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怖いもの見たさ!?『ココシリ』陸川監督の『南京!南京!』、『パンダ物語』水島総監督の"南京モノ"。
ことしは1937年12月に発生した「南京事件」から70年目にあたるということで、中国やアメリカなどで「南京事件」をテーマとした何本かの映画が制作され、公開される予定です。どのような映画が準備されているかについては、産経新聞中国総局福島記者のブログ「北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)」の2006年8月6日記事2006年12月4日記事に詳しいので、そちらにお譲りすることにします。
そんな折、AOLのテッド・レオンシス副会長がプロデューサーをつとめ、ビル・グッテンターグさんが監督するアメリカ映画『南京』が、インディーズ映画系では全米最大規模の「サンダンス映画祭」で1月18日に公開されたようです(Yomiuri Online)。

世界で5~6本準備されているといわれる"南京モノ"の中で、私個人が注目しているのは、チベットカモシカの密猟者とそれを取り締まるパトロール隊の物語を描いた『ココシリ(可可西里)』の陸川(ルー・チュアン)が準備を進めている『南京!南京!』です。
この映画、中国当局から制作の許可が下りないのではないか、と言われていたようですが、来月2月から四川省南充市高坪区に1,000ムー(約7万2,000平米)の南京城のオープンセットを建設し撮影を開始する、と中国メディアは伝え始めています(1月12日チャイナ・ドット・コム=四川新聞ネットなどからの転載記事など)。中国の映画は一般的に、脚本段階で国家機関である広電総局(中国ラジオテレビ映画総局)のチェックを受け、OKが出ると本格的に撮影を開始し、完成版初号で改めて広電総局のチェックを受け、許可が出てようやく公開されます。オープンセットの建設には多額の費用がかかりますから、少なくとも脚本段階では既に中国当局の許可が下りたか、或いは見込みがたったのでしょう。ちなみに広電総局映画局は中国の若手映画監督に資金援助していますが、2007年の援助対象者リスト16人の中には、この陸川さん名前も『CRAZY STONE (瘋狂的石頭)』(拙ブログご参照)。の寧浩さんらとともにあげられています(1月19日付け新浪網=新京報からの転載記事)。

陸川さんは、スパイ養成学校とも噂される解放軍国際関係学院を卒業後、恐らく一旦軍務に就き、北京電影学院(北京映画大学)の修士課程を修了した異色の監督で、ことし制作・公開される予定のいわゆる"南京モノ"のうち、唯一中国大陸に活動拠点を置く監督でもあるわけです。私は彼の前作であり、2004年東京国際映画祭で審査員特別賞受賞を受賞した『ココシリ(可可西里)』を観たことがあります。緊張感が最後まで持続する秀作でした。
前述のとおり、『ココシリ(可可西里)』は"チベットカモシカの密猟者とそれを取り締まるパトロール隊の物語"と言えます。モチーフとなったのは1996年に北京のの新聞記者が書いた、チベットカモシカ密猟者の自警団員が殺された、と言う記事だそうです。当時ココシリ(可可西里)ではチベットカモシカの密猟が後を絶たず、現地のチベット人たち有志による民間パトロール隊がその取締りを行っていたのですが、パトロール隊の一人が密猟者に殺された、と言う事実が背景としてあるのです。ただし映画作品としては、こうした事実に基づいたフィクションなのです。
ただ陸川監督の『ココシリ(可可西里)』、フィクションがノン・フィクション以上にリアルに伝わってきます。高原の冬の寒さとかカモシカの血の匂いとか高地の息苦しさとか殴られたときの痛さなどが、観ている側にもダイレクトに感じられるのです。この映画は、標高5,000m近いココシリ(可可西里)で半年かけて撮影されたとのこと。空気の薄さは平地の1/3ほどで、小走りするだけで倒れてしまうくらいで、監督も含めスタッフからは高山病が続出したそうです。
ちなみに、先日北京を訪れた『ジャンヌ・ダルク』を監督したフランスのリュック・ベッソンさんは、『ココシリ(可可西里)』と陸川さんを絶賛するとともに、『南京!南京!』の脚本に既に目を通し、これに強い興味を示し、この映画に協力したい、とまで言っているようです(1月17日付けNetEase)。

こうした監督が"南京モノ"を撮るとなると、フィクションも嘘っぽくなく創り込んでしまうでしょう。ツクリモノが歴史的事実であったかのように認識されかねません。
ただ陸川さんが『ココシリ(可可西里)』を、"密猟者=悪"と"パトロール隊=ヒーロー"という、デジタルな善悪構造の中に閉じ込めていないことに、私は期待したいと思っています。密猟者やその手伝いをする者にも止むにを得ない事情がありそうなこと、パトロール隊も非人道的な拷問や徴収した罰金の使い込みなど"悪事"を働いていること、そうしたシーンを織り込むことによって、どちらが善でどちらが悪かを作品の中で断定させず、オーディエンスに判断の余地を与えているようにも思えるからです。
さらに陸川さんは、香川照之さんが演じる日本鬼子(旧日本軍人)を人間味溢れる演出により単なる反日映画にしなかった『鬼が来た!』の姜文(ジアン・ウェン)監督に強い影響を受けていると言われています(この映画をカンヌで絶賛したのもリュック・ベッソンさんだったはず....)。
『南京!南京!』について陸川さんは、「私がオーディエンスにもたらしたいのは、絶望ではなくて期待なんだ。」とインタビューに答えています(1月12日チャイナ・ドット・コム=四川新聞ネットなどからの転載記事など)。
怖いもの見たさかもしれませんが、陸川さんの『南京!南京!』には映画作品として期待したいと思います。

1937年12月の南京での出来事が世界的に注目を集める年になりそうですから、これに関連する映画を日本でも本格的に取り組めば、と思っていたのですが、「日本文化チャンネル桜」の社長であり映画監督でもある水島総さんが準備を始めたそうです(1月21日付けイザ)。日本文化チャンネル桜はスカパーなどで配信しているテレビ局で反米保守的な傾向にあるといわれています(Wikipediaより)。アンチ・サヨクや反中国共産党政権系の討論番組などを放映しているようです。
水島総さんは小林よしよりさんのおじいさまも出演した、太平洋戦争当時のニューギニアで作られた兵士慰安のための劇団の物語『南の島に雪が降る』(1995年リメイク版)の脚本と監督を手掛けた方です。まぁ、一般的には右寄りっぽい感じの方に思えるのですが、その水島総さんは1988年の東宝映画『パンダ物語』の脚本も担当していたんですね。こちらのほうの映画は"日中国交正常化15周年・日中平和友好条約10周年記念作品"です。まぁ、いろいろあったんでしょうね。

こうした経歴をもつ水島総さんの"南京モノ"にも興味がありますが、世界中に配給できるようなもうちょっとメジャーな監督が手を挙げてくれないのかなぁ、などと思うきょうこの頃ではあります。
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by pandanokuni | 2007-01-22 17:34 | ひまネタ
四ヶ月ぶりの北京にて
駐在時代によく行っていた海賊版DVDの店がすっかりなくなってしなっていました。さすがに知的所有権保護政策が徹底してきたのかと思いきや....。
何軒かハシゴしてみて、最後の1軒。あぁ、ここはインテリアショップに変わってしまっていました、と立ち去ろうとしたその時、そのインテリアショップの前でうろついていた女の子が、こそっと「DVD?」と声をかけてきました。その女の子は閑散としたインテリアショップの奥へと導きます。狭い階段を地下2階まで下りていくと、そこは別世界。なんと、2フロア分の海賊版DVDショップが出現したのです。しかも店内は、欧米人を中心としたお客さんで賑わっていました。
さすが中国、政策には対策があるんですねぇ....。まさに「地下に潜る」とはこのこと。『DEATH NOTE 2』なんて、すっかり海賊版DVDで売っていました。
以前、ソウルの床屋さんに行ったとき、椅子の前の大きな鏡がくるりと扉になって、その向うが豪華個室浴場だったとき以来の驚きでした。さすがに、四ヶ月も北京を離れていると、ちょっとしたことにも感動してしまいます....。

新疆料理のレストランで羊肉串を食べたのですが、店員のウイグル系の女の子が、「お久しぶり!」と声をかけてくれました。このレストランは以前の生活圏からも離れていて、3~4回行ったことがあるくらいで、この店員の女の子とも特段話をしたわけでもないのに、私のことを覚えてくれていたのです。私が驚いた表情でいると、窓側のテーブルを指差して「あそこに座って一人で羊肉串とホウレン草炒めでビールを飲んでたでしょ」と。確かにその通りでした。私が日本に帰国したことを話すと、「また北京にきたら、ここにも来てね。」だって。何だか感動してしまいました。

このブログは、やはり北京に居ないとネタに困ってしまいますね....。
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by pandanokuni | 2007-01-14 01:24 | ひまネタ