中国語の全文翻訳が出回っているのに、日本語が見つからなかったので、勝手に全文翻訳してみました。ご参照ください。また、誤訳等あればご指摘ください。
参照番号:09BEIJING1336 作成日時:2009年5月18日23:11 公開日時:2010年12月4日18:06 分類:機密 発信元:在北京大使館 【要約】 1.[機密] 米国領事はA氏とGoogleに対する、最近の中国政府の検閲圧力について電話で話した。おそらく、政治的記念日が近付いていることが、検閲圧力を加速させているのだろう。 A氏が断言するには、この問題の根源は中国常務委員会委員のX氏が、Googleの"消毒された"バージョンgoogle.cnから未検閲のgoogle.comサイトへのリンクを断ち切りたいと、求めたことに端を発するという。 A氏によると、Google Chinaは政府をなだめるために些細な別の対応はしたものの、企業理念に反するとしてリンクの削除を拒否した。しかるに、この戦術は成功せず、政府は3大国有通信キャリアとの取引停止を含む、Googleに対するビジネス的な制裁を課したのだった。 領事とA氏は、議会代表団の派遣や長官レベルが直接この問題に関与することなども含めた、米国政府の可能な対応について討議した。いまのところ、Googleは本件を公にしようと考えておらず、現状の努力の結果を見守ろうとしている。(要約終了) 2.[機密] 米国領事Dan PiccuaとA氏は、X氏がGoogleに対する検閲強化を加速している問題について議論した。 A氏によれば、常務委員会委員のX氏は、Googleの海外サイトが未検閲のままで、中国語検索でも検索結果が表示されることに最近気づいた。 噂によれば、X氏が自分の姓名を入力し検索してみたところ、自分に批判的な結果が表示された、という。さらにX氏は、Google.cnのホームページが、当人が「違法サイト」と信じているらしいGoogle.comにリンクされていることにも気づいた。 X氏は、関連する3官庁(おそらく工業情報化部、国務院新聞弁公室、及び公安局だろう)に対し、Googleに関する報告書の作成を求めるとともに、Google.comへのリンクを含む「違法行為」を止めさせるように求めた。 【ビジネス上の課題が露呈】 3.[取扱注意] A氏によると、Google.comとのリンクを削除することは、Googleの企業理念に反することであり、中国市場の重要性にかかわらず、Googleの上層部はこのような変更を明確に拒絶した。 A氏はよれば、最近までGoogleは事務的ではありながら”礼儀正しく”この問題で政府に対応してきたが、中国側カウンターパートナーは見るからに不満足気で、こうした情報はX氏に上げなけれなならないと語った。しかしながら、Googleは中国語サイトで既にいくつかの変更を行っており、今後も続けていくだろう、とA氏は報告した。 にも関わらず、A氏によれば、中国側は3大国有通信キャリアにGoogleとの取引を停止するように求めた。モバイル・インターネットで大きな勝負に賭けるGoogleにとっては、大きな痛手になるからだ。通信キャリアの1社はGoogleとの既存契約を白紙にするよう検討をはじめ、他の2社はGoogleとの交渉を棚上げした、とA氏は言う。他の国有企業もGoogleとの取引を停止するように求められている、とA氏は話した。 4.[取扱注意] A氏が予測するベスト・シナリオは、Googleがリンク削除を公式に拒否することに対して、中国側がGoogleの更なる非遵法行為に対して警告を発する、ということ。 更にあり得るのは、Google.comが散発的にせよ永続的にせよ、中国でブロックされてしまうことだ。この措置は、現在中国でブロックされているYouTubeと同じであるが、出張者、観光客、広告主などより莫大な利用者に影響を及ぼすことになるばかりか、おそらくGoogleのネットワーク、技術プラットフォーム、Gmailなど他のサービスにも影響を与える可能性がある。 更に政府がGoogleの中国でのビジネス・ライセンスを取り消すことすら考えられる。 (天安門事件30周年を迎える)2009年のセンシティブな記念日、とりわけY年6月4日の天安門事件の記念日にむけての中国政府に対する特別な挑戦とみなされる、とA氏は認識している。 【Googleは法的根拠を求めている】 5.[取扱注意] Google側の弁護士は中国側の要求に何ら法的根拠を見いだせないとしている、とA氏は報告した。 政府はリンク削除の要求を正当化するため、Google.comを非合法なウェブサイトだと呼んでいるが、中国の法律はこのサイトを明確に非合法とはしていない。このサイトは中国側によってブロックされておらず、たくさんの中国のウェブサイトもGoogle.comへのリンクを含んでいるのだ。 6.[機密] A氏によると、Googleは正義とブランドを維持するか、その報復として中国市場を失うか、というジレンマに直面している、という。 米国領事とA氏は、中国の検閲制度がビジネス上の義務に及ぶという、こうした領域への中国側の関与の難しさについて意見を交わしたが、米国政府も何らかのアクションが可能だと考えている。 【米国政府上層部の参画が必要】 7.[機密] A氏は、中国の法律に準拠したGoogleの中国での事業運営を対する米国上層部としての支持を、電話や書簡によってX氏に示すべきだ提言した。書簡では、問題が大きくならないように、外交上・ビジネス上相互に受諾可能な解決のための対話を促すべきだ、とA氏は進言した。Locke商務長官の参画こそ、最も効果的なステップになるだろう、とA氏は結論づけた。 8.[機密] A氏、彼はGoogleがこの問題の責任者であるKirkとLarsonに提起していることを認めたうえで、米国政府が接触の機会を用意する意向を強調した。 9.[機密] 米国領事は、米国政府がこの件を把握していることを明確にするため、またGoogleとの建設的な協議を促すために、公使が中国の当局者と会う予定だ、と話した。Googleは、米国政府が参画する前に中国政府が他の手段を講じるのかどうか数日間見守るだろう、とA氏は強調した。 【中国におけるGoogleの歴史】 10.[取扱注意] A氏によると、Googleは、検閲への同意に関する課題があるため、米国議会と株主による厳密な審査を経て、2006年に中国市場に参入した。 中国市場に合法的に参入し、かつ企業理念に忠実であるため、Googleは以下3項からなる「責任へのコミットメント」を採択した。Googleは、どんな場合であってもユーザーや検索習慣に関するあらゆる個人情報を中国政府に公開しない。Googleは、検閲により削除された検索結果がある場合は、そのことを必ず公開する。そしてGoogleは、常に未検閲を提供し、ホスティングは米国に置き、米国の法律に従う。 11.[取扱注意] 中国で業務運営を行うGoogleにとって、しぶしぶの合意であろうと理念を越えた我慢が必要であろうと、中国政府からのライセンス供与は不可欠なものだ、とA氏は語った。 彼によれば、2006年以降Googleは、他の企業と同様に検閲の命令にも従って、合法的に責任ある企業運営を行なってきた。A氏によれば、中国政府の検閲要求の大半はポルノ画像や違法サイトに関したものだった。Googleによれば、中国で検索結果がブロックされたのは全体の1%に過ぎない。 12.[取扱注意] A氏の見立てによると、Google China設立前の2002年、Google.comが約2ヶ月にわたって中国でブロックされたことがある。当時Googleの最大ユーザーは研究者で、Googleを通じた学術論文への接続が制限を受けたことに不満を抱いた彼らが、政府にサイトの再開を促した、という。 しかし今回、X氏はこのような影響に無関心とみられ、中国のインターネット・コミュニティーからの働きかけにも屈しない様子だ、とA氏は見ている。彼によると、X氏はGoogleを中国の「平和的革命」を扇動する米国政府の「道具」である、と信じているようだ。 【論評】 13.[機密] X氏による挑発的な発言や見方について、我々は確認も否定もできないが、大手国有通信キャリアに政府が強制している報復行為は、重大な懸念要素となっている。 Googleの一挙手一投足によって、米国議会や市民の声がさらに高まる危険があると見做されれば、中国側の態度が更にエスカレートすることも懸念されるので、米国政府高官の対応が求められる。 我々はX氏によるビジネス的報復行為を確認するには至らなかったが、このような動きは現実味があると思われる。 (論評終了) おそらく、New York Timesの記事をベースにした一部の報道では、Googleへのサイバー攻撃を仕掛けたのが中国政治局常務委員の李長春氏と周永康氏である、とされていますが、現時点で公開されている公電09BEIJING1336には、ご覧のようにサイバー攻撃に関する記述はありません。 New York Timesによると、Wikileaksによって既に公開されている公電09BEIJING1336に登場するA氏(WikileaksではXXXXXX)への取材により、X氏が李長春氏であること、また公電09BEIJING1336とは別に2010年初頭に発信された公電に、Googleに対する中国政府高官が関与したサイバー攻撃(ハッキング行為)のことが触れられているようです。 公電09BEIJING1336で明らかになった情報は、多くの中国のインターネット関係者の間では既知のものであり、強いインパクトの内容ではありませんでした。むしろ、引用報道で「信頼できる人物」として紹介されている情報提供者A氏に対する疑念すら呼び起こしそうな内容ですらあると感じています。
by pandanokuni
| 2010-12-06 17:23
| ひまネタ
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