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中国における被害妄想は自虐史観と同じくらい前向きではないと思います。
日本企業が中国で叩かれると、反日感情が背景にあるとか中国当局の差し金であるとか、そういう視点で取り上げる日本のメディアって多いですね。
最近で言えばソニーのデジカメやSK-IIの品質問題。前者は初動対応の拙さから被害が広がったと思われますし、後者は厳密に言えば日本製造のアメリカ・ブランドであって、ユーザーなど一部の人たちを除いて日本との関わりを感じてなかったブランドです。どちらのケースも騒ぎの広がりに関するなら、中国人民の反日感情が後押ししたと考えられますが、端緒として中国政府関係の意図的な日本企業攻撃が存在したとは考えにくいのです。
かつてトヨタの雑誌広告が非難を浴びたことなども、「露骨な反日の動き」などと、日本メディアは報道しましたが、中国でバッシングを受けるのは何も日本企業の広告に限ったことではありません

このあたりのことについては、北京に在住のお二方が、私とほぼ同じようなご意見を述べられています。
*『中国消費者の権利意識と品質問題』 10月30日Nikkei BP Net(原 奈緒さん)
*『中国の消費意識:蔑視、差別、倫理観……CMの難しさ』10月29日中国情報局(女子大学院生まやさん)
*ソニーのデジカメやトヨタ雑誌広告など、中国における日本ブランドの悲劇については、お時間が許せば拙ブログ『北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地』をご覧ください。

中国で活動する日本企業や日本人がまったく不利を被っていない、などというつもりは毛頭ありません。結構"意地悪"されるものです。でも、日本企業や日本人だけが特別に標的になっていると断定するのはいかがなものでしょうか。特にビジネスの場合は、成功することを目指して進めているわけです。日本企業だから、日本ブランドだから、日本人だから、中国では不利なんだと嘆いていても、なかなか好転しないと思うのです。日本企業だから"意地悪"される、と考えるのは一種の被害妄想ではないでしょうか。

しかも、日本に戻ってきて気づいたのは、いわゆる日本人の自虐史観を否定する人たちやメディアのほうが、中国に対する被害妄想が強いと言うことです。
日本は欧米列国からアジアを解放するために努力した->中国に対して過剰な罪悪感を持つ必要は無い->日本はアジアに対して堂々とすべき、と言う論理が、中国は過去の日本の行いを未だに根に持っている->中国はいつまでも日本に意地悪し続ける、と言う論理と共存してしまっているのです。
直観的には、自虐論を否定する皆さんが被害妄想になるなんておかしな感じですが....。

私としては、日本(人)が中国(人)と関わり合う時、とりわけビジネス絡みの時には、過剰な自虐史観も被害妄想も良くないと思います。
特に被害妄想と言うのは、責任を第三者に押し付けるのに好都合な分だけ、前向きな対応ができないものです。なんでもかんでも『チャイナ・リスク』だから仕方ない、と片付けてしまうのは、いわゆる"土下座外交"と同じくらい非生産的で、私たち日本(人)のプラスにはならないと思うのです。被害を広げないため、前向きに解決していくためには、中国を悪者にしても仕方ありません。
中国では、日本企業だけではなく、欧米企業も国内企業もしばしば批判に曝されているのです。某巨大広告会社に頼み込めば不祥事さえも揉み消してもらえる、などと考えているような日本の大企業であっても、中国でその手は通用しませんから....。

安倍さんの訪中以来、日中の政治関係もほんわりと柔らかな雰囲気になってきたようですから、そのうち「中国だから仕方ない」なんて言い訳が通用しない時代が来るかもしれません。
裏を返せば、中国でうまく行くなら、世界中どこ行ってもやって行けるよ、がんばれ日本、日本人、と言いたい気持ちです。
by pandanokuni | 2006-10-31 17:41 | 経済ネタ
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