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李肇星外相、着ぐるみ被って、吼えちゃったぁ!!
3月7日午後5時(日本時間)に時事通信が配信した速報です。
【北京7日時事】中国の李肇星外相は7日、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が開会中の北京の人民大会堂で記者会見し、日中関係に関して小泉純一郎首相の靖国神社参拝を念頭に「日本の指導者によるA級戦犯参拝は受け入れなれない」と強く非難した。さらに、「そのほかの多くの国の国民も受け入れられない」とし、ヒトラーやナチスを挙げて「ドイツ指導者は戦後、崇拝を表明していない。犠牲者の遺族の感情を傷つけてはいけない」とも述べ、ドイツを例に日本側に反省を求めた。
李外相は「米国人も1941年12月に発生した事件(真珠湾攻撃)を忘れていないし、日本侵略者はマラッカ(マレー半島)も攻撃した。このような例はとても多い」と強調。中国外相が内外の記者が出席した記者会見で、ここまで対日非難を展開するのは極めて異例だ。

そろそろ来るなーって予感はしてました。

全人代の冒頭の温家宝さんの発言は内政、内政、内政で、できるだけ外交やマクロ経済については注目されないように報道されていましたし、国防費14.8%増はほぼ"スルー"国民一人当たりの軍事費だとアメリカの77分の1だって!13億の人民効果ですね...)、本日は李肇星外務大臣が表舞台に登場、午後から内外記者に対して会見しました。
かたや日中の政府間協議では、東海の天然ガス田開発について、予定通りの平行線。日本側提案を中国が拒否し(Yomiuri Online、中国側が新たな提案をしたそうですが、日本が受け入れ難い内容のようですY! News=共同発)。当然中国国内報道での扱いは相対的に小さくなります。

さて、全中国にテレビで(ほぼ)生放送された李さんの記者会見。NHK記者によるお決まりの官製質問:①東海のガス田協議について、中国側はどのような提案をされ、どう解決しようとしているのか②日中両国間では多くの問題を抱えていますが、両国の外務大臣会談についてどう思われるか。に対する、李さんの発言を新華網のナマ採録にできるだけ忠実に再現してみます。
いま日中の政治関係が困難な局面にあるのは、日本の指導者が、侵略戦争を発動し指揮したA級戦犯への参拝を堅持しているからです。日本の指導者は、中国人民と侵略戦争で被害を受けた他の国々の国民感情を、再び傷つけるべきではありません。
これは非常に厳格な問題です。日本のいまの指導者がA級戦犯を崇拝していることは、中国人民だけではなく、多くの国々の国民にとっても、受け入れられることではないのです。

ドイツの政府関係者が私に話したことですが、「日本の指導者は何でこんな行動、馬鹿で不道徳なことをするのか、ドイツ人でも理解できません」と。これはドイツ人が話したことです
彼らが言うには、第2次世界大戦後、ヒトラーやナチス分子に対する崇拝を表明するドイツの指導者は一人もいませんでした。「ナチス分子によって殺された人々を生き返らせることはできなくとも、傷つけられた人々や殺害された方の遺族の感情を傷つけないようにすることはできる」ともおっしゃっていました

アメリカ政府の関係者は、「アメリカ国民は1941年12月7日に起きたことを忘れてはいない」と私に話してくれました。

マレーシアの友人は、「日本の侵略者がパールハーバーを空襲した同じ日に、日本の侵略者はマラッカをも空襲し、罪の無い多くの人々を傷つけた」と私に話してくれました。

こうした例はたくさんあります。三時間かけても、皆さんにご紹介しきれません。ですから、(私に代わって)皆さんが読者の方々にこうした話を伝えてほしいのです。(そうしてくださるなら)私は前もって感謝の気持ちをお伝えしておくことにします。

ここまで5分に渡る熱弁。それから、いつもの決まり文句:
中国側は、日本との善隣友好協力関係の基本方針を変えることなく進化させたいと思っています。私たちは引き続き、日中関係の改善と発展のために積極的に努力していく、と言う去年4月23日にジャカルタで胡錦濤主席が提起した5つの方針に従います。

そして、5つの方針の確認と、東海のガス田のお話へと続きます。

広大な中国のごく小さなコップの中での主導権争いの中で、いつのまにか日中関係が一種の"踏み絵"みたいな位置づけになってしまったことは、内外のメディアに見え見えになっています(日本の大衆メディアはあまりそうは伝えて無いようですし、小泉さんは相変わらず「外交カード」だと思っているようですが)。
全人代ではいまのところ、胡錦濤さんの存在感がいまひとつ、と言う感じです。内政重視と国際的地位の向上という一応ポジティブな"政策学芸会"において、日本に対する強気の立場を表明することこそ、コップの中で生き抜くためには、大切なことなんでしょうね。テレビで生中継されていたとは言え、私としては"中国人民向け”と言う印象を強く感じませんでした。

むしろ李さんの発言で感心するのは、ドイツ、アメリカ、マレーシア、と言う第三者の発言を引用した点です。
日中関係がコップの中の主導権争いの"踏み絵"なんかではなく、世界中の人たちが良くないと思っている侵略戦争の発動・指揮者崇拝が原因でギクシャクしている、と思わせようとしている意図が見えます。中国の対日政策は世界中の侵略戦争被害者の感情を代表した画期的なものだとおっしゃっているわけです。さすが外務大臣、世界中の"賛同者"を募って、コップの中の主導権争いをグローバル化しようとしている感じです。
「虎の威を借りる狐」とも違うように思えますが、ドナルドダックの着ぐるみを被って、吼えちゃった、って感じでしょうか。

それにしても日本の外交部隊、何とかならないんでしょうかね....
北京ではいつもこの時期、全人代と協商会議が開かれます。二つの会議「両会」と呼ばれ、北京人は面倒なことに巻き込まれないよう、普段よりちょっとだけ気を引き締めて過ごします。私も、この時期日本から遊びに来たいと言う知人がいれば、時期をずらすようにお勧めしています。ナイト・ライフではハメを外せませんし....。「この国は問題なく、健全に、うまく行っているぞ」と年に一回、13億人民に対して開催する学芸会みたいなものですから、舞台を提供する北京市民はお見本を示さなくてはならないワケです。

どういう事情で日程が決まったかは定かではありませんが、こんな時に日本からのこのこやってきて、「ガス田一緒に頑張ろうよ」などと持ちかけても、中国側が肯く可能性などゼロであることを、誰も教えてあげなかったのでしょうか....このタイミングで日中政府間協議を開催するメリットって、日本側にあったのでしょうか....佐々江さん乙!
私個人としては好きな対応方法ではないのですが、中国を一緒になっていじめるような仲間作りすら、日本はうまくできてないのです。ま、勝手に李さんに仲間にされてしまった、ドイツ、アメリカ、マレーシアが喜んでいるとも思えませんけど、ね。
by pandanokuni | 2006-03-07 20:57 | 政治ネタ
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