北京生活も8年目に突入すると、日記に書きたくなるようなエピソードも少なくなっていきます。たぶん、北京初心者の方には感動の毎日でも、古株気味の私にとっては日常的なできごとに思えてしまうのでしょう。
北京生活に直接関係ないのですが、きょうは久々に"感動"したことがありました。なんだか久しぶりにエントリーしちゃいたい気分になりました。 仕事を終えてマンションのメール・ボックスをのぞくと、1通の封書の郵便物が入っていました。白い封筒には、"New South Wales Wales Government"と印刷されています。私はこの郵便物の差出人にちょっと心当たりがあって、「あぁ、面倒なことになるなぁ」と思いながら、自室に向かいました。 ![]() 2月上旬の春節の休暇に、私はシドニーに行きました。北京に来る前に赴任していた都市でもあり、私が北京でお仕事をご一緒したクライアント(というより、もう寧ろ友人)が転勤して行った都市でもあり、ほぼ8年ぶりに行ってみる気がしたのです。とは言え、北京の仕事仲間との男二人旅。取り立てて行きたいところも無いわけで、日中はビーチでのんびりすることに決め込みました。北京から転勤して行った友人が、社用車を貸してくれると言うので(本人は自分のクルマで通勤)、平日丸4日間彼の会社の社用車を乗り回して、いろんなビーチに行くことができました。 マンリーというビーチでクルマを停めたときのことです。ビーチ沿いの道路にはパーキング・メーターが設置されていて、平日と言うこともあり、空きスペースも多かったので、そこにクルマを置くことにしました。120分の制限付きでしたが、ビーチすぐのところなので、いざとなったらクルマを移し替えてコインを追加すればいいだろうと思って、少し歩く駐車場にクルマを入れるのをためらったのです。 クルマをしっかり枠内に停め、パーキング・メーターにコインを入れるとステッカーが出てきます。このステッカーをフロントガラスの内側に貼っておけば、120分間駐車違反にはなりません。私と北京の日本人仕事仲間は、とりあえずクルマを停めてブランチに行きました。 小一時間で食事を終え、ビーチで使う荷物を取りにクルマに戻ると、フロントガラスに駐車違反のキップが挟み込まれていました。「あっ、しまった。」と思いました。私はパーキング・ステッカーをフロントガラスに掲示せず、そのままポケットに入れてクルマを離れてしまったのでした。シドニーの元住人として何たる不覚かと思いつつ、コインも入れたし駐車時間内に戻ったわけだから、このキップを切ったポリスを探せば何とかなると思いました。幸いキップを切られた時刻はほんの5分ほど前。きっと近くにポリスがいるはず、と思い、クルマを運転してビーチ沿いの道路を探し始めました。 程なく、いかにもオージー体格の中年おっさんとアジア系のカワイめの女性のペアのポリスが、のんびりとパーキング・メーターのチェックをしているのを発見。さっそく事情を説明しました。 中年のおっさんポリスはスグに事情を理解してくれましたが、一度切ったキップはキャンセルできないとのこと。事情を書いて、罰金の小切手を郵送する封筒(駐車違反のキップに付いている)に入れて、"Hunter Region"(取締りセンター)に送ってくれ、そうすればペナルティーはキャンセルされるはずだ、と言うのです。私はなんとかこの場でキャンセルして欲しかったのですが、おっさんポリスは「自分の権限ではできない」と言います。そして、カワイめポリスが"Sorry about that"と付け加えたので、もうそこは引き下がることにしました。 罰金は70AU$(日本円で5,500円ほど)ですし、1週間以内であればWeb上でクレジットカード払いもできちゃうので、素直に払っても良かったのですが、クルマの貸主も「どうせ社用車だから」とおっしゃるし、ペアのポリスがキャンセルされるはずだ、と言ってくれたので、払わないでみよう、と思いました。 夜ホテル便箋に事情説明をしたためました。「私は日本人の旅行者です。友人のクルマを借りて、マンリーのパーキング・メーターに駐車しました。ステッカーを掲示し忘れたので、すぐに戻ると既に駐車違反のキップが切られていました。近くに居たポリスに事情を説明すると、取締りセンターに事情説明のレターを送れば、ペナルティーはキャンセルされると言われましたので、ぜひキャンセルしてください。なおクルマは友人の社用車で迷惑をかけたくないので、罰金を払う必要がある場合は、私宛てに再度通告してください。私は中国の北京に住んでいます。」そして、住所やメールアドレスなどを書き記して、ペナルティー・チェック(小切手)送付用の封筒に入れ、ホテルのコンシェルジュにポスティングをお願いしました。 次の日、クルマを貸してくれた友人に、「もし会社宛にペナルティー・ノーティスが来てしまったら教えてよ。私がちゃんと払うから。」と言うと、「70AU$どうやって精算すんの?送金手数料のほうが高くつくし面倒じゃん。そんな心配だったら、払っていけばぁ。」と言います。私としては友人に迷惑がかからないようにと願いつつ、ペア・ポリスの言葉を信じようと思い、ペナルティーを払わないまま北京に戻ってきてしまいました。 それから1ヶ月以上過ぎ、シドニーの友人からもペナルティーの督促が来たという知らせも無かったので、このことはすっかり忘れきっていました。そこにその"New South Wales Government"の名入りの封書です。すっかり、罰金の支払督促が北京まで追いかけてきたのかと思いました。どうやって、オーストラリアに海外送金するんだろう、面倒なことになったなぁ、と思いつつ、恐る恐る封筒を開けました。 シドニーのあるニュー・サウス・ウェールズ州政府違法行為取締センターのディレクター名でタイプ打ちされたレターには、次のように書いてありました。 「pandanokuni様。交通違反番号762XXX57に関してのお知らせです。事情を考慮し、このペナルティーをキャンセルさせていただくことになりました。貴殿は罰金を払う必要がありません。この件に関してご迷惑をお掛けしましたことを、お詫び申しあげます。」 シンプルながらも心温まる通知。FAX番号もメールアドレスも知らせておいたのに、わざわざ郵便物で北京まで伝えてくれたのです。しかも、文末には"We apologise for"ですよ!! 日本人旅行者だから、という配慮もあったのかもしれませんが、ペナルティーのキャンセルをわざわざ北京までレターを使って知らせてくれる、しかも謝罪付きで!! ここ中国の公安はもちろんのこと、日本の警察にもこんなことはできないんじゃないかなぁ、と久々に感動してしまいました。
by pandanokuni
| 2005-03-15 00:07
| その他
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