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ケロロ軍曹と自虐史観的北京生活
b0047829_1795632.gif最近では珍しく、100話突破という快挙を果たしたテレビアニメ『ケロロ軍曹』を見ていると、自分とケロロ軍曹が似たような境遇に思えることがあります。
ケロロ軍曹は銀河のかなたケロン星から"侵略"のためにペコポン(地球)にやってきたのですが、いろんな事情で本隊からペコポンに取り残されてしまい、居候として身を置くことになった日向家の人たちの暖かい心遣いに包まれ、何となくまわりのペコポン(地球)人に気を遣いながら暮らしているのです。とは言え、遠く彼方の"本隊"からは"侵略"をいつも急き立てられ、尚且つ"侵略予算"など"本隊"からの充分なサポートも期待できるわけではなく、プレッシャーに負けそうになりながらも、間が抜けた侵略作戦を遂行していくのですが、日向家の長男冬樹くんの「軍曹、僕たち、ともだちだよね。」という決め言葉によって、侵略行動はいつも頓挫し、ペコポン(地球)人との友好と交流に勤しんでしまう、と言うお話です。

日本の会社の駐在員として北京にやってきている私は、何となく"本隊"から取り残されているという孤立感をかられることがあります。本社からは"任務"の遂行を求められているわけですが、時にはこちらの事情を無視した理不尽な"任務"もあるわけです。中国の状況については、こちらに長く住んでいても理解できないことだってありますから、日本の上司には一晩かけてお話しようが、数百ページのレポートを提出しようが、私自身が把握している範囲の状況すら、うまく理解してもらえないのです。
それなのに、この国の事情をあまり考慮せずに"任務"の遂行を強いてくるケースが多いのです。まして、こちらが必要と思うサポートも満足には得られていません....。
その一方で、こちらの人たちはそんな私の立場に同情的だったりします。日本の事情が分からないからなせる業なのかもしれませんが、本社の無理難題に対して、"理不尽だ"などと慰めてくれる幹部社員がいてくれたりします。

日本に居ると、中国は"とんでもない国"だ、中国人はとんでもない奴だ、みたいな論調をよく目にしますが、私が直接見聞きする限り中国はそれほど"とんでもない国"には思えませんし、私の周りの中国人もそれほど"とんでもない奴"ばかりが多いようには思えないのです。もちろん、日本を含めてどんな国にも"とんでもないこと"はあるはずですし、"とんでもない"人だっていますから、中国にだってそういうこと(人)は当然のことのようにある(いる)のも事実です。
ただ、時として遠き日本の人たちより、ここ北京の人たちのほうが、優しく暖かく感じられることすらあるのも事実です。

そんな自分は時々、戦後日本の自虐史観に支配されながら、ここ北京で暮らしているのかも、と疑わしく思えることがあります。例えば:
  • タクシーの運ちゃんに「あんたどこの人?」と聞かれると、日本人とは答えずに、「南の方の人」と答えてしまう自分。

  • 日本人の前で「中国人」のことを「中国人」と言わず、「中国の人」とか「中国の方」とか「こちらのローカル」などと言ってしまう自分。

  • こちらの女の子が「過去のこと」と言った途端、文脈に関わらず「ドゥエブチィ」(ごめんなさい)と言ってしまう自分。

  • ローカルな食堂のご主人に「お前、韓国人かい?」と言われても、敢えて否定せず「アニョハセヨ」などと調子づいてしまう自分。

  • 大相撲最終日のNHKのテレビ中継を見ていて「君が代」が流れはじめると、何となくボリュームを絞ってしまう自分。

  • カラオケで「我愛北京天安門」を元気に歌ってしまう自分。

誤解を受けないように申し加えますと、私は"知り合いの中国人"から吹っかけられた議論に関しては、小泉さんのことも、教科書のことも、靖国神社のことも、20世紀前半の戦争のことも、逃げることなく自分の意見を述べるようにしていますし、彼らの理不尽な意見に迎合したり妥協するつもりはありません。
でも、日常生活の中で"知り合いとは言えない無い中国人"には、何気に日本人であることを隠したり、"過去"の話題を避けようとしたりしているみたいなのです。なんだかペコポン(地球)人から身を隠すことのできるアンチバリアを展開して"隠密行動"しているケロロ軍曹たちみたいであります(ちなみに、ケロロ軍曹たちは"ボケがえる"みたいな風貌の宇宙人なので、地球人に見つかると解剖されたり標本にされたりするのではと怖れているようです)。

「この国では日本人であることが不利に機能する」という意識が心の奥にあるからでしょう。
それは、この10年の"愛国教育"により中国人の"反日感情"が高まりを見せている中で、日本人として面倒なことにはできるだけ関わらないようにしよう、という消極的な対処療法であるだけではなく、<日本という国家が過去の一時期においてこの国の人々に多大な迷惑をかけたし、未だに充分な償いをしていない>というようないわゆる"自虐史観"が心の奥で作用していることも否定できません。
私自身いわゆる"自虐史観"で物事を語られる人たちには批判的であるはずなのですが、ここ中国で暮らしていると"周辺環境"が"目に見えないプレッシャー"になって意識に働きかけているのでしょう。

b0047829_17102864.gifこれはもはや思想や信念などではなく、ごく簡単に言ってしまえば<周りの人に嫌われたくない>という感情なのかもしれません。もはやケロロ軍曹というより『新世紀エヴァンゲリオン』碇シンジの胸中ですね。.

ちっぽけな私人としての私は、知らず知らずのうちに、遠く祖国の同胞より身近な人たちとの関係、道理より感情が先んじてしまうように、なってしまったようです。でも国家の指導者の方々には、感情や利権に捉われることなく、お互いの国益を最大限引き出せるような、道理を重んじた外交を展開して欲しいと願っております。
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by pandanokuni | 2006-03-29 18:00 | その他
衛慧『ブッダと結婚』--中国人と日本人の恋愛物語 in ニューヨーク。
文革を知らない世代の中国文学を世界に伝播した女性作家・衛慧(Wei Hui)の『ブッダと結婚』。日本語版を翻訳された泉京鹿さんから直々にいただいた単行本をようやく読み終えました。

この小説は、主にニューヨーク・シティを舞台にした、中国人女性作家ココと日本人アドマン(?)Mujuの恋愛物語、と言うことができるでしょう。前世紀末に発表され物議をかもした『上海ベイビー』の続編と言う位置づけで、主人公ココと作者衛慧(Wei Hui)を重ね合わせて読むことを強いられるくらいの私小説として世には通っています。

両作品を通して、主人公ココは奔放な女性として作家衛慧(Wei Hui)とともにこの国では非難されることが多かったようです。現に『上海ベイビー』はポルノ小説として中国では発禁処分を受けました(実際のところ、読みたいと思えば海賊版やネット上でいくらでも読むことはできるのですが)。更に作家衛慧(Wei Hui)に対しては、その文学的才能を賞賛する意見よりも、自身の性的プライバシーをビジネス化しといる批判が多く、権威ある文壇からは煙たがられ、当局からは"西洋文化の奴隷"と非難されたそうです。こうした中国での"評判"こそが、この作家と作品を世界へと推し出した要因であることも否定はできませんが....
そこでまず考えてみたのが、主人公ココ=衛慧(Wei Hui)と敢えて捉えてみたとき、彼女が奔放で秩序を乱すような人物であるのかどうか、です。

タイトルからも推測できちゃうのですが、衛慧(Wei Hui)には中国では一般的ではない仏教系信仰を背景にした考え方があります。彼女は少女期の3年間を仏教寺院で過ごしたそうです。この多感な時期に僧侶と交流して得たことが、彼女の人生の根底を貫いているように思えます。小説『ブッダと結婚』の主人公ココは浙江省普陀山の寺院で生まれました。作家衛慧(Wei Hui)のブログのタイトルは「私の禅」(我的禅)です。『我的禅』は『ブッダと結婚』を中国国内で公開するためのタイトルでもあるのですが、このブログには普陀山のお寺の僧侶と散歩する実に穏やかな衛慧(Wei Hui)の写真がアップされています。

私には一時期のジョン・レノンが仏教に傾倒した"雰囲気"とは違って、衛慧(Wei Hui)の根本に仏教的思想が根付いているように思えるのです。私は仏教に詳しいわけではないので、、もっと具体化してしまうなら「無常観」と「輪廻転生」です(これって仏教的思想で当たってますよね!?)。前者が生きているうちのことで、後者が死後のことだと乱暴に分けてしまえば、主人公ココの生き方は常に「無常観」に支配されていて、作家衛慧(Wei Hui)の文学的表現にはいたるところに「輪廻転生」が散りばめられているように思えてきます。

<時の無情な流れとともに、あらゆるモノは変化していく。受け容れ難いことでも呑み込んで前に進んでいく必要がある。無常の時空こそ、唯一自分の味方なのだ。"Time is on my side !">主人公ココの生き方は、決して自分勝手でハチャメチャで恣意的なのではなく、こうした「無常観」によってコントロールされているように、私には思えます。
一方の「輪廻転生」は、作家衛慧(Wei Hui)が描く都市や自然や動物や風景や食器や料理やプレゼンやト、そして主人公ココの周りの友人や親戚などの人物描写など様々なところに分散しているように思えます。きっと若いので自分自身の死後の世界までを意識していないのかもしれませんが、彼女の描く様々なモノや人物は前世あっての意味ある存在であるように思えるのです。

こうした主人公ココ或いは作家衛慧(Wei Hui)の前に現れたのが、中国伝統の古い修行法(老子の道徳経)やメディテーションを実践している日本人アドマンだったのです。
この小説は、典型的な中国人女性と日本人男性の恋愛物語として読んでも楽しいので、次はこの点をみてみます。

主人公ココと日本人アドマンMujuとの恋物語には、中国人女性と恋をした多くの日本人男性が共感するエピソードがたくさん盛り込まれています。
耐え切れなくなったときの日本人男性の言葉:「君は料理が好きじゃない、安易にものを投げ捨てる、叫び声をあげる......」「意識していないのかもしれないけど、君の振る舞いにはいつも何の必要もない傲慢さがあらわれているよ」「君はほんとうにお姫様だね!」
多くの日本人男性は中国人女性と親密になればなるほど、相手のことを”甘やかされた扱いにくい女”とか"お姫様"とか思ってしまうのではないでしょうか。これは主人公ココに限ったことではないのです。

一方、多くの中国人女性にとって、彼女と真面目に恋している日本人男性は誠実で理性的あると思われます。安易にものを投げたり、大声でわめいたりせず、冷静で合理的にモノゴトに対処します:Mujuは静かに道理に基づいて争う方法を教えてくれた。
ただ、日本人男性にとっては生活の中の無用なトラブルを避けるがための、ある意味で合理的な誠実さこそが、時には相手を傷つけるものらしいのです:ただMujuは誠実すぎるだけなのだ。彼は嘘をつく時間も気力も使いたくないだけで、嘘をつくことによって生活を意味のない複雑なものにしたくないだけなのだ。

中国人女性が捉えた"日本人の男女観"。(1)女は男より遅く起きてはいけない。(2)女は男を厨房に入らせてはいけない。(3)女は男みたいに乱暴に話したりしてはいけない。(4)女は素っ裸で五分以上部屋をうろうろしてはいけない、たとえセックスの後であっても。
ちょっとコンサバ過ぎるかもしれないけど、私には納得できちゃう部分もあります。
主人公ココと日本人アドマンMujuとのいざこざの原因が、互いのパーソナリティにではなく、文化の違いに拠ることころのほうが大きいように、私には思えました。似たようなエピソードによって、破局を迎えた中国人女性と日本人男性のカップルは意外と多いと思います。蛇足ながら、日本人が捉える中国人女性のイメージが、"熱湯ぶっかけ"とか"インスリン注射"などに偏らないように、秘かに願っているところです。

最後は、上海・ニューヨークを中心とした「都市論」として、捉えてみたいと思います。
私は北京に住んでおりますが、出張などで上海に行くたびにこう思います:野心いっぱいに、ハイスピードで、クレイジーに、資本主義の路線を突っ走っている。これが上海。なんだってアリだ。やってくるものは早い、去っていくのも早いかもしれない。経済がヒートして、がやがやと騒がしい。上海をベースにして生きている彼女もそう思っちゃうのですね。そして、上海に感じる匂いと湿気と艶やかさ:上海は、だんだんニューヨークのようになってきてはいるものの、永遠にニューヨークにはならない。少なくとも上海の空気は永遠にあんなふうにしっとりと、雨上がりの花園か、そうでなければ風呂上りの女を思わせるにおいをしている。

そうした上海っ子にもコンプレックスはあるようです。だからこそ、主人公ココ=作家衛慧(Wei Hui)は:世界で最も資本主義化した一番クールな都市-ニューヨークにやってきたのです。そのニューヨークでは:「ファッションがちょっとおしゃれなアジア人は、絶対に日本からきているはずで、中国からきたんじゃないだろうってことになるよのね」
しかも、どんなにハイスピードでクレージーで資本主義路線を突っ走っている上海人であっても、"あこがれ"のニューヨークや東京やパリに簡単にたどり着くことはできないのです:中国のパスポートは、つねに他の国からビザを拒否されてしまう保証書のようなものだ。中国の若者のライフスタイルは、もはやアメリカや日本の若者とほとんど変わらない。けれと、彼らの夢と現実は衝突する。どこかへ行きたいと思い立っても、ビザの心配をすることなしに、チケットを手に入れるだけですぐにパリや東京やニューヨークに行くことはできない。どんなにたくさん身体にピアスの穴を開けたって、ちっともクールじゃない。
世界一国際化しつつある上海人の自虐的告白は、中国の大衆文化(ポップ・カルチャー)の脆い現実を語っています。

作家衛慧(Wei Hui)の仏教的思想を背景にした生き方に関しては、この国では例外的と言えるかもしれません。でも『ブッダと結婚』は、中国人と日本人の恋愛物語としてスナオに楽しめますし、いまの中国の尖がったお金持ち若者の実態をステキに描いていますから、中国嫌いの日本の若い方々にお勧めの一冊ではあります。しかも、さりげなく放置しておくと知的なインテリアになりそうな天野喜孝さんデザインのカバー付きです。

ブッダと結婚
引用はすべて、講談社:衛慧『ブッダと結婚』泉京鹿訳より
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by pandanokuni | 2006-03-20 22:43 | その他
李肇星外相、着ぐるみ被って、吼えちゃったぁ!!
3月7日午後5時(日本時間)に時事通信が配信した速報です。
【北京7日時事】中国の李肇星外相は7日、全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が開会中の北京の人民大会堂で記者会見し、日中関係に関して小泉純一郎首相の靖国神社参拝を念頭に「日本の指導者によるA級戦犯参拝は受け入れなれない」と強く非難した。さらに、「そのほかの多くの国の国民も受け入れられない」とし、ヒトラーやナチスを挙げて「ドイツ指導者は戦後、崇拝を表明していない。犠牲者の遺族の感情を傷つけてはいけない」とも述べ、ドイツを例に日本側に反省を求めた。
李外相は「米国人も1941年12月に発生した事件(真珠湾攻撃)を忘れていないし、日本侵略者はマラッカ(マレー半島)も攻撃した。このような例はとても多い」と強調。中国外相が内外の記者が出席した記者会見で、ここまで対日非難を展開するのは極めて異例だ。

そろそろ来るなーって予感はしてました。

全人代の冒頭の温家宝さんの発言は内政、内政、内政で、できるだけ外交やマクロ経済については注目されないように報道されていましたし、国防費14.8%増はほぼ"スルー"国民一人当たりの軍事費だとアメリカの77分の1だって!13億の人民効果ですね...)、本日は李肇星外務大臣が表舞台に登場、午後から内外記者に対して会見しました。
かたや日中の政府間協議では、東海の天然ガス田開発について、予定通りの平行線。日本側提案を中国が拒否し(Yomiuri Online、中国側が新たな提案をしたそうですが、日本が受け入れ難い内容のようですY! News=共同発)。当然中国国内報道での扱いは相対的に小さくなります。

さて、全中国にテレビで(ほぼ)生放送された李さんの記者会見。NHK記者によるお決まりの官製質問:①東海のガス田協議について、中国側はどのような提案をされ、どう解決しようとしているのか②日中両国間では多くの問題を抱えていますが、両国の外務大臣会談についてどう思われるか。に対する、李さんの発言を新華網のナマ採録にできるだけ忠実に再現してみます。
いま日中の政治関係が困難な局面にあるのは、日本の指導者が、侵略戦争を発動し指揮したA級戦犯への参拝を堅持しているからです。日本の指導者は、中国人民と侵略戦争で被害を受けた他の国々の国民感情を、再び傷つけるべきではありません。
これは非常に厳格な問題です。日本のいまの指導者がA級戦犯を崇拝していることは、中国人民だけではなく、多くの国々の国民にとっても、受け入れられることではないのです。

ドイツの政府関係者が私に話したことですが、「日本の指導者は何でこんな行動、馬鹿で不道徳なことをするのか、ドイツ人でも理解できません」と。これはドイツ人が話したことです
彼らが言うには、第2次世界大戦後、ヒトラーやナチス分子に対する崇拝を表明するドイツの指導者は一人もいませんでした。「ナチス分子によって殺された人々を生き返らせることはできなくとも、傷つけられた人々や殺害された方の遺族の感情を傷つけないようにすることはできる」ともおっしゃっていました

アメリカ政府の関係者は、「アメリカ国民は1941年12月7日に起きたことを忘れてはいない」と私に話してくれました。

マレーシアの友人は、「日本の侵略者がパールハーバーを空襲した同じ日に、日本の侵略者はマラッカをも空襲し、罪の無い多くの人々を傷つけた」と私に話してくれました。

こうした例はたくさんあります。三時間かけても、皆さんにご紹介しきれません。ですから、(私に代わって)皆さんが読者の方々にこうした話を伝えてほしいのです。(そうしてくださるなら)私は前もって感謝の気持ちをお伝えしておくことにします。

ここまで5分に渡る熱弁。それから、いつもの決まり文句:
中国側は、日本との善隣友好協力関係の基本方針を変えることなく進化させたいと思っています。私たちは引き続き、日中関係の改善と発展のために積極的に努力していく、と言う去年4月23日にジャカルタで胡錦濤主席が提起した5つの方針に従います。

そして、5つの方針の確認と、東海のガス田のお話へと続きます。

広大な中国のごく小さなコップの中での主導権争いの中で、いつのまにか日中関係が一種の"踏み絵"みたいな位置づけになってしまったことは、内外のメディアに見え見えになっています(日本の大衆メディアはあまりそうは伝えて無いようですし、小泉さんは相変わらず「外交カード」だと思っているようですが)。
全人代ではいまのところ、胡錦濤さんの存在感がいまひとつ、と言う感じです。内政重視と国際的地位の向上という一応ポジティブな"政策学芸会"において、日本に対する強気の立場を表明することこそ、コップの中で生き抜くためには、大切なことなんでしょうね。テレビで生中継されていたとは言え、私としては"中国人民向け”と言う印象を強く感じませんでした。

むしろ李さんの発言で感心するのは、ドイツ、アメリカ、マレーシア、と言う第三者の発言を引用した点です。
日中関係がコップの中の主導権争いの"踏み絵"なんかではなく、世界中の人たちが良くないと思っている侵略戦争の発動・指揮者崇拝が原因でギクシャクしている、と思わせようとしている意図が見えます。中国の対日政策は世界中の侵略戦争被害者の感情を代表した画期的なものだとおっしゃっているわけです。さすが外務大臣、世界中の"賛同者"を募って、コップの中の主導権争いをグローバル化しようとしている感じです。
「虎の威を借りる狐」とも違うように思えますが、ドナルドダックの着ぐるみを被って、吼えちゃった、って感じでしょうか。

それにしても日本の外交部隊、何とかならないんでしょうかね....
北京ではいつもこの時期、全人代と協商会議が開かれます。二つの会議「両会」と呼ばれ、北京人は面倒なことに巻き込まれないよう、普段よりちょっとだけ気を引き締めて過ごします。私も、この時期日本から遊びに来たいと言う知人がいれば、時期をずらすようにお勧めしています。ナイト・ライフではハメを外せませんし....。「この国は問題なく、健全に、うまく行っているぞ」と年に一回、13億人民に対して開催する学芸会みたいなものですから、舞台を提供する北京市民はお見本を示さなくてはならないワケです。

どういう事情で日程が決まったかは定かではありませんが、こんな時に日本からのこのこやってきて、「ガス田一緒に頑張ろうよ」などと持ちかけても、中国側が肯く可能性などゼロであることを、誰も教えてあげなかったのでしょうか....このタイミングで日中政府間協議を開催するメリットって、日本側にあったのでしょうか....佐々江さん乙!
私個人としては好きな対応方法ではないのですが、中国を一緒になっていじめるような仲間作りすら、日本はうまくできてないのです。ま、勝手に李さんに仲間にされてしまった、ドイツ、アメリカ、マレーシアが喜んでいるとも思えませんけど、ね。
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by pandanokuni | 2006-03-07 20:57 | 政治ネタ
ホンモノの<宮沢りえ>だと思った。

b0047829_225213.jpg北京市内のバスストップに掲出されている「北京北海医院」のライトボックス広告....妙に気になります。
ナース姿の宮沢りえではないか、と。
10年位前の宮沢りえ、そっくりだと思いませんかぁ....
どう見ても、眉毛とか加工してるし、ナースのユニフォームは合成だから、きっとどこかから宮沢りえの写真をパクって勝手に使っているのではないか、と思ったのです。

そこで、きっと元になった写真があるはずだと、中国の百度と日本のGoogleでイメージ検索したのですが、このアングルや表情の写真は見つかりませんでした。
この広告幅3m×高さ1.5mくらいの大きさなので、雑誌からのスキャンやネット上での拾い物の写真では、画像が粗くて使えないでしょうから、もしかしたら若い頃の宮沢りえそっくりのモデルが中国にいるのかも知れません。

中国語にはひらがなやカタカナが無いので、宮沢りえの「りえ」は「理恵」と漢字で表現されます。中島みゆきは「美幸」、浜崎あゆみは「歩」、宇多田ヒカルは「光」。最近はカタカナやひらがな、英字のアーティスト名はそのまま表記する場合が多いようです。が、なぜかCHEMISTRYは「化学超男人」で定着してるようです....
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by pandanokuni | 2006-03-05 02:28 | ひまネタ
<娯楽施設管理条例>施行 -- こーいうお店はキケンかもしれない
フーゾク系のネタのウケが良かったので、連荘(レンチャン)することにしました。やはり3月1日から改正「娯楽施設管理条例」(人民網:中国語条文/エクスプロア北京:日本語参考記事)というものが施行されました。中国の法令って読んでいるだけでも面白いものです。
そこで今回は、「こーいうお店はキケンかもしれない」という観点で、改正「娯楽施設管理条例」の一部をご紹介してみます。北京の夜を楽しくかつ安全にお過ごしの皆さんには「馬耳」かもしれませんが…..



マンション系ビルの一室や地下にあるお店。
第7条 以下の場所に、娯楽施設を開設してはならない。
(1)住居建物内、博物館、図書館及び文物保護単位の建築物内
(2)住宅地区及び学校、病院、役所周辺
(3)駅やバスターミナル、空港等人が多く集まる場所
(4)建築物の地下1階以下
(5)危険化学品の倉庫などに隣接する区域

マンション系ビルだけではなく、住宅地区の中にあるお店もヤバそうです。地下にあったカラオケ、引越したのかなぁ….



「日本人はケチでスケベだぁ」と罵る女の子のいる高級ローカル・カラオケ。
第13条 国家は民俗の優秀文化を提唱しているので、娯楽施設での以下の内容が含まれる娯楽活動を禁止する。
(1)憲法が定める基本原則に違反する内容
(2)国家統一や主権、領土保全を侵害する内容
(3)国家安全に危害をおよぼす、或いは国家の栄誉や利益に損害を与える内容
(4)民族間の憎しみや差別を助長し、民族の感情や風俗・習慣を傷つけ、民族の団結を破壊する内容
(5)国家の宗教政策に違反し、邪教や迷信を煽る内容
(6)淫らなこと、ギャンブル、暴力、ドラックなどに関わる犯罪行為、或いは犯罪の教唆を内容
(7)社会道徳や民族の優秀な伝統文化に背く内容
(8)侮辱、他者の誹謗、他者の法的権利の侵害内容
(9)法律や行政法規で禁止されているその他の内容

これは(8)に抵触しますし、解釈によっては(4)の前半部分<民族間の憎しみや差別を助長>にも触れそうです。ただ日本人を罵ることは(4)の後半部分(中華)<民族の団結を破壊>こととは正反対の行為かも知れませんが…私としては、(3)の<国家の利益に損害を与える>と言う意味でも、日本人のお客さんを罵らないで欲しいと願っています。
ま、日本人向けのカラオケではそんなことは少ないのでしょうけど。



四方壁で仕切られた個室のカラオケ。
第16条 カラオケやディスコの個室ブースを遮断空間にしてはならない。室内が見渡せるような透明窓を設置し、内側から施錠できるようにしてはならない。

カラオケの個室のドアにはたいていのぞき窓がついていますが、内側から布切れで目隠ししてたりします。ほんとはあの程度でもアウトなんでしょうね。



盛り上がってくると個室のライティングを落として、暗くするカラオケ。
第17条 営業期間中、カラオケやディスコの明るさは国家規定の標準を下回ってはならない。

<国家規定の標準>の明るさって、何ルックスとか決まっているんでしょうかね?ディスコなんかはどうするんでしょう。



どうみても、海賊版のカラオケ・ソフトが設置してあるお店。
第18条 娯楽施設で使用する音楽や映像のコンテンツ或いはビデオゲームなどは法律にもとづき出版、生産、或いは輸入された製品で無ければならない。(以下略)

歌本が手作りのコピーバージョンだったり、日本の楽曲の映像が20年前のレーザーディスクだったりするようなお店は怪しそうです。日本楽曲の中国向けカラオケって正規でやっているところもあるようですが、JASRACとかにちゃんとお金が落ちているのかも怪しいものです….



日本人ママのいるお店。
第24条 娯楽施設では未成年者を雇用してはならない。外国人の場合、国家の関連規定に基づき外国人就業許可証の手続きを行わなければならない。

<外国人就業許可証>があれば問題無いんでしょうけど、そうでないケースのほうが多いのではないでしょうか。なお<未成年>の定義は法的に確立されてないようなのでパス。



女の子が私服で迎えてくれるお店。
第27条 営業期間中、娯楽施設の従業員は統一したユニフォームを着用し、従業員であることがわかるバッヂを付け、身分証または外国人就業許可証を携帯しなければならない。(以下略)

<従業員は統一したユニフォームを着用>しなければならないから、みんなバラバラの私服だと条例違反になっちゃいます。セーラー服とかブルマでも<統一したユニフォーム>と見なされればOKなんでしょうね。
<従業員であることがわかるバッヂ>もポイントですね。かつてカラオケで働く女の子は従業員ではなく、女性のお客さんと言う位置づけにして、男性客と意気投合して飲んでいるのだから、店側に管理責任は無い、という方法で摘発逃れをしているケースも多かったのですが、新しい条例はそうした摘発逃れを助長しそうな雰囲気ですが....



サービスする女の子に、チップの支払が必要なお店。
第14条 娯楽施設及びそのスタッフは、以下の行為を行ってはならず、場所を提供してもならない。
(1)ドラッグの販売や提供、他者にドラッグを勧めたり、強要したりすること
(2)売春行為を他者に提供したり、勧めたり、強要したりすること
(3)わいせつ物を制作したり、販売したり、陳列・表示すること
(4)営利を目的として客に付き添うこと
(5)ギャンブル
(6)邪教や迷信に関する行動
(7)その他の違法犯罪行為

ソファに座り、お酒を用意してくれたり、おしゃべりに付き合ってくれたりする女の子に、チップを支払うことは、(4)の<営利を目的として客に付き添うこと>に抵触する危険性が大ですね。お店側がサービス料を徴収する、ってこともNGかもしれません。
前項に戻ると、接待する女の子を<女性客>と言う位置づけにしても、この条項の<場所を提供してもならない>に触れることになりそうですから、やはり逃れられないようですね。



深夜2時を過ぎても営業してくれるお店。
第28条 深夜2時から午前8時まで、娯楽施設は営業してはならない。

お客が遅くまで居座ったとしても、強制排除しなければならないんでしょうね。



メニューや料金表の無いお店。
第29条 娯楽施設は提供する娯楽サービスや販売物について、明確な価格表を用意して消費者に提示しなければならない。(以下略)

ボーイさんが耳元で「ボトル込みで600元です」とか言うお店には、きちんとメニューを見せてもらいましょう。<テイクアウト ○○○元>とか明記されているかもしれません。



悩んでしまうのが、<スナック>の扱いについてです。
「娯楽施設管理条例」では、<娯楽施設>を次のように定義しています。
第1条 娯楽施設とは、営利目的で公衆に開放されていて、消費者が歌やダンスやゲームを楽しむ場所である。

北京の<日本人向けのスナック>にはほぼ100%カラオケが設置されていて、お客さんが歌を楽しむわけですし、お店の女の子とカードやボードゲームを楽しむこともあります。お客と女の子がダンスを楽しむことができるスナックもあります。そうした実態を考慮すれば、日本人向けスナックはこの条例で言う<娯楽施設>に他なりません
ところが実際多くのスナックは、飲食店のライセンスで営業していますから、いまのところこの条例の”対象外”ということになってしまうのでしょうか.....

いずれにしても、この条例が厳密に運用されれば、北京の夜はこれまでのようには行かなくなってしまいますが、そんなことは当面ありえないと思います。
また、この条例はあくまでも娯楽施設とその経営者・従業員を取り締まるもので、お客さんに対する処罰は含まれていません(もちろん他の法令に違反すれば別ですが)。またお店が違反を摘発されたとしても、せいぜい営業停止とか営業ライセンスの剥奪といったところです。

カゲキなカラオケなどは、軍や公安、政府の幹部関係者が経営している場合も多いのですが、今回の条例では一応、「いけません」と明記してあります。まぁ、いくらでも抜け道はあるのでしょうけど….
第4条 国家機関及びその職員は娯楽施設を開業したり、経営活動に参加してはならない。文化主管部門、公安部門の職員と配偶者関係にあるもの、直系親族、三等身以内の傍系親族、及び婚姻を予定する者の親族も、娯楽施設を開業したり、経営活動に参加してはならない。

蛇足ではありました。

※このエントリーは、「みどりの果敢な北京生活」からインスピレーションされました。北京在住の日本人妻みどりさんのブログはいつも興味深い内容なのですが、何故か私がコメントを残すこともtbを送ることもできない状態なのです。みどりさん、このブログもしご覧になっておりましたら、感謝しております....
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by pandanokuni | 2006-03-03 18:10 | 社会ネタ
買春、奥さんにツーホーしまつ。
3月1日から改正「治安管理処罰法」が施行されました。2008年の北京オリンピックに向けて、中国の治安を維持するための法令強化で、日本の軽犯罪法とか迷惑条例に似たような条項も加わりました。刑事訴追する前に、最長20日間の拘留を含む罰則を行政が課すことができます。
例えば...バスや電車で騒いだ者(第23条-3)、スポーツ観戦で審判や選手を取り囲んだりモノを投げた者(第25条)、人前で他人を理由無く罵った者(第42条-2)、家族を虐待した者(第45条)、押し売り(第46条)、騒いで近所に迷惑をかけた者(第58条)などは、200RMB以上の罰金や15日以内の拘留と言う罰則を課せられると規定しています。

これに関連して「治安管理処罰法いよいよ施行、買春した者は奥さんに通報されます」という記事が南京晨報に掲載され、多くのニュースサイトに転載され、話題になっています(NetEaseの転載記事)。
でも実際に「治安管理処罰法」を調べてみると:
第66条 売春、買春は、10日以上15日以下の拘留さらに5,000RMB以下の罰金。軽微の場合、5日以下の拘留または500RMB以下の罰金。公共の場所で客引きした者は、5日以下の拘留または500RMB以下の罰金。
第67条 他人の売春行為を促したり紹介した場合、10日以上15日以下の拘留さらに5,000RMB以下の罰金。軽微の場合、5日以下の拘留または500RMB以下の罰金。
で「奥さんに通報する」とは書いていません。

前述の南京晨報の記事をよく読むと、「奥さんに通報する」と言うのは、江蘇省公安庁法制処の王蘭青・副処長の思いつきのようでした。「これまでは買春で捕まって拘留された人に家族や勤め先には言わないでと頼み込まれると、警察も「ご主人は出張」という方便を使ってあげた」ようですが、彼によると「3月1日から、警察は買春行為を摘発した際、買春者を拘束するだけでなく、家族にも通知する」そうです。
江蘇省の公安幹部の発言ですから、北京の公安が真似するとは思いませんが....

NetEaseにはこの記事に対する意見の書き込みが2日間で4,000件以上ありました。いくつかご紹介します:
「ナイスなアイディア!!」
「(こっちオンナなんだけどー)男どもよ、ヤルんだったら潔くヤレ!奥さんにツーホーするのは理にかなってるのよ!」
「勤め先にもツーホーしろよ」
「独身の奴はどーなるんだ!ガールフレンドにツーホーするのかよ!」
「オレには奥さんも、勤め先も無い....」
「これでレイプ事件がまた増える」
「女房の間男のこともツーホーしてくれ」
「オンナがアヒルを買う(女性による買春)は、見逃すのかよぅ」
「こんな規定は、法理の基礎を欠いている」
「世界に類を見ない悪法だ。個人のプライバシーの侵害だ、政府がこんなことをやり出すとは!!!」
(2日間削除されず残っているのはスゴイと思う...)
「これで離婚率はまた上昇だなぁ」

ちなみにこの法律、外国人には拘留や罰金のほかに「退場」(国外退去)を命じることもできるようになっています。
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by pandanokuni | 2006-03-02 23:30 | 社会ネタ