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潜水艦領海侵犯事件が日中関係改善の糸口に?
絶妙なタイミングで中国は認めたと思います。
一つ目は、アメリカのパウエル国務長官の辞任発表。二つ目は、拉致調査代表団が北朝鮮から帰国し日本の世論がより強行路線に向かおうとしている状況。三つ目は、チリのAPECまであと5日に迫っており、首脳外交の日程調整に時間が残されていないタイミング。

中国の原子力潜水艦が日本の領海を侵犯した真の目的が何だったのか知る由もありませんが、この事件は結果として、今月末のAPECでの小泉首相と胡錦濤主席の日中首脳会談の実現を確実なものにし、日中関係の改善への糸口となると言えるでしょう。

そもそも、中国側はAPECでの首脳会議開催に難色を示していました。日本側からの呼びかけに対して、「ふさわしい状況なのか見極めたい」と返事を濁していたのです。これは、小泉さんが靖国神社に参拝しつづけることへの抗議です。
中国の最近の日本に対する批判的な報道には、必ずと言っていいほど「靖国神社」が引用されます。中国の政府首脳が意図して狙ったかどうかわかりませんが、中国の一般的人民にとって「靖国神社」はとてもわかりやすい侵略日本の象徴なのです。北京のタクシーの運転手さんも、私が日本人だとわかると、「靖国神社には参拝に行くのか」などと良く問いかけてきます。
中国の一般的人民にとって、反日感情のキーワードが「靖国神社」になってしまい、「靖国神社」に参拝する小泉さんと自国のリーダーが会談するとなると、反日感情から反政府感情に変化してしまう危険性すらあるのです。ですから、中国の指導部が小泉さんと会談したいと思っても、自らまいた種で自らの首を絞めることになりかねなかったわけです。

ところが、今回の事件で、中国側にも非がある状態が生み出せたのです。中国人民とて、自らの側に説明すべきこと(或いは謝罪すべきこと?)があるのなら、自国のリーダーが小泉さんと会うことに対して、不満は持たないでしょう。
つまり、今回の事件は、中国の人民に対して、中国指導部が日本の首相と会談する「大義名分」ができたことになるのです。
ほんとうは関係を改善したいと思っているのに、自国の人民の反発を恐れて、小泉さんと会うにも会えない状況に陥ってしまった中国指導部にとって、この事件は願ってもない出来事だったはずです。

となると、原子力潜水艦の日本領海侵犯そのものが、こうした意図によって計画されたことのようにも思えてきます。
でも、果たしてそうなのでしょうか?ある事情通によると、中国の潜水艦はこれまでも頻繁に日本領海を侵犯してきたらしいのです。太平洋に抜けてアメリカ本土への航路を開発する上では、どうしても日本の領海をかすめることになるらしいのです。ですから、今回の領海侵犯は初めての出来事ではなかったのではないか、という推測も成り立ちます。
では、日本はいままで見過ごしてきたのでしょうか?もちろんその可能性もありますが、私は気づかなかったのではないか、と疑ってしまいます。
日本では初動対応が遅れた云々言っているようですが、別の事情通によると、アメリカの強い意向によって、警戒態勢を敷くことになった、との情報もあるくらいです。
では、なぜ今回に限ってアメリカが日本に教えたのでしょうか?きっとそれは、日本と中国が仲良くやって欲しいから、ではないでしょうか。アメリカは国際協調路線を捨て、一国ワガママ主義を強くしています。いまは中東、次は北朝鮮、と自国に反発する小国をことごとく亡き者にするのでしょうが、現状東アジアは安定していて欲しいと願っているのです。北朝鮮の問題だって、できることなら中国か日本にお任せして、アメリカは中東に集中したい、と言うのが本音です。
そうした状況ですから、日本と中国は仲良くしてもらっていたほうが良いのです。

パウエル国務長官の辞任は、日中双方の政府に、日中関係はますます当事者間で解決するしかない問題だ、という焦りをもたらしたでしょう。
北朝鮮に対する強硬意見の噴出は、中国政府にタイミングを逸すると、マジで関係修復が難しくなる、ということを再認識させたでしょう。
そして、正常ではない複雑な日中関係にあって、APECでの首脳会談をアレンジするには、5日という調整期間は最低限必要でしょう。

「首脳会談実現に向けて、良好な雰囲気を創り上げて行きたい」
11月16日の定例会見で、中国外務省の章報道官はこのように言ったそうです。
現時点ではまだ、新華社通信のニュースサイトには、潜水艦の領海侵犯については何の掲載もありません。でも、この発言はアップされました。
中国政府は自らの人民をできるだけ刺激しないように、日中関係改善に向けたシナリオ、具体的には、潜水艦事件の対人民公開の方法と、両国首脳の会談のアレンジを、考えている最中でしょう。

私は、こんな事件がきっかけでも構わないので、日中関係が改善に向かって欲しい、と切実に願う北京でビジネスをしている日本人の一人なのです。
by pandanokuni | 2004-11-16 23:52 | 政治ネタ
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