部屋探しをしています。
いま住んでいるマンションが6月末で契約期限を迎えるからです。会社の規定家賃が年々低下傾向にありますから、いまのマンションにはもう住めません。仕事の合間を見つけて、いろんな物件を見ていますが、なかなか見つかりません... ここだけの話(!?)、1997年に私が北京で最初に暮らしたマンションは、1ヶ月の家賃が邦貨で65万円くらいでした。前任者から引き継いだ部屋で、家賃はすべて日本の本社が負担していました。当時は家族と3人暮らしだったもので、3LDKの日本人向けマンションに素直に入居しました。特に豪華とはいえない、日本ではフツー級のマンションでした。当時はそのマンションの入居率が100%で順番待ち状態でした。 1ヶ月65万円の家賃には正直驚きはしましたが、当時としては比較的一般的な料金だったようです。その少し前までは、日本人の駐在員はホテル暮らしが中心だったそうです。北京でも五つ星ホテルでしたら当時のレートで1泊2万円くらいするところもありましたから、1ヶ月居れば60万円くらいになってしまいます。まして、家族と一緒ならばもっと広い空間が必要ですから。 かつて中国では外国人は外国人専用のマンションに住まなければなりませんでしたから、物件も限られ、家賃も貸し手市場でした。その後、外国人の居住制限が緩和され、中国人向けのマンションやアパートにも合法的に住めるようになりましたので、外国人向けマンションの家賃も下がり始めました 本社が定める家賃の上限は、8年前の3分の1以下になりました。しかも、中国で稼いだお金から払うことになっています。 このくらいの家賃ですと、北京で実業家やムービースターが暮らすようなマンションの2LDK(グロス面積で120-150平米)のお部屋を借りることができます。マンション内に設置されたジムやプールの利用もできます。もちろん基本的な家具や家電製品もついていますから、大変恵まれているほうだと思います。 ところが、その家具やインテリアが、どうしても気に入らないのです。 外国人が住むマンションの選択肢が多様化した背景には、中国における中国人の不動産投資熱があります。お金持ちの中国人は、高級マンションを購入して、賃貸に出しておき、オリンピックあたりまでに売り抜けよう、という魂胆ですから、個人オーナーの空き部屋がたくさん流通しているのです。個人オーナーは、だいたい自分の好みで内装して、家具や家電を入れて、店子が来るのを待ち受けています。でもこれが、日本人の私にとってはどうしても落ち着かないインテリアばかりです。豪華なヨーロッパ調だったり、シノワズリーだったり、いろいろあるのですが、日本人の友達を呼ぶのに自分のセンスを疑われてしまうようなものばかり....そんなこんなで、もうすぐいまの部屋を追い出されるのに、新しい部屋が決まらず焦っています.... そんな話をウチの中国人スタッフ(男性)としていたら、彼が「○○さんの部屋を借りたらいいんじゃない?」と言います。○○さんはウチの中国人女性スタッフで、私的には社内でいちばん可愛いと思っている女の子です。受付嬢として入社し、いまは行政部(日本で言う総務部のような部署)で社内設備や備品の管理などを中心に働いている、入社3年目23歳の社員です。 その○○さんが、私も不動産屋さんの紹介で下見したことのある北京市中心部の高級マンションに部屋を持っていると話。しかも200平米で、まだ内装や家具の設置も済んでいないので、私の好みにアレンジできるはず、と言うのです。そのマンションは、どう考えても購入価格で平米あたり1万2,000RMB以上はしますから、安く見積もっても250万RMB(約3,500万円)くらいの物件です。 私はその話をしてくれた中国人スタッフに「○○さんち、お金持ちだねぇ」と言いました。すると彼は「いや、彼氏が買ってくれたんだって。」だって!!じゃ、とっととその彼氏と一緒にその部屋に住めばいいんじゃないかと思いましたが、「まだ結婚するかどうかも分からないらしいよ」と言う状況らしいのです。 ○○さんは私が見る限り、可憐で純粋なタイプ。難しい仕事ではないにせよ、きちんと仕事をこなしますし、昨年は仕事を終えてから学校に通って、CADを学び、いずれはインテリア・デザインの仕事をしたい、などと言っていました。私がつまらない冗談など言うと、頬をピンクに染めてしまうような感じ。社員旅行なんかでは、ウチのコピーライターの純朴そうな男の子と仲良さそうにしていて、もしかしたら二人はデキているのかなぁ、などと微笑ましく思っていました。 ところがです。まぁ彼氏が居るのは仕方ないにしても、3,500万円のマンションを惜しみも無く買ってあげられるような彼だったとは... 確かに北京のこうした高級マンションは、金持ちが"愛人"のためにプレゼントする場合が多いのです。ただ、金持ちの"愛人"はモデルや女優の卵が通常で、稀に夜総会出身者という感じでしょう。○○さんは、どう見てもそうした"愛人"タイプの女の子ではないのです... その後、社内で情報収集をすると、○○さんの彼氏は20代半ばの未婚の実業家。インテリア・デザイン会社(ま、内装屋さん)の経営者だそうです。結婚を前提にお付き合いしているらしいのですが、プレゼントされたマンションには、結婚の"縛り"は無いそうで、仮に○○さんが他の人と結婚してもそのマンションは○○さんのモノになる、と言う状況らしいです。 ○○さんは四大卒でないし、総務系のスタッフなので、1ヶ月の手取り給与は2,000RMBほどですから、○○さんがプレゼントされたマンションは彼女の年収の100年分以上ということになります。実業家の彼にしてみたら、税金対策だったのでしょうか..... この話を聞いて、虚しさ100倍状態です。実は○○さんに秘かな期待を寄せてたこともあります。私の中の"悪い自分"が、地位と日本人としての財力にモノを言わせれば....なんて考えていたことも。でも私には○○さんにマンションをプレゼントする財力なんてあるワケ無いし(もちろん、そんな気も無いのですが).... ○○さんが"所有"する200平米のマンションと同等の部屋は、不動産経由の情報によると"予算オーバー"で、私には賃貸すらできないのです。 ちなみにこういう話、中国人スタッフ同士では特に"隠し事"でも"自慢話"でもないようで、フツーに話されているのも不思議。私は○○さんにこの話題で直接話しかけることが、どうしてもできません。
by pandanokuni
| 2005-06-08 00:11
| 社会ネタ
|
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