中国大陸では、台湾から来た人たちが数十万人働いています。台湾資本の企業だけではなく、中国大陸の企業や欧米系、そして日系企業でも働いています。単純労働力としてではなく、管理職や高度な技術職として働いている人が大半です。私の働く北京の職場でも、台湾から4人来て働いています。4人ともマネージメント職です。
90年代後半に入ると台湾の経済は冷え込み始めました。アジアの生産基地の座を「世界の工場」となった中国大陸に奪われてしまったからです。 台湾の製造業は中国大陸に引っ越し、台湾の人材は中国大陸でビジネスを指導する役割を担うようになったのです。中国大陸より先にグローバルなビジネスを手がけていた台湾のビジネスマンは、大陸ビジネスのグローバル化にはもってこいの人材でした。台湾で職が見つからなくても、大陸に行けば好条件の仕事が見つけられる、ということで、大陸で働く人はどんどん増えていきました。 台湾の資本も投資先を中国大陸に移していきました。IT関連、食品関連では台湾資本の企業が大陸で大活躍しています。 人的・経済的には交流(というよりは、大陸への流出)が進み、中国大陸と台湾は一体化しつつあります。 イデオロギーの面ではどうなのでしょう。中国大陸で働く台湾の人の多くは、自分たちのビジネス環境が保証される限り、いまの共産党政権に嫌悪感はいだきません。返還された香港でも同様の傾向があるらしいのですが、ビジネス優先の考え方から、政治に関しては無関心を装う人たちも多いようです。政治的に大陸が安定していたほうが、商売もし易いですし、共産党に代わる政権基盤が存在しない中国ですから、心の中でどう思っているかは別として、「実利」を優先の中国系商売人にとって、現政権を批判するメリットはありません。 元来、台湾は冷戦時代のアメリカの産物です。「西側」は大陸の再資本主義化を願って台湾を支持したのでしょうが、ニクソンさんが中国を訪問した70年代初頭にはそれを諦め、台湾・大陸間の「国境」が東アジアにおける「西側」の防衛線として固定化されるようになりました。ソ連が崩壊して冷戦が終結してからは、アメリカを脅かす「大国」になりつつある中国への抑止力としての役割を台湾は課せられました。 ところが"911"以降のアメリカは、中東の脅威を取り除き利権を確保することに集中する必要に迫られました。そして中国の脅威は、東アジアにおいてよりも中央アジアにおいてのほうが大きいことを、アメリカは認識しました。中国はイランやイラクなど中東諸国だけではなく、旧ソ連の中央アジア諸国、パキスタン、インドなどとも独自外交により友好関係を維持していますし、利権も確保にも熱心でした。 この地域において中国はアメリカに先行していたので、アメリカももはや、中国と敵対するより強調することを選ばざるを得ませんでした。アメリカが中東政策を推進するには、中国を味方につけつつ、中国の中央アジアへの影響力の増大を食い止める必要に迫られているのです。 ブッシュ政権のアメリカは「世界平和の監視役」よりも「自国の利権と安全」を重視する傾向になりました。財政赤字を抱える中で、東アジアの心配事に対処するよりも中東の利権を確保することを優先するのは、当然の帰結と言えるでしょう。2004年10月北京を訪れたパウエルさんが(後に発言の修正を行ったにせよ)「台湾と中国は平和的に統一すべきだ」などと発言したのは、彼が国際協調主義者だからではなく、アメリカ政権中枢の本心と捉えてよいと思います(参考記事:Asia Times Online)。 アメリカで台湾独立を支持している勢力は武器商人です。「台湾関係法」は中国を承認した後のアメリカが、台湾に武器を売りやすくするための法律です。「統一」により失われるアメリカ武器商人の利権を、中東あたりで穴埋めすることができれば、もうアメリカには「統一」に反対する勢力はいなくなるでしょう。 東アジアの安全保障は、東アジアの国家が自分たちでやってくれ、と言うのがアメリカの本音でしょう。日本や韓国の駐留部隊を引き上げるために、日本の首脳に中国の脅威をたきつけて防衛力整備を迫っているのも、アメリカです。 こうしてみると台湾が独立国家とならなければ理由はどこにあるのでしょうか?台湾には台湾民族が居住していますから、あるとすれば台湾民族国家の樹立ということになるかもしれませんが、政治・経済の中心は大陸から渡って来た中国人が支配しているのですから、ちょっと難しいと思います。 もはや、台湾は経済的にも政治的にも存在意義を失ってしまっているのではないでしょうか。
by pandanokuni
| 2004-12-19 00:47
| 政治ネタ
|
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