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サイパン"慰霊の旅"は、日中関係にマイナスでは無かったと思います。
日本企業の中国投資熱を焚きつけてきたはずの日経さんが、ここのところ中国に手厳しくなってきましたね。大前さんとつるんで、これからは東欧だ、などと始めちゃうのでしょうか。
日本の主要紙は中国の反応を黙殺している感じですが、日経だけは「『侵略を美化』と批判・両陛下の訪問で中国紙」という見出しで報道していたようですね。

でも私が知る限り、この件に関する中国の報道はかなり抑制された雰囲気がありました。北京の反日急進派ともいえる「華夏時報」が「日本の右傾化の標」とする論評を28日に掲載し、いくつかの地方紙が転載しましたが、この論調に続く記事は主要紙には掲載されていないようです。「北京晩報」などは短く事実関係を述べ、UPIの「国内向け行事だ」と言う論評のみ引用していました。

28日になって、韓国人慰霊碑訪問に関する報道が目に付くようになりました。CCTVの『国際視察』というニュース番組は共同通信社の報道を引用する形で、サイパンの韓国人協会会長の"声"を紹介し、新華網が転載し、地方紙がそれを後追いすると言うスタイルだったようです。
ポイントは:<在サイパン韓国人協会は訪問に抗議しようとした。>また、<事前に韓国人慰霊碑の訪問と謝罪を強く要望した。><韓国人慰霊碑の訪問は"突然"の日程変更により実現された。><韓国人慰霊碑での写真撮影は、日本側によって禁止された。>の4点でした(Baidu News検索結果を参照)。

28日の中国外交部定例記者会見で劉建超報道官は、「韓国の戦死者をも追悼した」ことに関して、最大限の評価とも受け取れる発言をしています。在日本中国大使館のHPの日本語訳は、ちょっと回りくどくなっていますが、中国語の原文を見る限り、「(サイパン慰霊の旅に)関係した手配は、歴史問題の正確な認識に基づいて行われているはずで、歴史問題に対する責任をもった態度に基づいているはずだ」と受け取れます。非常に肯定的な発言と思えます。

そして、ことしの”教科書問題"、更には反日デモの火付け役とも言えそうな「国際先駆導報」は6月30日付けの紙面で"慰霊の旅"を特集していますが、サイパン訪問に抗議して謝罪を求める横断幕まで用意していたサイパン在住の韓国人が、日本の象徴の韓国人慰霊碑訪問に"感動した"とまで書いています。まぁ、それ以外の部分は日本人に手厳しい内容ではありますが....

アジア諸国への悪影響が懸念された"慰霊の旅"ではありましたが、韓国人慰霊碑に訪問されたことで、ここ中国における論調は、予想以上に冷静なものになっている感じがします。この国も、日本の象徴たる存在に対してまで尊大な態度をとることはしないのだと信じたいと思います。批難の矛先を小泉さんをはじめとする"一部の右傾化した指導者"に絞ることで、二国間関係のこれ以上の悪化は避け、関係改善の糸口を温存しておきたい、と言う気持ちがあるのではないでしょうか。

万歳クリフに向かって手を合わせるお二人の写真が、中国の新聞やニュースサイトにも掲載されています。小泉さんが靖国参拝について理解してもらえるよう努力する、とおっしゃるより、何とも説得力のある映像です。この写真で"慰霊の旅"の真意が、少なからぬこの国の人たちに伝わったのではないか、と思うのです。
ただ、これで一安心とは思えません。7月から反日イベントは目白押しですから....
by pandanokuni | 2005-07-01 00:35 | 政治ネタ
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