北京などの都市部ではメイドさんを雇っている家庭が少なくありません。日本人など外国人の家庭だけではなく、現地の"小金持ち層"の家庭の多くでもメイドさんを雇っています。日本でメイドさんを雇うというと、大企業の社長の邸宅だとか資産家だとか、そういうご家庭をイメージしてしまいますが、中国の都市部では社長でなくともメイドさんを雇います。
例えば、夫婦ともども外資系企業や国内の優良企業にお勤めしていて、小さなお子さんがいらっしゃるお家など。 中国では夫婦共稼ぎが一般的です。出産後も多くの女性が働きます。ですから、両親が働いている間、誰かが子どもの面倒を見てあげなければなりません。たいていは、夫か妻の両親、つまりその子のおじいさんかおばあさんがお世話をします。おじいさんやおばあさんと同居する場合もありますが、最近の"小金持ち"の若い夫婦は別居を好む傾向にあります。この場合は、おじいさんやおばあさんが日中、息子や娘夫婦のお家に通って、孫の面倒を見たりします。けれども、地方出身者同士が結婚したりすると、こうは行きません。田舎からおじいさん・おばあさんを呼び寄せるケースもあるようですが、経済的にある程度余裕がある夫婦の場合は、メイドさんを雇うのです。 もちろん、小さなお子さんがいなくとも、メイドさんを雇う場合もあります。お掃除、お洗濯、食品や日用品のお買い物、お料理、お片づけ、とお家のことを何でもやってもらえるので、結婚後の女性も男性も安心して働くことができるのです。夫婦の月収が8,000RMB以上あれば、その1割程度で住み込みのメイドさんを雇うことができますから、こうした高所得のお仕事についている夫婦にしてみれば、どちらかが専業主婦(主夫)でいるより経済的にも有利であると言えるでしょう。もちろん、夫婦の月収が8,000RMB以上の家庭は北京市でも1割居るか居ないかの"小金持ち層"であることを忘れてはいけません。 北京で働くメイドさんは、ほとんどが地方出身者で、主に四川省、安徽省、陝西省など内陸部から出稼ぎにやってきた人たちです。原則として18歳以上でないと北京で働く許可を得られないのですが、15~6歳のメイドさんもいます。人づてに捜し求めるか、メイドさん紹介会社に頼めば、すぐにメイドさんは見つかるはずです。四川料理が好きなご家庭では四川省出身のメイドさん、湖南料理が好きなご家庭では湖南省出身のメイドさん、という具合に、お好きな料理に応じてメイドさんを選ぶ人たちも多いようです。 北京市工商局(日本で言えば地方の経済産業局みたいなものでしょうか)と商務局は、消費者協会や法律専門家、更にメイドさんサービス協会などの関係者と会合を持ち、ご主人様とメイドさんとの契約のスタンダードについて話し合ったそうです(中国政府網 = 北京日報からの転載)。12月初旬からは、以下のガイドラインに基づいた契約をメイドさんと取り交わさなければなりません。 『北京市メイド・サービス契約』の草案は10項目になっております。盗みや伝染病などメイドさんに重大な問題があった場合には、ご主人様が契約を解除できることになっております。と同時にご主人様は、メイドさんの人身権、財産権、人格権、休息権などの合法的な権利を保護してくださるよう強調させていただきます。例えば、メイドさんに対するご主人様の差別、虐待、セクハラは許されておりません。メイドさんに成人男性とご一緒のお部屋をご用意いただくことはお断りいたします。また、メイドさんには毎月4日間の休暇と毎日8時間の睡眠時間と、お食事、ベッドを与えてください。もし、国家が定める休日にお休みをいただけない場合は、通常の日給の2倍を残業手当としてお支払ください。メイドさんとの契約に、上述のような内容が明記されるとなりますと、差別や虐待やセクハラが日常的に行われている現状を想像してしまいます。前述の通り、ほとんどの場合は住み込みですから、メイドさんに専用のお部屋を与えずに、ご主人様のお部屋に同居するよう強いる場合もあるのでしょうね....。 などと言うお話を、"メイドさん"と表現すると少し艶っぽいのですが....。 北京ではメイドさんのことを一般的に"阿姨(アーイ)"と呼んでいます。「オバさん」みたいな意味ですが、ちょっと敬いの気持ちも含まれています。実際にお料理や子育てでお役に立つメイドさんは、圧倒的にアーイ(オバさん)が多いのです。田舎で自分の家庭を持ち、毎日料理を用意して、子どもを育て上げ、その子が自立したくらいの方が、アーイさんとしては一番需要が大きいのです。自分の子どもの面倒を見てもらうわけですから、子育ての経験があるほうが良いのでしょう。若い女性には務まりにくいお役目です。 もちろん、保守的な子育てを懸念して独自の養育方法を模索する若夫婦には、こうしたオバさんは敬遠されたりしますから、若いメイドさんも居ることは居ます。子供のいない新婚夫婦が若いメイドさしまい、夫と良からぬ仲になってしまう、なんてこともあります。 とは言え、お掃除、お洗濯、お買い物、お料理、お片づけなどの肉体労働に従事するわけですから、メイド服では不便です。TシャツかトレーナーにGパン、或いは綿パンというコスチュームが一般的です。メイドさんという言葉から思い浮かべるイメージとは、きっとほど遠いのではないかと思います。
by pandanokuni
| 2006-10-19 17:35
| 社会ネタ
|
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