの観客のほうを向いているのです。穏やかな表情を心がけていたようですが、観客を常に監視してる雰囲気がありました。
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お馴染み"ボランティア"スポーツ・ウェア姿の(恐らく)武装警察官


きっと、通路に立っている"スタッフ"の周囲には、観客にまぎれた"応援部隊"がいて、"スタッフ"が不穏な動きを察知したら"応援部隊"に合図して、未然に取り押さえるようになっているのではないでしょうか。
いっぽう、学生の"ボランティア"と思しき人たちは、観客とともに競技に見入ったり、ひと気の無いところでだらしなく休憩をとっていたり、と通路に立っている"ボランティア"に身を扮したプロの武装警察とは、明らかに緊張感の度合いが違いました。

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業務をサボって観戦する"ボランティア"スタッフ



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すっかり疲れてゲート付近で休憩中の"ボランティア"


それにしても、イカツい制服警備による"抑止力"が無いので、いたずらごころに"Free Tibet"のバナーでも掲げてみたい衝動に駆られてしまいました。きっと立ち上がった瞬間に、観客にまぎれていた私服武装警察官によって、取り押さえられてしまうのでしょうね。そして、競技観戦に夢中の周りの観客が気付かないうちに、どこかに連れて行かれるのでしょう....。
なお、スタンドの最前列には、警察の制服でも武装警察の制服でもありませんが、明らかに警備員とわかる”制服"を着た警備員が配置されていました。これは日本のドームコンサートでも配置されるシミズスポーツの警備員みたいな感じで、差ほど違和感や威圧感はありませんでした。


オリンピック開幕前は、かなりの緊張感があった北京ですが、開幕して10日以上経ってしまい、緩んでしまったのでしょうか。北京市内の状況について、ある北京市民は馴れてしまったのだ、と言っていました。相変わらず市内の至るところに、"制服"警察官は配置されています。でも、"制服"の人数は明らかに減らされています。
社区(町内会)のおばちゃん、おじちゃんたちが、"ボランティア"ということでオリンピック・スポンサーが提供した真っ赤なポロシャツを着て、市内を歩き回っています。表向きは「道案内」らしいのですが、英語が通じるような人はごく少数です。こうした"ボランティア"のおばちゃん、おじちゃんの中に、公安や武装警察が混じっている、と知人の北京市民は言っていました。

海外メディアの批判をかわし、和やかな雰囲気を作り出そうと、ソフトな警備を心がけている当局の姿勢が強く窺われました。その裏を返せば、北京市内にも鳥の巣スタジアムにも、その他の競技会場にも、たくさんの"便衣兵"(制服を着ていない公安、警察、武装警察、人民解放軍の人たち)が入り込んでいて、しっかりと監視と警備をしている、と言うことなのでしょう。

思い起こせば、世界を駆け抜けた北京オリンピックの聖火リレーで、聖火を"守った"人たちこそ、"ボランティア"と呼ばれ、いま北京オリンピックの会場で"ボランティア"をしている人たちと、同じブルーとホワイトのスポーツ・ウェアを身にまとっていたわけです。
聖火リレーの頃は、聖火を守る"ボランティア"がほんとの素人ボランティアだと信じた人は、居なかったはずです。妨害者から聖火を"守る"身のこなしは、どうみてもプロですし、厳しく怪しい奴らだという印象を抱いた方が多かったはずです。
でも、いま北京では、例のブルーとホワイトのスポーツ・ウェアを着た"ボランティア"の人たちが至るところに居るわけです。そして、多くの人たちは、親切な"ボランティア"だと疑っていません。もちろん、その多くは親切なボランティアなのですが、中には聖火リレーで聖火を"守った"ような人たちも混じっているわけなのです。
あのウェアのイメージを変えてしまった、中国当局の戦略は見事なものだと言えるでしょう。
# by pandanokuni | 2008-08-23 02:09 | 社会ネタ
外国人の中国への出入国と滞在期間中の法律ガイド(57項目)
これからオリンピックを見に北京まで出かけられる方は、差ほど多いとは思わないのですが、万が一お出かけの際には、中国当局が公表した、以下の57項目をしっかり頭に入れて、拘束などされぬようご注意くださいね。

(1)中国は法に基づいて外国人の合法的権利を守る。
(2)中国の法を順守し、国家の安全を脅かしたり、公共の利益を損害または公共の秩序を破壊してはならない。
(3)行政機関の処理に不服の場合、行政訴訟などを提起できる。
(4)弁護士を雇用できる。
(5)未成年者はディスコ、ネットバーなどそぐわない場所に出入りできない。未成年者に色情、暴力性のある出版物や音楽画像製品を販売してはならない。
(6)ビザや証明書を改竄(かいざん)してはならない。
(7)入国前にはビザが必要。
(8)次のような外国人は入国できない。
中国政府に強制退去させられた者▽入国後、テロ、暴力などの活動を行うと認識された者▽密輸、麻薬販売、売春をすると認識された者▽精神障害、ハンセン病、性病、開放性肺結核など伝染病を患う者▽滞在費が不足する者▽国家の安全に危害を及ぼすと認識された者。
(9)五輪切符の購入は自動的なビザ供与とは関係せず。
(10)パスポートの紛失は派出所に届けること。
(11)伝染病を引き起こす可能性のある荷物などは検疫を受けること。
(12)許可を得ない者は就業できない。
(13)各種武器、弾薬、爆発物、偽造貨幣に加え、中国の政治、経済、文化、道徳に有害な印刷物、フィルム、録音、CDのほか、各種毒薬、ヘロインなど麻薬類、有害な動植物、疫病を広げる食品など-は持ち込めない
(14)入国の際、持ち込める食品には制限がある。
(15)持ち込めるペットは1匹。犬と猫のみ。
(16)外貨の持ち出しには制限がある。
(17)出国にはパスポートなどが必要。
(18)刑事案件の被告と司法機関から容疑者と認定された者、中国の法律に違反し未処理の者などは出国できない。終結していない民事訴訟当事者も同じ。
(19)国家の秘密に及ぶ印刷物、録音、録画物など、貴重文物、絶滅にひんしている動植物などは持ち出せない。
(20)滞在先を明確にし公安機関などに届けなくてはならない。外国人が中国人宅に泊まる場合、都市では24時間以内に、農村は72時間以内に届けること。
(21)外国人宅に宿泊する場合も届けること。
(22)衛生と文明性を保つため地下道、公共の場所などでの野宿を禁止
(23)臨時的に部屋を借りることが可能。公安機関での登記が必要。
(24)交通ルールの順守。
(25)中国で車などを運転する場合、中国政府発行の免許証が必要。
(26)外国免許を持つ者は手続きし、臨時免許証で運転できる。
(27)外国から車両を持ち込めるが関係規定手続きを経ること。
(28)中国で車両を借りることが可。免許証が必要。
(29)いかなる店も外国人を差別してはならない。
(30)買い物やサービスを受けるとき、権利を侵害された場合は賠償を請求できる。和解または消費者保護協会の調停を受けたり提訴ができる。
(31)ホテルやレストランなどで嘔吐(おうと)や下痢などの症状が出た場合、まず衛生監督部門に通報。工商行政管理部門に検査を要求することも可。
(32)無許可で対外開放されていない場所に入れない。
(33)団体旅行では必ず契約を結ぶこと。
(34)旅行で権利を侵された場合、旅行管理部門に訴えることが可。
(35)中国での娯楽施設とは、クラブ、ディスコ、カラオケ、バー、ゲームセンターなどである。
(36)娯楽施設では午前2時から8時まで営業不可。
(37)娯楽施設では、麻薬類販売または使用、脅迫や教唆、詐欺、賭博、色情行為などをしてはならない。
(38)治療が必要なとき、外国人はいかなる医療機関にも行くことができ、費用は中国人と同じである。
(39)一般的な薬は薬局で購入できる。
(40)患者は自らの検査記録などをコピーできる。
(41)医療事故の場合、民事的に争うことができる。衛生行政部門で調停を申請でき、提訴も可能。
(42)五輪のロゴマークで商業活動してはならない。
(43)商業活動した場合、商品、違法所得を没収し、違法所得の5倍以下の罰金を科すことができる。詐欺活動した場合、刑事責任を追及され損害賠償責任を負う。
(44)ロゴマーク入りの商品を売るときには規定がある。
(45)外国人は(パスポートなど)関係証明を携帯すべし。公安関係者はパスポートとその他の証明書を調べることができる。
(46)五輪の入場券は譲渡できるが、北京五輪組織委員会の承認が必要。
(47)会場での侮辱的なスローガン、横断幕の展示を禁止。宗教、政治、人種的スローガンを掲げてはならない。
(48)体育の大会など群衆の集まる場所で、▽強引に入場する行為▽花火や爆竹などを放つ▽侮辱性スローガンを展示▽審判や選手、関係職務員を包囲、攻撃する行為▽物を投げる行為-などは禁止。
(49)財産を紛失した場合は派出所に届けること。
(50)泥酔者に対し、公安機関は保護的措置を講じる。
(51)麻薬類の提供、使用、販売は禁止されている。
(52)銃や弓、ナイフなどの所持はできず、刑事責任を追及される。
(53)色情的演技、売春、買春、物品などを使った色情映像などの展示、組織的な放映行為、多人数色情行為は禁止
(54)無線ステーションの設置は許可が必要。
(55)集会、デモは公安機関への申請が必要。扇動、違法集会、制止をきかないなどの行為は処罰される。
(56)公共の場で、中国国旗を故意に焼却、汚す、踏むなど侮辱行為は刑事責任を追及する。
(57)外国人記者は、「五輪および準備期間中の外国人記者取材規定」など関係法、規定を順守すべし。


ふう、日本国もこういうの用意したほうがいいかも。
# by pandanokuni | 2008-08-14 19:15 | 社会ネタ
あっと驚く、北京オリンピックに向けた"規制"一覧表。
北京オリンピックの開会まで1月を切りましたが、北京市民やオリンピック観戦者にとってははた迷惑な規制が着々と強化されています。
在中国日本大使館が、ご親切にもそうした規制を一覧表にまとめてらっしゃいますので、それをベースに突っ込みを入れてみましょう。

「環境オリンピック」と言ってるくらいですから、まずは環境関連から。

7月1日から排ガス基準を満たしていない北京市以外の自動車は乗り入れ禁止。
これまでは、排ガス基準を満たしていない自動車が、ワンサカ走っていた、ということでしょう。

7月20日以降の土木工事や作業は中止。
未だに建築中のビルとかあるんですが、どうするんでしょうね?
外観だけはきれいになるとは思います。あれは1999年、中華人民共和国の建国50周年を祝う式典や軍事パレードが天安門広場を貫く長安街と言う大通りで行われました。その長安街に面する東方広場は1999年当時建設中で、建国記念日の10月1日の半月前にはまだ骨組み状態でした。ところが10日も経たないうちに、外観だけは立派な建物が完成していたのです。当時、大したものだと感心しましたが、中味は空っぽだったそうです。ハリボテだったのです。
北京の工事現場で働く方の多くは、内陸部など経済発展が遅れている地方からの出稼ぎ労働者です。作業が中止されれば職を失うことになりますし、北京を追い出されることにもなります。この施策は環境対策だけではなく、治安維持対策も兼ねているのです。

排出基準を満たさない事業所は操業停止。セメント製造業は生産を一時中止。
ガソリンスタンド、印刷、家具生産など有機排ガスを基準以上に排出する事業所は操業中止。

やはり、普段はすごい排ガスを出している、と言うことなんでしょうね。これだけでは心配なのか、更に不可解な規制。

無風状態など汚染物質が拡散しない気象条件の場合は"応急の措置"を執る。
排出基準を満たさない事業所の操業停止だけでは不安なのでしょう。風が吹かなければ大気汚染は酷くなるので、すべての工場の操業をも止めてしまう腹積もりなのでしょう。それにしても、汚染物質は風で"拡散"させてしまうものだと、考えているのでしょうか。

お次は北京名物の交通渋滞関連の規制。もちろん、その一部は環境対策にもつながるでしょう。

7月20日以降、北京市内を走行できる車両をナンバープレートの奇数・偶数で制限。
お金持ちの方は、奇数と偶数のナンバーの自動車を用意したそうです。

貨物輸送車両は六環路(第6環状道路)より北京市内に入れない。
その六環路の外側に、貨物デポ(集配センター)を用意して、生鮮食料品を含むあらゆる物資を小分けにして市内に搬入させ楊としているのですが、物流のボトルネック出現に、北京の物価は急上昇。市民の不満は高まるばかりです。

北京市内の幹線道路には"オリンピックレーン"を設置。通行証が無ければ走行できない。
きっとオリンピック関係者じゃなくとも、知り合いに偉いお役人がいれば通行証はゲットできるでしょう。そのレーンを走行する車両で、"真の"オリンピック関係者はどれほどいるのか、楽しみではあります。

軽微な自動車事故の当事者は、すぐに現場を立ち去ること。
"軽微な交通事故後の言い争い"は確かに中国における道路渋滞の主要因です。ちょっとした物損事故でも、お互いに道路の車線を塞いだままで、どっちが悪いと言い争いをします。でもこの"御触れ"、随分前に出されていたのですが、いままではあまり効果が無かった感じです。

大雨や深い霧の場合は、高速道路を閉鎖。
何なんでしょうかね、これ??

そして、恐らく当局が最も懸念している治安維持に関連する規制。

地下鉄でも手荷物検査を実施。
7月20日より出迎えなどで空港に出入りする人にも安全検査を実施。
7月20日より北京上空の小型機の飛行やアドバルーンの掲出を禁止。
オリンピック開会式のある8月8日は19:00以降、北京首都空港の離着陸禁止。
オリンピック期間中、デパートなど混雑が予想される施設では入場制限を実施。
電気製品などを郵便などで発送することを制限。

これらは明らかに爆弾テロ対策と言えるでしょう。メイン会場『鳥巣』(中国国家体育場)でオリンピックを観戦予定の方、ご注意ください。
『鳥巣』(中国国家体育場)に、ライターや日焼け止めを含む乳液系化粧品を持ち込むことを禁止。
使い切りライターや日焼け止め乳液は、手荷物検査で没収されそうです。
こちらもテロ対策でしょう。
北京に乗り入れる長距離バスの乗客は、身分証による実名登録を行う。
あちこちでバス爆発の噂が出てますし、当局としてはオリンピック期間中、北京市民以外の"外地人"(地方居住者)はできるだけ排除したいのでしょう。地方居住者に"不穏分子"が多いと考えているのです。
そのいっぽうでオリンピックを契機に、外国人不適格滞在者を追い払う動きもあったとされます。ワーキング・ビザを持たずに就労している外国人やプレス・パスを持たずに取材活動をしているジャーナリストなどが主たる対象と考えられます。一時は、「日本国民に対する15日以内の滞在ならビザ不要」という優遇を中止する、と言う情報まで流れたのですが、やはりオリンピックの集客が心配になったのか、引き続きビザ無し入国と滞在が認められます。

北京市内の空港、駅、主要道路、オリンピック会場周辺を含む主要地区では、オリンピックやそのスポンサー以外の広告掲示を禁止。
これはおまけ。
これは高額なスポンサー料を支払っているオリンピックのスポンサーやサプライヤーの利益を保護するための規制で、北京オリンピックに限らず開催都市が約束させられていることです。こうした規制を掻い潜って、オリンピックのスポンサーでは無い企業の効果的なプロモーションを仕掛けるのが広告会社の腕の見せ所とも言えます。特にスポーツ・ブランドは、オリンピックのたびに非スポンサー企業が裁判沙汰を起こしたりしています。
北京オリンピックの場合、中国広告協会が、オリンピック・スポンサー/サプライヤー以外の企業がオリンピック選手を使用した広告を放映・掲載するのを、7月より禁止にしてしまいました。日本企業でも例えばオリンピック・スポンサーではない東芝が中国の著名水泳選手をイメージ・キャラクターに、オリンピックに向けた大型テレビの広告活動を展開し、オリンピックのワールド・スポンサーであるパナソニックに対抗しようとしたのですが、できなくなってしまいました。
日本ではJOCが「がんばれニッポン」と言うオリンピックの競技会とは別口のスポンサーを募って、原則としてそのスポンサーのみが日本人オリンピック選手を広告で使用できるようにしています。
# by pandanokuni | 2008-07-10 21:53 | 社会ネタ
テロ対策[中国の空港でライター没収]への対策
中国中の警察関係者が北京に集結しているそうです。上海では警察関係者が半分になったので、いまがチャンスとばかりに悪さを企んでいる輩もいるそうです。北京の地下鉄に乗る時には、空港並みの手荷物検査を受けなければなりません。市の中心部では私服の警察関係者が至る所で目を光らせているそうです。
北京オリンピックまでほぼ1ヶ月となり、当局は妨害活動の阻止と揉み潰しに躍起になっているのでしょうが、北京首都空港の第三ターミナルで爆発物が見つかったとか、北京駅で発火騒ぎがあったとか、噂好きの北京人のおしゃべりまでを押さえ込むことは難しいようです。

テロ対策の一環でしょうか、この4月から中国の空港ではライターやマッチを持ち込めないようになりました。手荷物検査で、ペットボトルの飲み物とともに、ライターやマッチは没収されてしまいます。100円ライター(中国だと1RMB=15円位)とは言え、没収されてしまうのはとても残念です。でも没収されたくなければ、また面倒な手続きを経て、預かってもらわなければなりません。

私はライターを没収されない方法を中国の知人から教えてもらいました。
ケータイ電話の裏側にライターをテープで貼り付けて、かばんのポケットに忍び込ませるのです。こうするとかばんをX線検査に通しても、ライターが発見されない確率が高まります。ケータイ電話をひとつの金属の塊として認識するからです。ノートPCに挟み込むのはNGです。ノートPCはかばんから出させられますから、バレてしまいます。ケータイ電話と一体化していても、X線検査を通る角度によってはライターが見つかってしまいますから、かばんの内側のポケットのように動かないところに忍び込ませるのがコツです。
私は、日本と中国のケータイ電話を持ち歩いているので、二つのケータイの間にライターを挟んで、かばんのポケットに詰めて手荷物検査に臨みます。だいたいパスします。
ただし、中国では飛行機内にライターを持ち込むこと自体、処罰の対象になりますから、くれぐれもご注意ください。

さて、喫煙者にとって困るのは、飛行機を降りた後の一服にライターが無いことでしょう。
シンセンの空港では、到着ロビーで使い捨てライターを無料で配るサービスを実施していました。搭乗の際に没収したライターです。なかなか、合理的なアイディアだと思いました。
上海虹橋空港の出口では、こっそりと使い捨てライターを販売しているおばさんがいました。タクシー待ちの列にライターは要らんか、と声を掛けているのです。いくらかと尋ねると、2RMBとのこと。市場価格の2倍。さすが上海って感じです。
北京では、無料配布サービスにももぐりのライター屋にも遭遇することはできませんでした。
各地方の特徴が良く出ています。
# by pandanokuni | 2008-07-05 18:20 | 社会ネタ
エコエコ■中国・レジ袋(プラ・バッグ)禁止令発動■エコエコ
毎朝、会社の途中のコンビニで、紙パックの1リットルのウーロン茶を買います。
1リットルで105円でしかも紙パックだから。ペットボトルのウーロン茶なら500ミリリットルで150円、オフィスの自動販売機でも130円。2倍入って105円だからとてもお得。
コンビニのレジ係は、POSにバーコードを通すと同時に、段取り良く小型のレジ袋(プラ・バッグ)を広げ、お買い上げの紙パック・ウーロン茶をそのレジ袋に入れようとします。私が「袋、要りません」というと、せっかく準備したのにと不機嫌な表情すら浮かべ、お買い上げテープをパッケージに貼ります。
毎朝のことなのに、同じレジ係の時も多いのに、「袋要りません」と言わなければなりません。

出勤のときには、薄手のナイロンでできたトードをぶら下げていきます。帰りに単行本を2冊くらい買ってもその中に納まります。帰宅途中に配偶者から買い物を頼まれても、ワインやネギもすっぽり入れて帰れます。

週末に配偶者と買い物に行くときは、布製のマイバッグを持って出かけます。折りたたむと文庫本ほどの大きさのマイバックでも収納力は抜群。ワイン2本と白菜と大根と1キログラムのパスタと波乗りジョニーとすき焼き用切り落とし牛肉500グラムを入れてもまだ大丈夫。

日本のスーパーでも、レジ袋削減・"マイバッグ"推奨を始めていますが、何も申し出なければ、お買い上げと同時に必要以上のレジ袋を用意するお店が多いようです。「"マイバッグ"持参ですので、袋要りません」と言ったところで、5円か10円値引きしてくれるくらいですね....。

中国では6月1日から『レジ袋(プラ・バッグ)禁止令』(商品小売場所プラスティック製買い物袋有償使用管理辯法)が施行されました。
中国全土の小売店が無料でレジ袋(プラ・バッグ)を配布するのを禁止する法律です。違反したお店には罰金が科せられます。ちなみに西安市では2万RMB=約30万円とのこと(TECH-FOOD CHINA)。
これまでの"レジ袋を配るのが原則"から"レジ袋を配らないのが原則"へのコペルニクス的転換です。
コンビニで会計を済ませると、「袋要りますか?」と尋ねられるのです。「要ります」と言わなければ、レジ袋(プラ・バッグ)は用意してくれないのです。
もちろん「要ります」と言っても、タダでくれるわけではありません。有料です。北京のセブンイレブンや上海のローソンなどのコンビニでは、一番小さい袋が0.2RMB(3円)でした。北京の高級デパートの地下の食品売り場では、大きな袋が2RMB(30円)もしました。ペットボトルの飲み物はコンビニで3RMB(45円)くらいですから、日本の感覚で言うと150円のペットボトル飲料を買って小さなレジ袋に入れてもらうと160円になる、くらいのイメージです。

『レジ袋(プラ・バッグ)禁止令』はスーパーやコンビニに限った決まりではありません。
上海出張の朝ごはんは、道ばたの屋台で湯気を出している肉まんで決まりなのですが、屋台の肉まんを持ち帰るときのプラバッグも有料です。2つで2RMB(30円)のまんじゅうなのに、プラバックに入れてもらうと0.2RMB(3円)プラス。1割も高くなるのです。
ちなみに、この法律はこの4月18日に審議され、5月15日に発布され、6月1日に施行されています。さすが共産党独裁国家。日本だったら、プラバッグ製造業界の反対に遭い、小売店業界との調整に手間取り、1年や2年はかかる話でしょう。

中国経済網によると、この『レジ袋(プラ・バッグ)禁止令』によって、年間1万3,000トンの石油が節約できるとのこと。「大きな油田ひとつ分が節約できる」(中国化工信息網)などと言っている記事もありました。

北京では、レジ袋(プラ・バッグ)をぶら下げて歩いている人が随分減りました。その代わり、野菜や食用油をむき出しのまま抱えて歩いているオバさんを見かけたりもします。マイバッグはまだ浸透していないようです....。
# by pandanokuni | 2008-06-14 19:04 | 社会ネタ