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観光地・杭州の『宋城』で垣間見る中国の覇権主義。
仕事で行ったはずの杭州でしたが、なぜか観光施設である『宋城』に立ち寄ることになってました。

『宋城』は杭州が首都だった南宋時代の街並みを再現したテーマ・パークで、胡散臭いお土産屋さんが軒を並べている、『日光江戸村』みたいなものだと思っていただいて良いのですが、『宋城千古情』という"全景式大型歌舞"が最大の呼び物とのことで、パンフレットのふれ込みは「フランスのムーランルージュやアメリカのラスベガスを凌ぐエンタテインメント」。世界各国から毎年160万人が見に来ているらしい....。

この種のパフォーマンスやショーは、ディズニー・ワールドのそれを越えるモノは無いだろうと鷹を括っていたのですが、エンタテイメントとしての完成度はかなりのものでした。
世界的な(?)観光地を標榜するだけあって、スクリーンに映し出される解説の字幕は、中国語だけではなく、英語、日本語、韓国語も併記されており、中国語が分からない観光客にも何となくストーリーは理解できるようになっています。

パフォーマンスは4部構成で、第1部は中国の伝説時代、第2部は宋朝の隆盛、第3部は宋朝の滅亡、第4部は未来と世界との絆、と言う感じです。男女数十人のダンサーが繰り広げるパフォーマンス、市川猿之助なみの宙吊り、お馴染みのサーカス的雑技の要素もふんだんに盛り込み、レーザーやPARライトを駆使した照明効果、滝のような雨を舞台に降らせるばかりか、客席にまで霧雨を降らせ、前方の客席が移動してその跡から突然セリが上がってきたり、とディズニーのミッキーマウスのショーを越え、ブロードウェイのミュージカルに迫る本格的なエンタテイメントに仕上がっています。

観光地・杭州の『宋城』で垣間見る中国の覇権主義。_b0047829_143344.jpg第1部で演じられる、この国"十八番"の『梁祝伝説』(悲恋の男女が蝶になるという中国版ロミオとジュリエット)は、中国にしては抑え気味のライティングでかなり幻想的に仕上がっており、第2部の宮廷の女性たちの舞いは美しくかつセクシーでした。第3部ではこの国の英雄にして勇敢に蛮族(!?)金に立ち向かった岳飛がかっこよく登場し、カンフー映画並みのアクションを繰り広げるばかりか、、南宋軍の騎馬隊は馬は本物が登場(テーマパークで観光用馬車を引いていた馬の使いまわしという感もありましたが....)。

第4部はいきなり現代から未来にぶっ飛ぶと言う設定です。まぁ、これまで中国のパフォーマンスでこの種のテーマを表現するとなると、中国の"国力の象徴"と自負しているであろう、大都市部の高層ビルや新幹線まがいの列車、安っぽいロケットなどが登場させるのが常套手段という感じだったのこですが、この『宋城千古情』という舞台はちょいと方向性が違っていました。

なんと突然、背景に富士山が現れ、舞台には桜と思しき樹木が立ち並び、女性ダンサーが和服と思しきコスチュームで、我が日本の『さくらさくら』の音楽に合わせて、日舞と思しき踊りを踊り始めたのです....。これはこれでキレイだったのですが、どうみても日本の雰囲気が出てはいませんでした。
スクリーンの字幕解説によると、"世界は一つ、世界中の友達とともに"みたいな流れで、日本の富士山と『さくらさくら』のパフォーマンスが始まり、次は何故かインド系のダンスが続きます。なぜ、インドなのか不思議ですが、中国では最近インドのテレビドラマやインド映画のDVD(もちろん違法コピーもの)がそこそこの人気なので、中国人の観客に親近感でもあるのだろう、と考えていました。
ところが、次に台湾民族の総称である"高山族"の民俗舞踊が登場したときには、何となく不愉快な感じがしてきました。そして最後の締めは、韓国(朝鮮)の『アリラン』の踊りです....。

つまり、"世界は一つ、世界中の友達とともに"というテーマで、日本、インド、台湾、韓国(朝鮮)の民俗的パフォーマンスが演じられたのです。
観客の中には修学旅行と思しき韓国の高校生の団体がいて、"アリラン"のダンスが始まると一斉に歓声が上がりました。さすがに民族意識が強いと思ったのですが、喜んでいてよいものだったやら!?
ほとんどの観客は中国大陸の人たちです。字幕は中国語のほか、英語、日本語、韓国語でも表示されていたので、アメリカやイギリスを中心とした欧米人、日本人、韓国人などもかなり訪れているのでしょう。
第4部の"世界は一つ、世界中の友達とともに"が、こうした異国からの来場者に対するサービスであるとすれば、『さくらさくら』や『アリラン』が登場するのは理解できなくもありません。でも、インドからの来場者などほとんど無さそうなのにインドのダンスが出てくるのには違和感があります。杭州を訪れる観光客の割合から考えると、アメリカのフォークダンスでも取り入れたほうが合理的なように思えます。

でもこれを、中国中心に"世界は一つ"という発想で考えてみると合点が行きそうに思えます。インド、台湾、韓国は、共産党政権成立後に紛争のあった国や地域です。まぁ、日本も中華思想からすると"属国"の一つに過ぎないのでしょう。ほんとはベトナムあたりの民俗舞踊も取り上げたかったところではなかったのでしょうか?さすがに、アメリカやヨーロッパの国々やロシアには遠慮したのでしょう。
共産党政権の政治原則である"一つの中国"が、北京オリンピックのテーマである"一つの世界"と合体して、いずれは"中国を中心とした一つの世界"へとたどり着くのは、そう遠い未来では無いと考えている人たちがいるのでしょう。

こんなパフォーマンスの中にも、中国の覇権主義というものが浸透しているように感じられた杭州でのひとときでした。

全景式大型歌舞『宋城千古情』の紹介ムービー
by pandanokuni | 2007-05-13 14:03 | 政治ネタ
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