自分の親もそうだし、妻もそうだし、この世代は老化する親に関する負担が多かれ少なかれあるのだと思う。
この時代の人間は65歳かそこらで、オフタイマーをかけてしまうべきだと、冷酷に考えたりする。 肉体や精神の衰え、認知症、80代にして夫婦の不仲、それにつけ込む悪人、支える負担。 周知のとおり、金銭的肉体的負担は収入のある世代が支えなければならないし、いずれ支えられるほうが多くなる。 人生が65年と決まっていれば、リタイア後の資産の管理にも計画性が活かされる。子孫に残そうが、アジアンリゾートで使い果たそうが自由だ。 医療技術の進歩などにより、寿命が伸びて、あと20年か30年か、もしかしたら40年か生き続けるのかも分からなければ、計画も立てられない。最期まで自分でマネージメントできるわけでもない。 65歳で転生できるのなら、リタイアしてせいぜい5年か10年の食い口を考えればよい。現役の年金負担も不要となろう。 長寿は目出度いのかも知れないけど、現世の経済論理では合理性に欠ける。 別に100歳まで生きなくとも、善を尽くして、転生・再生すればいい。 近年、都市部の災害より、高齢化の進む非都市部での天災が多いように感じる。高齢者が多く犠牲となる、さらに言えば経済的弱者が。 冷酷に言えば、神の見えざる手、なのかも知れない。 宗教を持ち出してもよい。 ぼくらは、率先して65歳のオフタイマーを埋め込むべきなのかも知れない。 #
by pandanokuni
| 2012-03-08 22:49
| ひまネタ
北京でネットバブルを相変わらず煽っている人たちと、facebookの時価総額がバブルか適正かという議論になりました。
お酒も入っていて、数字の桁が合っているか心配だったので、ホテルに戻って再検証してみました。 IPOを間近に控えたfacebookの時価総額は1,000億ドル(8兆円)と言われています。 目論見書によると、2011年の売上は37億ドル 、純利益は10億ドル(純利益率27%)。つまりP/E(株価収益率)は100ということになります。 facebookがいまのままの利益しか出さないのであれば、投資家は100年立たないと元手が戻って来ない、ということです。 ちなみに、GoogleのここのところのP/Eは20くらい。 とは言え、faceookは更なる急成長が期待されていて、2012年の売上予測は57億ドルとも言われているので(eMarketer)、 近い将来の落ち着きどころとしてP/E30くらいだろうと想定してみると、 この数年で、時価総額(に変化が無いとして)1,000億ドル÷P/E30=年間33億ドルほどの純利益が必要になります。 純利益率も、更に高められて30%と想定すれば、年間売上として100億ドル。 facebookの売り上げに占める広告収入の比率は、2011年で89%と言われていますが(前述eMarketer記事=売上額は過大だったが、売上比率は近似と判断)、 ソーシャル・コマース収入などが伸びて、近い将来に広告収入の比率が75%まで下がると仮定すると、 75億ドルの広告収入が期待される、ということになります。 facebook広告のCPC(1クリックあたりの単価)は、日本の場合4ドルを超えていますが、 USで2.4ドルくらい(Facebook JapanInside)。 近い将来の全世界平均CPCを3ドルで想定すると、 75億ドルの広告収入を得るには、15億クリックしてもらう必要があります。 facebookのユーザー数は、現状8.5億人。アクティブユーザーは4.8億人ほど、と言われています(Tech Crunch)。 仮に3~5年後のアクティブユーザーも5億人だと想定すると、 一人あたり、年間3クリック。 つまり、ユーザーが年平均3回程度、facebookに表示された広告をクリックすれば、売上100億ドルは達成され、時価総額=企業価値1,000億ドル(P/E30)は、さほどバブルなお話では無くなるわけです。 ソーシャル・コマースでfacebookがマネタイズを本格化すれば、より納得感のある金額になりそうです。 数の論理からいけば、中国のネット企業の時価総額ももっと高く評価されて然るべきだ、というのが、彼らの結論であったことに、間違いはありません...。 #
by pandanokuni
| 2012-02-27 23:26
| 経済ネタ
中国語の全文翻訳が出回っているのに、日本語が見つからなかったので、勝手に全文翻訳してみました。ご参照ください。また、誤訳等あればご指摘ください。
参照番号:09BEIJING1336 作成日時:2009年5月18日23:11 公開日時:2010年12月4日18:06 分類:機密 発信元:在北京大使館 【要約】 1.[機密] 米国領事はA氏とGoogleに対する、最近の中国政府の検閲圧力について電話で話した。おそらく、政治的記念日が近付いていることが、検閲圧力を加速させているのだろう。 A氏が断言するには、この問題の根源は中国常務委員会委員のX氏が、Googleの"消毒された"バージョンgoogle.cnから未検閲のgoogle.comサイトへのリンクを断ち切りたいと、求めたことに端を発するという。 A氏によると、Google Chinaは政府をなだめるために些細な別の対応はしたものの、企業理念に反するとしてリンクの削除を拒否した。しかるに、この戦術は成功せず、政府は3大国有通信キャリアとの取引停止を含む、Googleに対するビジネス的な制裁を課したのだった。 領事とA氏は、議会代表団の派遣や長官レベルが直接この問題に関与することなども含めた、米国政府の可能な対応について討議した。いまのところ、Googleは本件を公にしようと考えておらず、現状の努力の結果を見守ろうとしている。(要約終了) 2.[機密] 米国領事Dan PiccuaとA氏は、X氏がGoogleに対する検閲強化を加速している問題について議論した。 A氏によれば、常務委員会委員のX氏は、Googleの海外サイトが未検閲のままで、中国語検索でも検索結果が表示されることに最近気づいた。 噂によれば、X氏が自分の姓名を入力し検索してみたところ、自分に批判的な結果が表示された、という。さらにX氏は、Google.cnのホームページが、当人が「違法サイト」と信じているらしいGoogle.comにリンクされていることにも気づいた。 X氏は、関連する3官庁(おそらく工業情報化部、国務院新聞弁公室、及び公安局だろう)に対し、Googleに関する報告書の作成を求めるとともに、Google.comへのリンクを含む「違法行為」を止めさせるように求めた。 【ビジネス上の課題が露呈】 3.[取扱注意] A氏によると、Google.comとのリンクを削除することは、Googleの企業理念に反することであり、中国市場の重要性にかかわらず、Googleの上層部はこのような変更を明確に拒絶した。 A氏はよれば、最近までGoogleは事務的ではありながら”礼儀正しく”この問題で政府に対応してきたが、中国側カウンターパートナーは見るからに不満足気で、こうした情報はX氏に上げなけれなならないと語った。しかしながら、Googleは中国語サイトで既にいくつかの変更を行っており、今後も続けていくだろう、とA氏は報告した。 にも関わらず、A氏によれば、中国側は3大国有通信キャリアにGoogleとの取引を停止するように求めた。モバイル・インターネットで大きな勝負に賭けるGoogleにとっては、大きな痛手になるからだ。通信キャリアの1社はGoogleとの既存契約を白紙にするよう検討をはじめ、他の2社はGoogleとの交渉を棚上げした、とA氏は言う。他の国有企業もGoogleとの取引を停止するように求められている、とA氏は話した。 4.[取扱注意] A氏が予測するベスト・シナリオは、Googleがリンク削除を公式に拒否することに対して、中国側がGoogleの更なる非遵法行為に対して警告を発する、ということ。 更にあり得るのは、Google.comが散発的にせよ永続的にせよ、中国でブロックされてしまうことだ。この措置は、現在中国でブロックされているYouTubeと同じであるが、出張者、観光客、広告主などより莫大な利用者に影響を及ぼすことになるばかりか、おそらくGoogleのネットワーク、技術プラットフォーム、Gmailなど他のサービスにも影響を与える可能性がある。 更に政府がGoogleの中国でのビジネス・ライセンスを取り消すことすら考えられる。 (天安門事件30周年を迎える)2009年のセンシティブな記念日、とりわけY年6月4日の天安門事件の記念日にむけての中国政府に対する特別な挑戦とみなされる、とA氏は認識している。 【Googleは法的根拠を求めている】 5.[取扱注意] Google側の弁護士は中国側の要求に何ら法的根拠を見いだせないとしている、とA氏は報告した。 政府はリンク削除の要求を正当化するため、Google.comを非合法なウェブサイトだと呼んでいるが、中国の法律はこのサイトを明確に非合法とはしていない。このサイトは中国側によってブロックされておらず、たくさんの中国のウェブサイトもGoogle.comへのリンクを含んでいるのだ。 6.[機密] A氏によると、Googleは正義とブランドを維持するか、その報復として中国市場を失うか、というジレンマに直面している、という。 米国領事とA氏は、中国の検閲制度がビジネス上の義務に及ぶという、こうした領域への中国側の関与の難しさについて意見を交わしたが、米国政府も何らかのアクションが可能だと考えている。 【米国政府上層部の参画が必要】 7.[機密] A氏は、中国の法律に準拠したGoogleの中国での事業運営を対する米国上層部としての支持を、電話や書簡によってX氏に示すべきだ提言した。書簡では、問題が大きくならないように、外交上・ビジネス上相互に受諾可能な解決のための対話を促すべきだ、とA氏は進言した。Locke商務長官の参画こそ、最も効果的なステップになるだろう、とA氏は結論づけた。 8.[機密] A氏、彼はGoogleがこの問題の責任者であるKirkとLarsonに提起していることを認めたうえで、米国政府が接触の機会を用意する意向を強調した。 9.[機密] 米国領事は、米国政府がこの件を把握していることを明確にするため、またGoogleとの建設的な協議を促すために、公使が中国の当局者と会う予定だ、と話した。Googleは、米国政府が参画する前に中国政府が他の手段を講じるのかどうか数日間見守るだろう、とA氏は強調した。 【中国におけるGoogleの歴史】 10.[取扱注意] A氏によると、Googleは、検閲への同意に関する課題があるため、米国議会と株主による厳密な審査を経て、2006年に中国市場に参入した。 中国市場に合法的に参入し、かつ企業理念に忠実であるため、Googleは以下3項からなる「責任へのコミットメント」を採択した。Googleは、どんな場合であってもユーザーや検索習慣に関するあらゆる個人情報を中国政府に公開しない。Googleは、検閲により削除された検索結果がある場合は、そのことを必ず公開する。そしてGoogleは、常に未検閲を提供し、ホスティングは米国に置き、米国の法律に従う。 11.[取扱注意] 中国で業務運営を行うGoogleにとって、しぶしぶの合意であろうと理念を越えた我慢が必要であろうと、中国政府からのライセンス供与は不可欠なものだ、とA氏は語った。 彼によれば、2006年以降Googleは、他の企業と同様に検閲の命令にも従って、合法的に責任ある企業運営を行なってきた。A氏によれば、中国政府の検閲要求の大半はポルノ画像や違法サイトに関したものだった。Googleによれば、中国で検索結果がブロックされたのは全体の1%に過ぎない。 12.[取扱注意] A氏の見立てによると、Google China設立前の2002年、Google.comが約2ヶ月にわたって中国でブロックされたことがある。当時Googleの最大ユーザーは研究者で、Googleを通じた学術論文への接続が制限を受けたことに不満を抱いた彼らが、政府にサイトの再開を促した、という。 しかし今回、X氏はこのような影響に無関心とみられ、中国のインターネット・コミュニティーからの働きかけにも屈しない様子だ、とA氏は見ている。彼によると、X氏はGoogleを中国の「平和的革命」を扇動する米国政府の「道具」である、と信じているようだ。 【論評】 13.[機密] X氏による挑発的な発言や見方について、我々は確認も否定もできないが、大手国有通信キャリアに政府が強制している報復行為は、重大な懸念要素となっている。 Googleの一挙手一投足によって、米国議会や市民の声がさらに高まる危険があると見做されれば、中国側の態度が更にエスカレートすることも懸念されるので、米国政府高官の対応が求められる。 我々はX氏によるビジネス的報復行為を確認するには至らなかったが、このような動きは現実味があると思われる。 (論評終了) おそらく、New York Timesの記事をベースにした一部の報道では、Googleへのサイバー攻撃を仕掛けたのが中国政治局常務委員の李長春氏と周永康氏である、とされていますが、現時点で公開されている公電09BEIJING1336には、ご覧のようにサイバー攻撃に関する記述はありません。 New York Timesによると、Wikileaksによって既に公開されている公電09BEIJING1336に登場するA氏(WikileaksではXXXXXX)への取材により、X氏が李長春氏であること、また公電09BEIJING1336とは別に2010年初頭に発信された公電に、Googleに対する中国政府高官が関与したサイバー攻撃(ハッキング行為)のことが触れられているようです。 公電09BEIJING1336で明らかになった情報は、多くの中国のインターネット関係者の間では既知のものであり、強いインパクトの内容ではありませんでした。むしろ、引用報道で「信頼できる人物」として紹介されている情報提供者A氏に対する疑念すら呼び起こしそうな内容ですらあると感じています。 #
by pandanokuni
| 2010-12-06 17:23
| ひまネタ
「中国の釣魚島(尖閣諸島)を守る」と掲げたバナーの前のミリタリールックの写真が日本でも話題になった"日本の人気アイドルグループ"angel girl。日本のGoogleトレンドでは一時トップに輝くキーワードとなりました。
ほとんどの日本人が知らなかったこのアイドルグループの話題が、どのようなストーリーで中国のインターネットに広がって行ったかを整理てみます。 百度のニュース検索でangel girlの記事を調べると、現時点では3つの話題に分類できます。中国のニュースサイトは転載フリーですので、このことは、元記事(情報源)がほぼ3つであることを意味します。 最初の記事はangel girlという"日本で人気の"華僑アイドルグループの紹介記事で、2010年10月12日に発信されています。元記事は、中国共産党の機関紙「人民日報」のオンライン版である「人民網」のエンタメ版に掲載されています。 人民網エンタメ版発 日本メディアの報道によると、アイドルグループangel girlは東京近郊で近日出版される写真集 この記事は、angel girlのこれまでの活動には一切触れておらず、年末に出版される写真集の準備中(既に予約が80万冊!)としたうえで、日本のアイドル市場における女性グループの成功をSpeedやPerfume、AKB48を例に出して紹介しています。 謎のグループangel girlに関しては、"日本在住華僑の女性グループ"と簡単な説明をしているだけです。百度の検索によると、この人民網の記事は50以上の中国のニュースサイトに転載されています。 angel girlが次に中国のニュースサイトに登場するは、人民網の"紹介記事"が掲載されて1週間後の10月19日。ただし、angel girlが主役ではありません。「日本オタクの十大女神発表」というタイトルで、中国でも人気の林志玲がトップテン入りして、周冬雨が選に漏れた、ということを主眼として、この二人の写真が掲載されています。 日本の某雑誌社とコミュニティサイトが共同主催し、多数の日本の男性ネットユーザーが1ヶ月に渡る選考期間に積極的に投票した、とされるこの"十大女神"に選出されたのは、angel girl、AKB48、沢尻エリカ、Beckii Cruel、佐々木希、堀北真希、林志玲、蒼井そら、蔡依林、上戸彩。 angel girlの話題は、この"十大女神"のリストで登場するのみではありますが、アルファベット順でも五十音順でもなさそうなのに、トップを飾っている、というのは、何だか意図的ではあります。 「日本オタクの十大女神発表」の元記事は、複数の転載記事がニュースソースとして記している新快網であるようです(残念ながら現時点では元記事を見つけることができません)。梁燕芬さんという方の署名記事ですが、こちらも「日本メディアの報道によると」としています。この話題は120以上のニュースサイトに転載されています。 新快網は、広東省の夕刊紙「羊城晩報」を発行する羊城晩報集団傘下の中国では最も早く開設されたニュースサイトです。 そして3つ目の話題というか露出が例のミリタリールックの写真で、10月22日の午前中に、国際在線(CRI Online)が掲載したようですが、現時点で元記事は削除されてしまった模様です。元記事の体裁に近いと思われる中国新聞網の転載記事を要約すると: 昨日、日本のアイドルグループangel girlが自分たちのマイクロブログに「愛国ファッション写真」を発表した。日本在住の留学生たちの助力もあって、4時間も経たないうちに60万件ものアクセスがあり、そのマイクロブログは閲覧できない状態となっている。 そして、この記事で初めてangel girlのメンバーが紹介されています。
ところが、22日午後以降の記事では、「中国の釣魚島を守る」というバナーの前で撮影された写真が掲載されるようになりました(Neteaseの転載記事)。転載のニュースソースは国際在線。記事の内容は元記事のままですが。 国際在線(CRI Online)は中国国際放送(China Radio International・通称北京放送)のニュースサイトです。中国国際放送は、主に海外向けに外国語放送を行っているラジオ局で、もちろん中国共産党中央宣伝部傘下の組織です。 たかが偽造アイドルの話題かもしれませんが、露出のタイミング、ストーリー、発信源、メッセージを考慮すると、これはもう中国当局が巧妙に仕組んだ中国の若者に向けた"反日デモ"対策の一貫であるような気がしてなりません。 10月23日に内陸部を中心とした複数の都市で呼びかけられていた"反日デモ"は四川省独陽市を除き、ほぼ不発に終わったようです。その前日、少なからぬ中国の若者は、反中国の嵐の中、日本で頑張っている同胞の記事を目にすることになったわけです。そして、中国の若者の気持ちを代弁する写真を日本のネットオタクにも発信してくれている。だから、キミたちは学校や職場に留まっていてくれ、と。 その週末に発生したデモの兆候は、10月12日の時点で中国当局が掴んでいたのは確実でしょう。このタイミングで、架空のアイドルangel girlを仕込んでおく。16日・17日に各地で発生したデモが暴力化した状況に接し、翌週の抑えこみ対策の一貫として、angel girlのミッションが重要性を帯びてきたのでしょう。 angel girlの日本での人気ぶりをできるだけ客観的に記事化する必要があったので、19日の段階でさりげなくangel girlが「日本オタクの十大女神」に入ったことを発信。それもその時点では注目度が低かっただろうangel girlを見出しに使うのではなく、林志玲と周冬雨という中国でも注目度が高いアイドルをタイトルに加えて、記事自体の注目度が高まる効果も狙ったと想像できます。 そして、23日・24日のデモの拡大を抑えるため、キミたちの愛国精神はangel girlが代弁してくれているから、ということで、例の写真の発信。 あくまでも私の想像に過ぎませんが、もしこうしたストーリーで対策を練っていたとすれば感心してしまいます。捏造だでっち上げだと非難するだけではなく、日本もこうした情報操作を研究し対応していく必要があると思います。もちろん、これが"反日デモ"対策の一貫だったとして、どれほどの効果をもたらしたかは分かりませんが。 #
by pandanokuni
| 2010-10-23 22:01
| ひまネタ
今週は中国からのお客さまをたくさんお迎えしました。もちろんビジネス・トリップではあるのですが、この時期に集中したのは、日本で「お花見」をしたいという要望が大きかったからです。
中国のネット関連企業のCEOやVPの皆さんと、温泉に浸かりながら盛り上がったのは、やはりGoogleの話題でした。中国当局の"優遇"によって順調にビジネスを伸ばしている立場の皆さんですが、Googleには強い思い入れがあるようです。そんな中、GoogleがBaidu(百度)を買収したらどうなるだろうね、という話になりました。 折しも4月1日。これは絶好のエイプリルフールのネタになる、と思い、ネタ元のニュース・サイトを用意して、ツィッターでつぶやこうと思いました。 速報!! GoogleがBaidu(百度)を買収 ネタ元ニュースサイトは、こうしたスクープを発スルには最も相応しいであろうと考える"TechCrunch(日本語版)"のソースを拝借し、テキストだけ書き換えました(ちょうどYouTubeを買収した時の、おあつらえ向きの記事があったのです)。でも、このままアップするのはさすがに問題があるだろうと思い、ブラウザ表示画面をキャプチャーして1枚の画像にしたものをネット上に公開することにしました。しかも、そのページ(つまり1枚の画像)のどこをクリックしても、「ネタでした、ごめんなさい!!」と表示されるように、細心の"注意"を払ったつもりでした。 私をフォローしてくださっている方は100数十人ほどいらっしゃいますが決して多いほうじゃありません。私のつぶやきの流れの中で、すぐにこれはネタだと思って、クスッと笑ってくれるだろう、くらいに考えていました。ところが、予想外の反響となってしまいました。 翌朝、TLをみると200を越すリツィート。RTのコメントを読む限り、本物のニュースだと受け止めた方もいらっしゃいましたが、「ネタだ」「4月1日だよ」「わろた」と言った感じで、エイプリルフールのジョークとして好意的に受け止めてくださったかたも多かったので、安心していました。 ところが、翌4月2日午後に増えていくRTコメントを読んでみると、本気で怒っている=迷惑を被った方がいらっしゃることが分かってきました。ネタ元ニュースサイトのデザインとして利用させていただいたTechCrunch Japanにも問い合わせがあったようで、その公式ツィッターで「これは編集部で用意したものではなく、どなたかが勝手にサイトをコピーして作られたものです。」とコメントを出すような事態になっている....。「TechCrunchの許可をとったのか」と言う@私宛てにフォロワーで無い方からメッセージが飛んでくる...、と言うこと、これはもしかしたら笑い事じゃない、と。 ネタ元ニュース・サイトへのアクセスを調べてみたら、既に4万件を超えていました。 ツィッターというものは、フォロワーやそのフォロワーからだけではなく、まとめサイトやRSSリーダーなどを経由して、どんどん広がっていくものだ、と言う、バイラル・パワーそのものを過小に評価してたんですね...。自分のTL以外にもどんどんネタ元ニュースサイトのリンクが引用されていくので、私の4月1日のつぶやきをご覧にならずに、いきなりネタ元ニュース・サイトをご覧になった方が多かったのです...。バイラル・パワーなどと仕事の時には吹いているクセに、と反省しきりです。 ネタ元ニュース・サイトの削除も考えましたが、逆効果になることもあると思い、ネタ元ニュース・サイトの一部を修正しました。TechCrunchにこれ以上ご迷惑がかからぬよう、そのロゴの一部を改変したり、クリックしなくともネタだと分かるように。 ところで、「GoogleがBaiduを買収」がブラック・ジョークか、と言うと私はそうは思っていません。 BAIDUの時価総額は208億ドル(1.9兆円)。Marsico Funds(9.5%)、 Morgan Stanley(6.4%)などの機関投資家が46%強保有し、創業者や従業員のシェアは5%未満。過半数の流動性は十分確保されています。 いっぽう、Googleの時価総額は1,800億ドル(16兆円)ですから、BAIDUの8.7倍です。仮にGoogleが、10%のプレミアを乗せて、TBO(公開買付)を行えば、マジョリティ(51%)取得するためには、117億ドル(1兆500億円)が必要となりますが、Googleは09年末時点で、102億ドル(9,180億円)のキャッシュを持っていますので、数字の上では決して不可能なストーリーではありません。 上述の通り、Baiduの大株主はアメリカなどの機関投資家で、株式の過半数は中国からみて外資(アメリカが多い)が保有しているのです。中国では、特にインターネットなど情報関連事業で、様々な制約を受けるはずの"外資企業"であるBaiduが、中国で"のびのびと"企業活動を展開しているのには、いろいろなカラクリがあるのです。 ですから、BaiduがGoogle傘下になろうとも、Baiduの経営姿勢が変化がなければ、Baiduは中国で"のびのびと"企業活動ができることになります。Googleが中国でのビジネス上の劣勢を巻き返す手段としても十分あり、と言うことです。 この意味で、Googleがアメリカ企業だから中国当局が追い出した、と言う論理は成り立たないことが分かります。 いっぽう、Google傘下となったBaiduの経営姿勢が、Googleのそれになるのなら、その買収はまったく無意味なものになるでしょう。つまり、中国当局のセンサーシップ要求を呑まない、と決めた時点で、中国におけるメジャーな検索サービスが消えて無くなってしまうのです....。 つまり、Googleが言論や情報アクセスの自由よりも、中国の巨大マーケットが惜しくなった場合、つまりビジネス至上主義をむき出しにするなら、Baiduを買収して中国当局と仲良くすれば良いし、あくまでも"正義"にこだわるのであるのなら、なおのことBaiduを買収してGoogleの姿勢を貫き新生Baiduを閉鎖に持ち込めばよいのです。後者のROIは期待薄かも知れませんが....。 4月1日のつぶやきは一部の方を不愉快にさせるネタになってしまいましたが、楽しんでくださった方も結構いらっしゃったようで、livedoorのPJニュースからは「私的エイプリルフール特別賞」をいただくに至りました。 自分のことを棚に上げて申すなら、評論家やコンサルタントと言われる方のツィッター・リテラシーの低さに、残念な気持ちになりました。裏取りもせずに転載した後で、迷惑がかかるからとネタ元ニュース・サイトの削除を求めるダイレクト・メッセージを寄せてこられた名の知れた評論家のような方がいらっしゃったのも事実です。 ツィッターは気軽で無責任なツールで構わないと思っていますから、私はそのスタンスで楽しませていただいていますが、プロフィールに"それなり"のことを掲げてたくさんのフォロワーを持たれている方には、それなりの責任が求められるのではないでしょうか?もちろんオバマさんや鳩山さんの認証ツィッターほど重いものでは無いと思いますが。 私も皆さんを根っから騙すつもりでネタ元ニュース・サイトを公開したわけではなく、ちょっと調べればすぐにネタだと分かるようにしたつもりです。私もプロフィールに"Sino-Japanese business developper"と掲げてる以上、この領域の発言にはある程度の責任を持とうと思っています(4月1日以外は...)。 末筆になりますが、今回のつぶやきでご迷惑をお掛けした皆さん・不愉快になった皆さんに、心よりお詫び申しあげます。 #
by pandanokuni
| 2010-04-03 02:49
| 社会ネタ
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