私は北京に足掛け8年「在留」しています。海外に長期滞在する日本人は、日本での住民登録を抹消しますから、住民票が無くなってしまいます。これはかなり不便です。
例えば、日本で運転免許証の更新手続きを行う場合、海外に在住する直前の住所の運転免許センターで更新を行うのは比較的簡単ですが、実家など別のエリアで更新を行う場合、住民票が無いと面倒なことになってしまいます。私の運転免許証は、結果として日本の会社の住所が現住所になってしまいました。「東京都中央区...」が現住所と言う免許証に悪い気はしませんでしたが、日本に戻ったときDVDレンタルのメンバーカードが作れませんでした。運転免許証の現住所が帰国先とが大きく離れていたので、現住所の証明にならない、という理由でした。 もっと面倒なのは「印鑑登録証明書」です。海外に長く住んでいても日本の印鑑登録証明書が必要になることがあるのですが、印鑑証明は住民登録をした自治体で無いと登録も証明書の発行もできません。ですから、海外在留邦人は、その国の日本大使館領事部から「サイン証明書」を発行してもらい、印鑑登録証明書の代わりにします。また、日本には住民登録がされていないことについては、「在留証明書」を発行してもらいます。「在留証明書」は、現在の海外における住所と、いつからその国に在留しているか、と言うこととを証明してもらうものです。 日本で大きな契約をした場合には、海外在留者でも海外の現住所で契約しなければなりません。また、印鑑登録証明書の代わりとなるサイン証明は、日本における住民登録の連続性に裏付けられていなければなりません。住民登録に空白時期があってはならないのです。従って、「在留証明書」に記載される住所は、契約時の海外における住所と一致する必要がありますし、何時から在留しているかは、日本で住民登録を抹消した日から概ね1ヶ月以上あいだを空けてしまうと有効でなくなります。 私の場合は、1997年11月より中華人民共和国に在留している、と言うことと、現在住んでいる住所での「在留証明書」が必要になりました。 外国に3ヶ月以上滞在する日本人は、その国にある大使館領事部に「在留届」を提出するように、と外務省では呼び掛けています。幸いなことに、私も北京に着任してスグ、「在留届」を提出していましたから、その日から中国に在留している、と「在留証明書」に書いてもらえるとばかり思っていました。ところが北京の領事部の見解は、「在留届は公的証明にならないのでダメ。何のための「在留届」なんだ、と思ってしまいました。 「公的文書」である、中国政府が発行する外国人居留証(グリーンカード)か日本のパスポートで、在留開始時期を確認する必要があるとのことです。私の場合、パスポートも居留証も、在留開始当時から3回も更新していて、現在有効のものには、在留開始時期を証明する記述など残っていません。それでも領事部は「公的文書」が無いとダメと言います。 そこで、居留証を発行する北京市公安局に問い合わせると、昔の記録は記載できない、とのこと。それを伝えに、また領事部に行くと「でしたら、在留開始当時のパスポートを探してください」と言われました。えっ、パスポートってVOID(無効)になったら返却する原則ではなかったのだろうか、パスポートにもそう書いてあるよぉ、と思いながらも、日本の家族に確認したところ、何と物持ち良く1997年当時の穴あきVOIDパスポートが取ってありました。家人がその頃の写真とともに、アルバムに挟んでいたそうです。正式着任前から何枚も中国のVISAや入国記録がありましたが、1997年11月の中国入国記録の「公的文書」による確認が取れた、ということで在留開始時期については、1997年11月にしてあげる、と言うことになりました。 次は現住所の証明です。外国人居留証には昨年6月に引っ越す前の住所が記載されたままです。これは北京市公安局に住所変更届をしなかった私の怠慢によるものなので、慌てて住所変更の手続きをしに行きました。ところが国当局の外国人居留証システムが昨年末から変更になり、居留証が順次廃止されるため、住所変更はできないとのことです。新しく居留証に代わる証明はパスポートにステッカーで貼られ、住所に関する記述は無くなります。ですから、居留証で現住所の証明はできなくなったのです。 そうした事情も説明しましたが、領事部の見解は現住所を証明する「公的文書」が無いとダメとの一点張り。現住所宛の郵便物や公寓(マンション)が発行する「滞在証明」などはダメで、水道、電気、電話代などの住所が入った請求書であれば「公的文書」とみなすそうです。ところが、私の住む公寓(マンション)は、会社契約です。水道・電気代は家賃に含まれています。電話代は自腹で毎月払っていますが、会社契約なので領収書の宛名も会社名義です。もちろん、本人名義のモノで無ければダメと言われました。 それなら私はどうすれば良いのか、と日本のお役人さんに尋ねると、派出所が居住証明書を書いてくれるはずだ、と言われました。さっそく所轄の派出所を探して行ってみると、マンションのオーナーの居住証明と身分証があれば、そうした証明を出すとのこと。 ホット一息して、マンションから居住証明書を発行してもらい、また派出所に出かけました。ところが派出所は、証明を出せない、と言いことになってしまいました。私の住んでいるマンションは居住施設ではなく、ホテルと同じ扱いになっていることが理由だそうです.... 結局いまの段階で、北京の現住所を証明する「公的文書」はありません。これが無ければ、日本の大使館領事部は「在留証明書」に現住所を記載できない、と言っています。となると、日本での契約が成立しないかもしれません.... それにしても、この数日間、日中のお役所周りに終始したわけですが、北京市公安局の所轄の派出所(と言っても日本の警察署くらいの大きさでした)の対応に比べて、在中華人民共和国日本大使館領事部の対応の冷たいこと。 結果的には、どちらもお役所的な融通の効かなさでは同等だったのですが、派出所のほうは若い女の子が丁寧に対応してくれて、稀なケースのようだったのか、周りの同僚や上司に熱心に相談し、「あ~すればいい」「この書類が必要だろう」「誰々に確認したほうがいい」など、例の如くの和気藹々の雰囲気で議論してくれていました。何とか発行してあげられないものか、と言う姿勢を感じたのです。 一方親方日の丸のほうは、窓口の中国人女性が流暢な日本語で丁寧に対応してくれたのですが、マニュアルどおりといった感じ。私が興奮気味に事情を説明していて、窓口の女性が困っていても、後ろのほうで上司と思しき日本人男性が関わりの無いような顔してパソコンに向かっています。窓口の女性のほうは事情を察してくれて、ちょっと相談してみます、と何度もその日本人男性の席に向かいます。こんなやり取りが続いてもも、窓口業務の責任者と思われる日本人男性はなかなか窓口に現れず、中国人女性を介しての交渉が続きます。さすがに私の声が大きくなるのを察してか、ようやくその日本人男性が窓口に現れました。そして、彼に対してもう一度始めから同じ説明をすることになりました.... お役所の対応はそう易々と変わるものではないでしょうから、このぐらいにして置いたとして、海外に長く住んでいると、こうした証明が取りにくくなるのは事実ですから、十分注意が必要です。 そして、中国の外国人居留証の新制度では「住所変更登記の際、公安機関は関係する証明を特に発行しない。」とうたっているわけですから、中国の日本大使館領事部では在留日本人の中国における現住所の証明に関する手続きについて、早急に再考して欲しいと思います。会社契約のマンションに住んでいる日本人は意外と多いはずですから。
by pandanokuni
| 2005-01-13 17:26
| 社会ネタ
|
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