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入出国審査も「サービス、サービス!」 <--葛城ミサトの予告編風。

入出国審査も「サービス、サービス!」 <--葛城ミサトの予告編風。_b0047829_16164836.jpgどんなに海外に行き馴れた方でも、入国審査はちょいと緊張する瞬間ではないでしょうか?
長時間のフライトで疲れているのに、長い行列で待たされて、無愛想な審査官にとことん顔を見つめられて....。パスポートやビザに不都合が無いと確信していても、何かイチャモンでもつけられたらヤだなぁ、なんて思いながら通過する入国審査なのではないでしょうか?まして、共産党独裁政権のお国となれば、なおさら緊張は高まるでしょう。さんざん待たされた挙句、意味不明の中国語で怒鳴りつけられでもしたら、たまったものではありません。

ところが、北京空港(北京首都国際空港)の入国審査は意外にもハートフルです。
「中国公民」と書かれた中国のパスポート所持者とそれ以外の外国人のブースは一応区別されています。到着便にもよりますが、中国人向けブースがガラガラであるにも拘わらず、外国人ブースの前に長い列ができることがあります。そんなときには中国人向けブースの審査官が、行列中の外国人においでおいでと手招きをしてくれたりします。
成田なんかでは、Japanese Passport所持者だけが特権階級であるのではと勘違いするくらい、外国人の行列だけが長々と続くことがありますよね。

最近、入出国審査のブースの前に、怪しげな"4つの押しボタン付き装置"が設置されました(写真の赤矢印部分)。4つのボタンにはそれぞれ、"とても満足"、"満足"、"ふつー"、"待たせ過ぎ"と表記されています。中国語のみと言うところが、あと一歩なのですが、それぞれにニコちゃんマークみたいなイラストが添えてあり、笑っている表情から怒っている表情への4段階変化で、中国語を読めない人たちでも、だいたいの意味は理解できるようになっています。

この"4つの押しボタン付き装置"は、利用者が入出国審査官のサービスについて直接投票するアンケート・システムなのです。ちなみに、出国審査ブース上の電光掲示板には「出国審査官の働きぶりを、ぜひ評価してください」と英語と中国語で表示されています。
入国審査のときも、出国審査のときも、手続きが終わりパスポートなどを返してもらった際に、この"4つの押しボタン付き装置"がピカピカ光りだします。審査官のサービスにとても満足でしたら、"とても満足"のボタンを押してから通過する、と言う仕組みです。4つの押しボタンの上には6桁の数字がデジタル表示されるようになっていて、投票のたびに数字が変化するようですが、この数値が何を表わしているのかは不明です(きっと審査官それぞれの"得点"なのかもしれません)。


入出国審査も「サービス、サービス!」 <--葛城ミサトの予告編風。_b0047829_16181191.jpg北京空港のパスポート・コントロール(入出国審査)は公安部(日本で言えば、警察庁みたいなところ)が行っています。つまり、入出国の審査官は警察官なのです。こうした警察官のサービス態度を、利用者に評価してもらおうという試みは、画期的だと思います。
同じ国でも内陸部の農村地帯では、横柄な態度をとるお役人に対する住民の不満が連日のように爆発していて、そろそろヤバイ状態だ、と伝えているメディアがたくさんあります。
そうしたイメージを抱いて中国にやって来る外国人に、入国審査のお役人が利用者の下僕のようにサービスを提供し、利用者によって評価される、と言う状況を見せてあげよう、と言う魂胆なのでしょうか?
或いは、オリンピック開催まで1年ちょっとと言うのに、高まらない北京市民のサービス意識を、"まず隗から始めよ"と言うことで、足元の警察官からサービス向上運動を始めたのでしょうか?
ちょっと意図不明なのですが、"4つの押しボタン付き装置"はそこそこに、サービス向上効果をもたらしてはいるようです。

とは言え、審査官の目の前でボタンを押すわけです。"待たせ過ぎ"みたいなネガティブな評価をした途端に、パスポートを取り上げられ、別室に連行されて拷問にかけられる、みたいな結末も想像できなくも無いわけで、このシステムによるサービスの評価はかなりのバイアスがかかっているに違いは無いでしょう。
by pandanokuni | 2007-04-10 16:18 | 社会ネタ
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