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権力によるYouTube遮断にもいくつかのスタイルが....。
YouTubeにアップロードされた動画に関して、何らかの損害を被る際の対応の方法は、大きく分けて二通りになるでしょう。
比較的友好的な方法は、YouTubeに当該動画の削除を要求すること
その対極とも言えるもう一つは、YouTubeの当該動画を視ることができないようにネットワーク上の細工をすること

前者の例で言うと、日本のテレビ局なんかが躍起になってYouTubeに削除要求をしているようですが、著作権関係者が権利を守るためにとる措置が多いようです。
ところが著作権侵害とは別の理由で削除を要求したのが東京都選挙管理委員会。YouTube上にアップロードされた、都知事選挙の政見放送の動画が対象で、
公職選挙法で政見放送の回数は決められており、特定の候補者の映像だけが自由に見られる状況は各候補者間の公平を損ね、好ましくないと判断したため、削除要請に踏み切った
そうです(ASCII.jpトレンド)。これは、既存メディアなどの競合勢力が自らの権利や利権の保護を目的としたものではなく、行政権力によるYouTubeの遮断と言えるのですが、その行政権力が何らかの損害を被るから、と言う理由で無さそうなのが、まだ救われる感じです(一応、公平な選挙のため....)。しかも、あくまで削除要求ですし。

国家権力が自身にとって不都合なウェブサイトへのアクセスを遮断すると言う方法は、中国の得意技とされてきました。中国国内から中国当局に不都合なウェブサイトにアクセスすることは至難の業です。YouTubeにアップロードされた動画であっても、中国人民に見せたくないモノへのアクセスは"さり気なく"遮断されます。

この"さり気なく"というところが重要なワケで、例えば2006年10月にチベットで国境越えを目指していたチベット仏教徒の若い修行者たちに中国人民解放軍が発砲して数名を射殺した際の映像は、中国国内からのアクセスがほぼ遮断されてしまいます。いっぽう、中国当局にとってデリケートな地域であるチベットの動画でも、例えば私が撮ったショートムービーなどは、中国国内からもフツーに視ることができます。つまり、チベットに関するあらゆる動画を遮断するのではなく、ヤバそうな動画だけ絞り込んで、こっそりとアク禁にしているわけです。
ですから、気付かないでいれば見過ごすこともできちゃう恐ろしさがあるのです。

いっぽう、国家権力が堂々と(?)YouTubeへのアクセスを遮断したのがタイ王国。政府が国王の顔に細工をした"不敬な"動画をアク禁したそうです(gooニュース)。YouTubeに対し、国家権力として削除を要求したのですが、受け入れてもらえなかったのでアク禁にしちゃったようです。このニュースからだけでは、タイ政府がYouTube全体を遮断しているのか、当該動画へのアクセスだけ遮断しているのか不明ですが、中国のように"さり気なく"遮断したのではなく、堂々と遮断したようですね....。
まぁ、いまのタイ王国は軍事クーデター後の暫定政権なので、アメリカあたりが言うところの"民主度"が低い状態ですから、これはこれで良いのかもしれませんが、国家元首への不敬(タイ王国)と独裁政党への不敬(中華人民共和国)って、似てそうで似て無そうなものなのかもしれません。わが国の皇室を侮辱するような動画(例えば『週刊金曜日』の集会で演じられた寸劇)なんかが、YouTubeにアップロードされた場合、"民主度"の高い日本の政府関係者は、何か対応するのでしょうか?

ある意味"民主主義的な"手続きで、YouTubeへのアクセスを遮断したのがトルコ共和国かも知れません。
インスタンブール第一刑事治安裁判所は水曜日、ビデオが近代トルコの建国者、アタテュルク・ムスタファ・ケマルを侮辱したとして、ユーチューブへのアクセスを勧告ベースであはるが、禁止した。トルコの最大手の通信サービス会社、トルコ・テレコムはこの決定を受けてすぐにアクセスを禁止した。(The Blog HERALD=AP通信電の引用)
建国者を侮辱した動画に対して、裁判所がアクセスの禁止を勧告し、その勧告に接続サービス会社が従った、と言うことになっているようです。

中国のように"さり気なく(?)"遮断しちゃう国、タイのように"堂々と(?)"遮断しちゃう国、そしてトルコのように"民主的に(?)"遮断しちゃう国、ほんと世界も様々だなぁ、と思うきょうこの頃ではあります。
by pandanokuni | 2007-04-06 19:08 | 政治ネタ
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