※中国からはExiciteブログがアクセスできない状態でした。
このエントリーは地震発生当日の北京時間2008年5月13日午後10時頃に、上海からlivedoorのほうにアップしたものです。Exiciteブログをご愛読いただいてる方もいらっしゃると思いますので、帰国後にアップさせていただいたものです。 ******************************************** 昨日のエントリーで、今回の大地震に関して、インターネット・メディアと比較するとCCTVなどテレビでの報道や情報公開が遅れている、と書きました。 しかし、その後12日の午後10時からCCTVのメイン・チャネルである1チャンネルは、通常の番組をすべてキャンセルして、終夜大地震に関する特別番組を放送しています。 現地の映像もかなりふんだんに放送されています。もちろん生中継のレポートは無く、編集映像ではあります。生放送のレポートは、CCTVの記者か政府機関関係者の電話によるものですが。 『抗震救災、衆志成城』 CCTVの特別番組につけられたタイトルです。 こんな意味でしょう。「震災に立ち向かい、被災者を救援しよう。人々が力を合わせれば、困難に立ち向かうことができる」 「衆志成城」は、毛沢東さんが詠んだとされる革命詩詞の『井崗山』の一節にあります。 湖南省で力を失った毛沢東らの中国工農紅軍は、1928年江西省の井岡山(井崗山)に籠り、自給自足の解放区を樹立して、"長征"に備えた、とされています。ですから、原典では、「人々の志で、城は成る」と言う意味になります。 2004年、新型肺炎SARSが猛威を奮った折、中国当局はテレビなどのメディアを使ってこんなスローガンで人民に呼び掛けたものです。 万衆一心 衆志成城 科学防治 戦勝非典 (みんなが心を一つにし、力を合わせれば、きっとできる.....科学的な予防と治療によって、SARSに打ち勝つことが。) あのときの胡散臭い情報隠しや操作と比べると、今回の大地震の報道はかなり私の琴線に触れてしまいます。 ミリタリールックの解放軍ではありますが、きっと17~8歳くらいのまだあどけない兵士たちが、素手で瓦礫の山をこじ開けて、女の子を救出するシーン。成都の市内や北京の大学で献血の列に並ぶ若者たち。少なくとも夕べはほぼ徹夜であったと思われる温家宝さんが、降りしきる雨の中、傘もささずに"陣頭指揮"する光景....。 我が日本にもマネをしろとは言えませんが、こういう国はやっぱり"強く"なってしまうのだろうなぁ、と羨ましいような恐ろしいような感じすら受けてしまいました。 大地震が発生した5月12日は旧暦の4月8日にあたり、釈迦(ゴータマ・シッダッタ)さまの誕生日とされる「灌仏会(花祭り)」でもあるのです。 敬虔な仏教徒である知人の中国人は、釈迦佛の警告ではないか、と複雑な表情をしていました。 中国では『ウェンチュエン([サンズイに文]川)地震』と言う呼称が定着しまいましたが、このウェンチュエン県はアバ・チベット族チャン族自治州にあります。3月にはこの自治州に暮らすチベット人と中国当局の間で紛争が起きたエリアでもあるのです。 「新潟県中越沖地震」やら「阪神淡路大震災」やら、日本ですら地震の"命名"は政治絡みです。もし、今回の大地震が『アバ大地震』と呼ばれていたなら、中国国内でも海外でも受け止められ方は、かなり変わっていたでしょう。少なくとも天災の時くらいは、民族や宗教や政治の枠を超えた"人道的な"対応を願いたいものです。 国際社会が注視しているでしょうから、中国当局も"下手な真似"はできないだろうと期待しています。マスメディアをコントロールしている中央宣伝部や国家テレビラジオ総局が、情報の積極的公開に踏み切ったのも、こうした背景があるからだと思います。 少なくとも、CCTVの報道を見る限り、救援の人的物的な緊急支援は、中国国内からだけでも、かなり進んでいるようです。受け入れ体制が整わない状態での緊急支援は、受け入れ先も意外と労力や気を使ってしまうものです。現時点では、仮に外国からの緊急支援の受け入れに消極だからと言って、即政治的な意図を疑うのもよろしく無いように思えます。 日本などが考慮すべきなのは、むしろ復興支援に関してなのではないでしょうか。 ちなみにCCTVのニュースでは、外国首脳からお見舞いの電報や電話があったことも伝えていましたが、アメリカのブッシュさんやロシアのメドヴェージェフをおさえて、日本の福田さんが堂々のトップ扱いになっていました....。
by pandanokuni
| 2008-05-17 17:00
| 社会ネタ
|
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