中国ネタではないのですが、国会で取り上げられるようになり、ようやくテレビや新聞などのメディアでも騒がれ出した「タウンミーティング」について、取り上げてみたいと思います。
質問者への謝礼、常識はずれなハイヤー手配、破格の"調整費"など、良識的な日本国民にとっては、驚くべき実態が次々と国会で暴露されているわけですが、小泉さんの発案で2001年にタウンミーティングが始まった当初から、一部の雑誌では、「無駄遣い」と言う論調で報道されてきたと思いますし、その後は当時長野県知事だった田中康夫さんなんかがタウンミーティングの運営に関わっていた「電通」を名指しで批判したり、"左巻き"と言われている週刊誌が電通を対象とした"総力特集"のシリーズでタウンミーティングの実態に触れたりしていて、多くのメディや広告業界関係者にとっては、"いまさらの既報"と言う感があります。最近になって、テレビや新聞で大きく報道され始めたのは、国会で取り上げられたからであって、なんともお粗末な日本の大衆メディアの実態をまたも曝け出したと言う感じではないでしょうか。 でもフツーの国民は不思議に思わないのでしょうか????? テレビや新聞では毎日のように「タウンミーティングは"大手広告代理店"が運営を行ってきた」と報道していて、その"請負業者"のハチャメチャ振りが毎日のように明らかにされているにも拘らず、私が知る限り、テレビや新聞では、その「大手広告代理店」が実名で報道されていないのです。 良心的に考えるなら、タウンミーティングの"請負業者"は、いまのところ刑事訴追の対象などにはなっていないので、実名報道しないのかもしれません。開始年度の2001年こそ"随意契約"だったものの、2002年度以降は”競争入札"により"請負業者"が決まったわけです。問題になっている費用の内訳も、発注者である内閣府が納得したうえでの受注と言うことになりそうですから、"常識ハズレの見積金額"であっても違法性は非常に少ないのでしょう。 とまれ、耐震強度偽造問題から地方自治体の談合疑惑に至るまで、警察や検察が"正式発表"する前に、疑惑の当事者を競って実名報道してきたテレビや新聞が、タウンミーティングの"請負業者"については、こぞって「大手広告代理店」で通すのは、ちょいと違和感があるのではないでしょうか。しかも、国会では"請負業者"の実名が明らかになっているのですよ....。 11月14日の衆議院教育基本法特別委員会で、社会党の保坂展人議員の質問に対して、内閣府大臣官房官房長の山本信一郎さんが、各年度ごとの実施費用と"請負業者"について実名で答弁しているのです(衆議院テレビ)。 ![]() 開始年度である2001年は当然「電通」です。"随意契約"というのも、建前としては電通がタウンミーティングと言う企画そのものを内閣府に売り込んだことになるのですから、わかり易いわけです。その後は競争入札となり、2002年の前半に朝日広告社が受注しましたが、2003年には電通が返り咲きました。2004年以降は今年も含めて、朝日広告社が受注しています。 注目していただきたいのが「1回当たりの実施単価」です。地方自治体や大学祭などとの"共催"も含まれますし(上表ではカッコで表示)、地域やテーマによって実施規模も異なりますので、一概に比較するのも何ですが、敢えて単純比較してみると、電通が受注した2001年と2003年がヤケに高額であることがお分かりになると思います。 2001年度にはこのイベントのプロデューサーである電通の担当"局次長"の1日あたりのフィーが10万円で請求されていたそうです。さすが高給取りの電通です(推定年収からするとべらぼうなフィーとは言えないのです)。静岡のハイヤーは2005年ですから朝日広告社の手配と言うことになりますが、広告会社のお仕事なんて"こんなもん"なのです....。 ご存知の通り、電通は日本のほとんどの大企業の広告をテレビ局や新聞社に"取り次いで"います。テレビ・キー局の皆さんが高給取りで居れるのも、電通が広告費をしっかり集めてくれるからなのです。ニュース番組が成り立つのも、電通が6割以上のスポンサーを"取り次いで"居るからなのです。『ニュースステーション』の最初の1時間なんて、全部電通が集めたスポンサーのコマーシャルが流れているのです。 新聞だって似たようなものです。販売収入があるから広告主の影響を受けにくい、なんておっしゃる方もいらっしゃいますが、いまや広告収入への依存度のほうが大きいのです。そして、やはり電通がたくさんの広告主を"取り次いで"くれているのです。 そんなわけですから、国会で「電通」の名前が出たとしても、テレビや新聞では「大手広告代理店」にせざるを得ないんでしょう...。 ちなみに「朝日広告社」は、社名が示すとおり朝日新聞社と緊密な関係にあります。資本関係はほとんど無いようですが、朝日広告社の"偉い人"には朝日新聞社からの"天下り"の方が多いですし、電通ほどではないにせよ朝日広告社は朝日新聞にたくさんの広告を"取り次いで"います。朝日新聞にしても「朝日広告社がわざわざ東京からハイヤーを手配した」なんて、書きにくいのでしょう。 そんなわけで、テレビや新聞は「大手広告会社が請け負ったタウンミーティング」と言う伝え方をしているようなのですが、いつまで押し通すことができるのでしょうかね? 『広告減「ナゾだ」 民放テレビ首かしげる』(J-CAST)らしいのですが、謎でも何でも無いでしょう。テレビ局の広告収入が落ち込んでいるのです。「ネット広告の影響は"想定内"」とテレビ局の方はおっしゃっているらしいのですが、あまりにも楽観的過ぎるような気がしますね。貸金業法が改正されると、いままで一番の稼ぎ頭と言っても良かった「消費者金融」の広告、大ダメージでしょ。少なからない日本の大企業の皆さんも、「大手広告代理店」の"常識ハズレのお見積"を精査する必要があるかもしれませんし....。イベント運営の費用もさることながら、日本のテレビや新聞の広告料金は「大手広告代理店」のお力で"高値"を維持してきたわけですから。業界総談合体質の古き日本の広告システムから、「一抜けたぁ」と名乗りを上げる良心的な広告主も、ボチボチ登場することでしょう。 (注)タウンミーティング調査委員会による11月27日の報告によると、2001年度前期の1回当たりの運営費は2,185万円とのことです。上表の開催回数はタウンミーティングのHPから数えたものです。
by pandanokuni
| 2006-12-02 05:51
| 社会ネタ
|
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