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メディアも栄枯盛衰、センセーショナルな「新京報」と火消し役「北京青年報」。
去年のいま頃まで北京で新聞広告を掲載する場合、「北京晩報」というタブロイド版の夕刊紙と「北京青年報」という共産党青年同盟のブランケット版機関紙の2紙はハズせない感じでした。東京で言えば、「読売新聞」と「朝日新聞」みたいなものです。北京だけでも主要ローカル新聞が6~7ありますから、ご予算に余裕があれば「産経新聞」や「毎日新聞」もとい「北京晨報」や「京華時報」にも広告を出しましょう、となります。

ところが、いまでは「北京青年報」に広告を出したいとクライアントがおっしゃっても、よほどの理由が無い限り、別の新聞をお勧めしてしまいます。
「北京青年報」の広告収入は今年に入って激減しているらしく、業界の噂では前年比の10~20%(ダウンではありません。去年の80%~90%ダウンということです)らしい。「北京青年報」の発行元は昨年末に上場を果たしたのですが、読者離れが進み実売部数がどんどん落ちてしまい、広告メディアとしての価値が激減してしまいました。それで収入も大幅に落ち込んでいるのです(「没落"貴族"北京青年報」についてはWorld Media Lab中国語版(11/15)もご参照ください)。

いまは中国でも、センセーショナルな記事が掲載される新聞ほど読者を増やしています。中国の報道はすべて統制下にあって、当局からのメッセージしか掲載されない、と思ってらっしゃる日本人も多いかもしれませんが、最近はスゴク政治絡みの内容でも無い限り、各紙競って特ダネを探して掲載しています。
いっぽうで胡錦濤さんの出身母体である青年同盟系の機関誌である「北京青年報」、他紙がセンセーショナルな記事を出して、人民が盛り上がってしまったときの"火消し役"みたいな任務を負わされるようになってしまい、センセーショナルな記事はほとんど掲載されなくなりました。

「北京青年報」に代わって頭角を現してきたのが「新京報」というやはりタブロイド版です。「北京晩報」や「北京日報」と同じ系列の発行元で、一般庶民が興味を持つ社会ネタ中心の、創刊して2年もたたない新しい新聞です。北京ではこの「新京報」が一般庶民ウケする、センセーショナル報道の第一人者でしょう。

「警察発表」などあまり行わない北京で、例えばバスの中でひとりの少女が乗務員に絞め殺されたという「三面記事」的事件を追跡して、取り上げたりもしています。(pinpinさんの「遠走高飛」に詳細)
吉林省の化学工場爆発で、アムール川(松花江)が汚染されハルピン(哈爾濵)で水道がストップしたあたりの話も、先週まで北京では「新京報」がかなり大きく取り上げたりしていました。
反日運動やビールのホルムアルデヒド問題などのときも、世論を盛り上げるのは北京なら「新京報」などの"センセーショナル・メディア"です。そして「北京青年報」などの国家指導者に近いメディアが、他紙の潮流に水を差すような報道をして"火消し"するのです。
例えば「新京報」のアムール川報道も、先週末温家宝さんが現地視察して、つまりコトが公になってからは、どの新聞でも読める"つまらない"記事になってしまいました。

また、「北京青年報」などの機関紙は"宅配"中心で、政府機関や国営企業を中心とした職場で購読する割合が高く、新興の新聞の攻勢にタカをくくっていたフシがあります。「新京報」などの新興センセーショナル新聞は、街中でよく見かけるマガジンスタンド(KIOSK)を中心に販売攻勢を仕掛けました。見本紙をオフィス街で無料配布したり、ときには豪華景品で釣ったり(日本の新聞社ほど景品にお金はかけていないようですが)、販売部数を伸ばすために、あの手この手でプロモーションを行っています。

そんなわけで「北京青年報」は読者と広告収入を失い、「新京報」が読者の支持と広告収入を拡大しています。
読者層が違うんじゃないの?北京の若者インテリ層は「北京青年報」でしょ、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、意外とそうではないことを付け加えておきましょう。
もともと北京の若者インテリ層が「北京青年報」を愛読していたか、というとそうではないのです。90年代前半ならわかりませんが....
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by pandanokuni | 2005-11-28 19:59 | 社会ネタ
北京と東京の地図を重ねてみると、私の住まいは"吉原"あたりだった。
中国の地図には縮尺が記載されていないことが多いようです。正確な地図は軍事機密に属するから、などと聞いたことがありますが、Google Earthのご時勢に、不便なお話です。
それでも、最近はスケール入りの地図も見かけますし、三環路や四環路を含む主要な道路には、「次の出口まであと何Km」という標識が、かなり正確に表示されるようになりました。

北京の道路は幅の広い直線が多いので、距離感が掴みにくいように思います。そのかわり、市街地の道路のほとんどはは東西か南北で一直線にできていますので、方向感覚は掴みやすいと思います。
タクシーの助手席に乗ると、メーターの走行距離を覗き見することができますから、A地点からB地点まで何Kmという情報は得られますが、メーターの精度が低いのか、同じ区間を同じ経路で走っても、乗るたびに距離が違ったりします。

東京の山手線(の内側の面積)は、北京だと三環路(の内側の面積)と同じくらいなのかなぁ、などと漠然と思い込んでいて、ならば四環路は東京で言えば環七になるだろう、と日本からの出張者に説明したりしていました。

でもホントにそうなのか疑問に思い、東京の地図にGoogle Earthでゲットした北京の衛星写真を重ねてみることにしました。Google Earthは距離の表示も(たぶん)正確にしてくれるので、東京の地図の1KmとGoogle Earthの1Kmが一致するように。
すると、山手線の東西の幅が二環路のそれとほぼ一致することが判明したのです。南北の高さもほぼ一致です。
つまり、東京において山手線の内側だと思っていた地域は、北京では二環路の内側にしか過ぎない、と言うことです。とすると、三環路が環七で、四環路は環八くらいの感じなのだろうか.....

これはもっと正確を期さなければならないと思い、北京の地図と東京の地図を同縮尺で重ねてみるしかないと思い立ちました。
いやはや思いのほか、困難な作業でした。
ネット上で入手できる地図も市販の地図もスケスケで透明なわけではないので、二枚重ねると下のほうの地図が見えなくなっちゃいます。ですから、それぞれの地図を線画でトレースすることから始めなければなりません。
Photoshopに取り込んで、縮尺と方位を正確に一致させて、それぞれの地図をトレースして.....と、思いつきで始めた作業は、せっかくの休日の私をヒッキー君にしてしまいました。

b0047829_22154932.gifそれでも何とか二枚の地図を重ねることに成功しました。
北京の故宮と東京の皇居を同じ位置にして重ねるのがスジだと思いやってみましたが、北京の西側と東京の東側には馴染みの薄い自分としてはスワリが悪かったので、北京の天安門と東京の新宿駅を同じ位置になるようにしました。
そうすると.....

  • 天安門が新宿駅だと、東京駅は東三環路の双井橋付近になります。

  • 私の住む朝陽公園のあたりは、浅草のちょっと北。まさに吉原のあたりになりそうです。

  • 六本木は、天壇公園あたり。景山公園は、高田馬場。

  • 北京首都空港は、千葉県の流山市付近。つくばエクスプレスの流山おおたかの森が最寄り駅。

  • 北京大学は、東武東上線の朝霞駅付近。

  • 2008年にオリンピック開会式の開催予定地は、なんと西川口

  • 盧溝橋は小田急線の新百合ヶ丘駅より先。

と言う風になります。
「北京・東京重ね地図」、どうぞ皆さんも見てやってください。

もっと大きな地図は、こちらから、どうぞ
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by pandanokuni | 2005-11-26 22:17 | 社会ネタ
国連報告「日本は人種差別問題に取り組むべき」by人民日報
日本の皆さんは国連が「北朝鮮人権決議案」を採択したことはご存知ですよね。そして、ブッシュさんが中国を訪れて「中国の人権と宗教の自由に懸念を示した」ことも日本の報道で知られている方も多いと思います。
さらにブッシュさんが北京に滞在しているときに「人権問題」を直訴しようと上海からやってきた中国人30人が当局に拘束されたことまで、ご存知かもしれません。
日本のメディアがたくさん報道しているからです。

でも、ここ中国では日本は人種差別国家という報道がされています。
この報道は捏造でもでっち上げでも無い客観的なもので、第60回国連大会にアナン事務局長が提出した世界の人種差別撲滅に関する報告の中で日本も名指しで取り上げられているという事実を報道しているのです(人民網・11月9日日本語版)。
このニュース、共同通信が配信したようですが、日本のメジャーなニュースサイトで見つけることはできませんでした。四国新聞社Webクリスチャントゥデイなどで、読むことができます。
つまり、多くの日本国民はこの事実を知らされていないのです。

アイヌ民族などの国内少数民族や日本に居住するアジア人や中東、アフリカ、ヨーロッパ出身者が、差別を受けているというこの報告は、7月に日本を訪れて調査したセネガル人のドゥドゥ・ディエン特別調査者が作成したとのこと。
ディエンさんの人となりや日本での調査内容に偏りがあるのではないかという疑惑については、goriさんのIrregular Expressionやlancer1さんのアジアの真実ヒロさん日記などのブログの論壇で詳しく紹介されています。

すごく端的にまとめれば、反日で朝鮮などの肩を持つディエンさんが、都合の良いところだけ訪れて作った偏見に満ちた報告書を国連が真に受けた、と言う疑惑です。
中国の人権問題を取り上げる人たちの多くは、反中(共)でしょう。その人たちが、チベットや東トルキスタンを訪ねて宗教や少数民族が抑圧されている、と報告することと、ディエンさんなる人物がウトロ(京都府宇治市の韓国・朝鮮出身者が多く居住する地域)などを訪ねて東アジア人が抑圧されている、と報告することは、似たような話に思えます。

いつものことですが、私が心配するしまうのは、日本の外交とメディア
中国外交のウマさによって、と言うより、日本の外交の下手さによって、日本は国際社会でどんどんプレゼンスを失ってしまい、逆に中国が台頭してしまいます。

木走日記によれば:
*国連の『北朝鮮人権非難決議』 賛成84カ国、反対22カ国、棄権62カ国
*日本をターゲットとした『人種差別をあおる慣習についての決議』 賛成97カ国、反対4カ国、棄権63カ国(反対は、日本、アメリカ合衆国、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島共和国。アメリカ一辺倒の外交の成果と言えなくないですね....)
国連改革として掲げた安保理常任国入りの話はどうなったんですか?
腐った国連なんてどうでもよいのかもしれませんが、先日のAPECにしても、来月の東アジアサミットにしても、中国のほうが日本より存在感を示していくでしょう。北方領土のお話も後退、東シベリアのパイプラインは中国に向かって延びていこうとしているのです。
身近なところでうまくできなきゃ、より広い世界で評判をあげることなんてできません。

そして日本のメディアは、こういう状況をあまり積極的には伝えないんですね。日本が批難された国連報告にしても、国民の前に曝しだすべきでしょ。世論が、捏造とするのか、日本外交下手の結果とするのか、事実と捉えて改善を求めていくのか、それはそれで良いと思います。でも、影響力のある大衆メディアが報じなければ、国民は知ることすらできないのです。
アメリカ一辺倒の小泉外交については、ときおり民放のテレビニュースでも批判されているようですが、日本が国際社会の中で影響力やプレゼンスを失いつつある現状を多くの日本国民が知らされずに居るのではないでしょうか?
毎日毎日、小泉さんの囲み取材を必ずオンエアするテレビ局の皆さん、小泉さんが、そして彼が指導する国家が、国際社会からどのように思われているのかをもっと客観的に報道して欲しいものです。
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by pandanokuni | 2005-11-23 21:51 | 政治ネタ
鳥インフルエンザで亡くなった14人のリスト
なんだか2003年4月頃の非典(SARS・新型肺炎)の時に似てきましたね....。
「37.5度以上の原因不明の発熱があった場合、指定病院で検査を受け、結果が判明するまで病院に留まりましょう」(新華社サイト)と言う、当局による呼び掛けが始まりました。
SARSの時は、空港や公共の施設など至るところで体温チェックが行われ、発熱者は指定病院で検査、そんなシステムでした。
いまのところ、北京の一般ピープルはSARSの時ほど"盛り上がって"いない感じで、冷静に振舞っています。それなのに、政府系のメディアは一般ピープルの不安を煽るくらいに、鳥インフルエンザの話題を伝えています。新華社のサイトは「鳥インフルエンザを積極的に予防しよう」というスローガンのバナーまで用意して、サイト内に貼り付けてます。ホントにSARSの時みたいです。

公式には人から人への感染が確認されているわけでもないですし、当局にヤバイ鶏肉を流通段階でシャットアウトする自信があるのなら、こんな大袈裟なキャンペーンは必要無いようもに思えます。もちろん予防を呼び掛けることは大切です。
でもここまで大々的にやられてしまうと、ホントのところは、ヤバイ鶏肉がそこら中で売られているとか、或いは人から人への感染が既に確認されたとか、疑いたくなってしまいます。

もう一つ、当局の"過敏な"対応が、中国での鳥インフルエンザの実態に疑いを抱かせてしまいます。
中国では鳥インフルエンザによる人間の死亡例は、公式には2例と言うことになっています。しかし、ネット上では14人の死亡者リストが掲載されました。Sankei Webでも伝えていますが、ソースは博詢新聞というアメリカ発の中国関連ニュースサイトです。欧米系ソースの転載が中心ですが、独自ネタも掲載しています。中国当局にとって都合がよろしくない記事も多いので、こちらからはアクセスできない状態になる場合もあるのですが、中国当局も寛容になっているのか、アクセス可能な状態も意外に多いのです。
でも、この「14人の死亡者リスト」が掲載されてから、完全にアクセスできなくなってしまいました。この記事だけではなくトップページも見ることができない状態です。

この記事のソースは匿名のネット住民で、遼寧省では既に77人亡くなっていて、その中の出稼ぎ労働者14人の名前だけを挙げているのです。博詢新聞自身「このニュースは事実関係を確認したものではない」と断りながら転載しているものです。遼寧省の地元ピープルの実名を挙げれば、ウラドリも可能ですが、出稼ぎ労働者ならウラドリは困難でしょう。名前や出身地なんていくらでもデッチ上げられますから。
つまり、日本の巨大掲示板にでも書き込むものなら「通報」されちゃう類のネタかもしれないのです。
当局もこんなネタにまで過敏になって、アク禁を強化しなくてもよいのに、大人気ない対応だなぁ、と思います。
もしかしたら、このネタは実態を捉えていて、ホントは既に何十人も亡くなっているのかも知れない、と余計に不安になってしまいます。

当局の鳥インフルエンザに対する"過敏な"対応に、「何だかホントはスゴイことになっている」と言う不安を感じるのは私だけでしょうか?

そういえば、鳥インフルエンザには直接効果が無いとは知りつつも、インフルエンザの予防接種を受けてきました。日本の3分の1くらいの料金で受けられるのですが、以前日本の本社が費用を負担していたことを思い出して、セコイ話ですが問い合わせてみました。
本社の答えは"NO"。自己負担でお願いします、と言うことでした。以前はSARS対策と言うことで、汚染地域の駐在員に対してインフルエンザの予防接種を呼び掛け会社負担にしたとのこと。でも今年は鳥インフルエンザ対策になるので、日本も含め世界中が対象となってしまうので、会社負担にはできない(したくない)という理由でした。
確かに、鳥インフルエンザは日本でも発症しているし、一理ある話ですけど、やっぱ中国のほうが危険性は高いような気がします。

とはいえ、ゆうべも「焼き鳥」でした。中国の鶏肉はホントおいしいんです....
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by pandanokuni | 2005-11-22 22:13 | 社会ネタ
ブッシュさん来中。胡耀邦さんと、(無理やり)小泉さんも絡めて。
「ブッシュさんが北京に来るので交通規制が行われます」という脳天気なメールが在華日本大使館から届きました。
ご親切な在留邦人サービスかもしれませんが、北京のあのあたり(ブッシュさんのお宿である国際倶楽部飯店の周辺)はいつも激混みですし、"小物"のお偉いさんが通るたびに北京の目抜き通り(長安街など)は交通管制に遭うのですから、まずは本業の外交をしっかりやってくれ、と思っちゃいます。

19日18:40、李肇星外交部長(外務大臣)が出迎える北京首都空港に、ブッシュさんは無事到着したようです。
ブッシュ訪中を前にして、米中両国の外交の駆け引きは日本のそれよりは見応えがあって、面白いものでした。
さすがネオコン政権、或いは自国の政治的自由に弱点があるのか、アメリカはまず宗教の自由をテーマに揺さぶりをかけようとしたフシがあります。9月中旬に国務省が発表した「宗教の自由」に関する報告書で、懸念される国の一つとして中国を名指ししました。11月9日には訪米したダライラマ14世にブッシュさん自ら会っています。

中国の反撃はある意味一貫しています。さっそく外交部が「ダライラマは単なる宗教人士ではなく、祖国分裂活動を行う政治的亡命者だ。」と反論してました。中国は宗教の自由を保証しているそうです。ですから小泉さんの靖国参拝も「宗教的な行為ではなく、政治的な行為」と言う解釈が成り立つわけです。

次は16日に京都に"立ち寄った"ブッシュさんが反撃をする番です。要約すれば「表現や宗教の自由が保証されている台湾を見習えば、もっと中国は繁栄する」と言うアジア政策演説をぶったのです(要旨=京都新聞Web)。

中国はもちろんスグに、「中国は発展の道を歩みつづけ、人権問題でも大きな進展を得た。中国人民は宗教の自由を含む、民主主義と自由を享受している。国と国は、平等・相互尊重・内政不干渉の原則のもと、人権問題に関する対話を進めるべきだ」反論しました(中国外交部Web:中国語)。ブッシュさんが台湾を持ち上げたのはむしろ逆効果で、中国のほうは自粛していた台湾への武器輸出問題を持ち返すことになっちゃいました。
更に周到に用意していた"隠し玉"を、18日に厳かに実施しました。「胡耀邦元総書記生誕90周年記念座談会」です(新華社Web:中国語)。

胡耀邦さんが亡くなったときに、89年の"騒ぎ"は始まりました。"騒ぎ"を鎮めようと、自ら群衆の中に入りメガホンで学生たちに説得した趙紫陽さんは今年1月に亡くなられました。趙紫陽さんは死んでもなお「一九八九年春から夏にかけての政治風波のなかで趙紫陽同志は重大な過ちを犯した」(by新華社)と形容され、89年に広場に同行した温家宝さんすらお葬式に参列できませんでした。

胡耀邦さんも趙紫陽さんも、世代は違ってもいまの中国民衆のヒーロー的な存在です。こうしたヒーローを賞賛するとしょっ引かれてしまうような国家は、外から見る限り民主主義とは言えない状態でしょう。ですからブッシュさんをお迎えする前に、胡耀邦さんの再評価もやっているよ、と言う姿勢を示そうとしたのでしょう。
これは対外的にある程度の効果があるはずです。ただ中国民衆や知識層が、本気で喜んでいるかと言うと、そうでも無い感じです。胡耀邦さんを持ち上げるようなイベントを組んでおきながら、回想録などの発行は許可されていなかったりしているらしいですし(Yomiuri Online)。

ブッシュさんが一生懸命粗捜しして、ようやく見つけた宗教や表現の自由と言うこの国の"泣き所"ではありますが、この国でそういうことに関心を持つことが可能な人たち(つまり主として都市部のある程度経済的に恵まれた人たち)にとっては、差ほど重要なことでは無いようです。
胡耀邦さんの名誉を回復したかったのは、権力の中枢にありつづけたい胡錦濤さんご本人でしょう。共産主義青年団で可愛がってもらっていたわけですから。そして趙紫陽さんの名誉を何とかしたいと一番思っているのは温家宝さんではないかとも思います。でも江沢民さんが生きている間は、じっとしてるしかない.....私だけではなく、私の周りの多くの中国人がそんな推測をしています。
抽象概念としての民主化より、ど田舎の節度をわきまえないバカな役人を何とかしなければならない、と言うのが、この国の中枢部にもマスコミにも小金持ちにも貧乏人にも共通した問題意識であるような気がしてなりません。

と言う感じで、ここから見ていると訪中前のブッシュさんの"仕掛け"は、中国側の"想定内"だったようで、明日からの首脳会談を有利に進めるための先制パンチは不発に終わってしまったのではないかと思います。

そう言えば、胡耀邦さんと言えば、1986年に当時の日本国首相中曽根さんが「靖国神社公式参拝を取りやめる」と言う書簡を出した相手先だったんですね。
その胡耀邦さんにしても趙紫陽さんにしても、その名誉が回復されるまで、中国の公人にお墓参りすらしてもらえないはずです(こっそり供養している人はいるでしょうけど)。前述の通り、趙紫陽さんのお葬式には良き後輩だった温家宝さんすら参列が許されなかったのです。
このあたりにも、中国が"靖国参拝"を理解し難いという、文化或い宗教的考え方の違いが伺えると思うのですが、いかがなものでしょう。

さて靖国ということで、ようやく登場の運びとなるのが、我らが小泉さん。日本国内での存在感とは裏腹に、外に出るとカゲが薄いですね....。
信念を持っての靖国参拝でしょうが、APECでは韓国がホストだったし、中国のほうが話題性(?)が高いから、他の参加国もどちらかと言うとその二カ国に気を遣って、小泉さんとは仲良くお話しするのも差し控えた様子です。
ノ・ムヒョンさんには日本に行きたくないと遠まわしに言われるし、プーチンさんは大事な領土会談を目前にして小泉さんと近寄りたいと思わなかっただろうし、唯一のお友達ブッシュさんの気持ちは既に中国訪問に向かっていたでしょうから、孤独だったんじゃないでしょうか。
18日のプサンでの記者会見では、BBCの記者にまで"Yasukuni"を突っ込まれるだけでした。APECで孤立状態だった小泉さんのことを新華社Webがシンガポールからの外報として伝えています。日本での報道より客観性があると思えたのは、私だけでしょうか....
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by pandanokuni | 2005-11-20 03:38 | 政治ネタ
中国で鳥インフルエンザが大流行して、帰国拒否されたときのために.....
鳥インフルエンザは、いろんな国や地域に広がっているので、もちろん中国でも発生しています。
先日出張で出かけた遼寧省のある町などは、はっきり言って封鎖状態でした。町に入る幹線道路を地元の公安当局が通せんぼしているのです。2年半前にSARS(新型肺炎)が流行した頃の、北京みたいでした。
でも、こんなニュースはあまり公けになっていません。北京周辺でも、養鶏場の鶏が全滅したような噂は耳にします。
中国当局の公式発表でも、ニワトリなどへの感染は、中国の多くの地域に広がっているようです。「どこどこの省で何十万羽のニワトリを処分した(から大丈夫)」というニュースは、かなり流れていますし、北京市でも感染を防ぐために、伝書鳩の利用を自粛するように呼び掛けたり、鳥の巣を取り払ったり、公園の鳩や水鳥を"間引いたり"し始めているようです。

私はこの1週間で3回ほど日本風の焼き鳥屋で一杯やっていましたが、北京の人たちは鶏肉を食べることを自粛しているようです。何となくKFCのお客さんも少なくなっているように感じます。

ニワトリが感染している分には、まだ心に余裕もあるのですが、中国では人間も感染し、更に人間から人間に感染しているのではないか、と言う疑いが持たれています。
まず湖南省では12歳の少女が肺炎に近い症状で亡くなっており、WHOが専門家を派遣したようです(ゲンダイnet・11月10日)。その後、この少女の周囲の3人に感染したのではないか、とも噂されています。
東北部の遼寧省でも、H5N1型に感染している疑いの女性がいるようですし(NIKKEI Net・11月16日)、湖南省で肺炎にかかった9歳の男の子はH5N1型抗体反応が陽性になったそうです(NIKKEI Net・11月16日)

このように、中国では既に人間にも感染している可能性が高いようです(SearChina)

ヒトからヒトへの感染の発表も、もしかしたら、そう遠くないかもしれません....そうなると何だかSARS(新型肺炎)の頃を思い出してしまいますね。日本の本社から帰ってくるな、とか、帰国しても1週間はホテルに待機しろ、とか言われたり、中国帰りの子供が日本の病院で診察を拒否されたり、日本の学校でバイキン扱いされたり.....また、嫌な思いをすることになるのでしょうか.....

でもご安心!「タミフル」をご存知でしょう。日本では最近副作用が問題視され、なかなか処方もしてもらえないインフルエンザ"万能薬"です。
中国では「タミフル」のニセ物がすでに出回り始めています。「タミフル」の主成分"リン酸オセルタミビル"が含まれているらしく、鳥インフルエンザにも効くと言われているらしいのです。
精神状態を不安定にさせるという副作用が指摘されている「タミフル」の"非正規版"ですから、服用にあたってはあくまで自己責任を貫く必要があるでしょうし、もちろん違法行為になりますので、あまりお勧めできません。
しかし、中国に居る間に鳥インフルエンザが大流行してしまい、日本への帰国が許可されなくなったときのために、買い置きしておくくらいは許されるかもしれませんね.....
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by pandanokuni | 2005-11-16 16:00 | 社会ネタ
[いずれにせよ]テロ情報まで、中国政府に気遣いですかぁ....[警戒]
11月9日CNN Webは、「中国の高級ホテルでテロ情報と、北京の米大使館情報」と伝えました。在中国のアメリカ大使館は中国在住のアメリカ人にEmailで警告までしたそうです。アンマンでイラクのアルカイダがホテルを爆破したらしいので、それっぽい情報だなぁと思っていました。

中国の欧米系ホテルは何もアメリカ人だけが利用しているわけではありません。ビジネスに観光に日本人もたくさん利用しています。北京の欧米系の高級ホテルは立地が便利ですし、トイレだって安心して利用できるので、私もたまには打ち合わせや待ち合わせに使ったりします。アメリカのテロ情報なんて、当てにならないとは思いつつも、北京でアルカイダのテロなんかにぶち当たったら洒落になりません。

我が日本政府はこのテロ情報をどのように扱っているか、さっそく在留法人の保護がミッションの一つである在中国の日本大使館のホームページを覗いてみることにしました。

ありました。テロ情報。でも、
イスラム過激派が中国国内のホテルへの攻撃を計画している旨の情報については、10日、中国外交部により信憑性がないものとされました。」だって!!この情報だけでは、意味不明って感じですね。

それなら、中国外交部がどんな発表をしたのか調べてみたのですが、HPを見る限り、きょう(10日)までの定例記者会見の内容では、そんな話はでていません。
ならば、中国の報道はどうなのか、ちょっと調べてみると、ありました、ありました....「聯合早報」のWebsiteにこんな記事が....
「中国外交部のスポークスマン秦剛さんが、きのう記者会見で関連質問に、このところ六カ国協議の仕事に忙しくて、イスラム過激派が北京でテロを計画しているような情報は聞いたことが無い、と答えました」
もしかして、日本大使館の情報ソースってこのことですか?でも、「きのう(9日)」の発言だから違いそうですね。きっと独自に問い合わせたら「アメリカの言ってることなんて信じなくて良い」とか言われたんでしょう。

それにしても、さすが在中国の日本大使館は、中国に対して気遣いができてますね。
アメリカよりも中国を信じるんだ、という姿勢、なかなかのモノです。小泉さんや安部さんに知れたら、怒られちゃうんじゃないでしょうか。
でも、責任逃れも怠ってないようです。HPでは、
いずれにせよ、当館としては、在留邦人の方々の安全に万全を期すべく、関係各機関と緊密な連絡を図っていく方針です。 」だって!!

いったい何が「いずれにせよ」なんでしょう。

中国(特に北京)の4つ星、5つ星ホテルをご利用の皆さん、「いずれにせよ」ご用心しましょうね!!

[追記]
在中国アメリカ大使館のサイトでも、11月10日付けでテロの危険情報は「信憑性が無い」と撤回したことが分かりました。
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by pandanokuni | 2005-11-11 00:02 | 政治ネタ
機中の小沢一郎クン
一週間ほど日本にいて、ようやく北京に戻ってきました。10月29日土曜日、北京から日本へ行くANAのフライトで民主党の小沢一郎クンを見かけました。

私は飛行機に乗るとき、できるだけ一番前か一番後ろの列の窓側に座るようにしています。窓側でも、北京から日本に向かうときは、A(コックピットに向かって左側)、日本から北京に向かう日中のフライトではK側を希望しています。巡航中真南から直接陽射しを受けることが無いから、映画を見るにも眠るにもシェードを下ろす必要がないからです。わざわざ窓側を選んでおいて、シェードを閉めては意味がありませんから...
。その日は1Aシートが塞がっていて、その一列後ろの席のボーディング・パスを受け取りました。

狭い機内に長居したくないので、私はできるだけゲート・クローズぎりぎりに搭乗するようにしています。でも一番最後だと、離陸が遅れた原因のように思われ、席について待っているほかの乗客の冷たい視線を浴びかねないので、搭乗ゲート付近で待機しつつ、頃合を見て乗り込みます。
その日もほぼ全員乗り込み、ブリッジの行列が途切れたあたりで搭乗しました。周りの席はほぼ埋まっていました。でも、私の前列の1Aとその隣の2席が空いたままでした。

ドアクローズぎりぎりになって、ダークスーツ姿の4人連れが乗り込んできました。そのうちの一人は小沢一郎クンでした。小沢クンにはオーラを感じました。或いは連れの三人があまりにも小物に見えたからかもしれません。濃紺のスーツに"SP"の襟章をつけた方が二人。元機動隊みたいな風貌です。もうひとりは30代の小柄な男性でした。
小沢クンは最前列の窓側1Aにゆったり腰を下ろし、SPの一人がその隣に座りました。もう一人のSPと大きな紙の手提げ袋を二つほどぶら下げた30代の男性(たぶん秘書でしょう)は奥のほうに進んでいきました。このお二人にはYクラスにお席が用意されてたのでしょう。

さっそく客室乗務員が小沢クンの席にやってきて、新聞をお勧めしていました。時々横顔が見えるのですが、嫌味の無い笑顔なんですね。大物センセイにありがちな威圧的な或いは横柄な態度はまったく無かったように見ていました。
フライト中は隣の席のSPの方と一言二言会話するくらいで、ずっと姿勢を正していました。真後ろの座席の私には、背もたれからはみ出た小沢クンの襟首から上がほとんど動くことなく凛とした感じに見えました。もし私がオンナだったら惚れてしまいそうな雰囲気です。
なんと、食事を済ませてリクライニングを軽く倒す際には、後ろを振り向き、私に「ちょっと失礼します」と声までかけてくれました。

小沢クンは靖国問題においてA級戦犯の分祀論者のようですが、小泉さんを「約束を守らない奴」とコケ下ろすためだけに、中国に行ったのではないように思います。親分が角栄さんだったこともあり、<理中派>であるとは思いますが、機中でのあの"凛とした"雰囲気を見てしまうと、中国のお偉いさんにただ媚を売るような国会議員とは違って、対等の立場で言うべきことは言うタイプなのではないかと、秘かに期待してしまいます....。今回の訪中は小泉参拝直後の要人会見にもかかわらず、日本ではあまり大きく報道されていなかったようですが.....
日本で古館伊知郎さんのテレビ番組に小沢クンが出演していたのをたまたま見てたのですが、ちょっと歯切れが悪かったですね。民主党の中ではちょっと浮いた存在になってしまったのでしょうか?若手の幹部を批判するだけではなく、また表舞台にしゃしゃり出るくらいの気持ちで頑張ってもらいたいと思いました。

ここで疑問点。党首でも大臣でもない"ヒラ"の国会議員の海外渡航に、何でSPが二人も付くのでしょうか?同じ民主党の国会議員でも自宅前で刺殺された石井紘基クンには、一人のSPも付いていなかったのではないかと思うと不思議です。
調べてみるとなぞが解けました。どうも国会議員としての"公務"だったようですね。「第13回長城計画友好交流代表団」の名誉団長という"肩書き"で中華全国青年聯合会(日本で言うとJC=青年会議所みたいなものですが、中国では政府関連機関です)の招待を受けての訪中ということで、きっとSPが二人も付いたのでしょう。

成田に着くと、入国審査の一般ピープルの列にはさすがに並ばずに、SP、秘書とともに、そのヨコの通路へと向かっていきました。
強面の印象が強かった小沢クンでしたが、機中の雰囲気や客室乗務員への態度など奢るところ無く、とても<好印象>でした。やっぱ、小物ほど横柄な態度をとるのでしょうかね。
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by pandanokuni | 2005-11-07 21:56 | 社会ネタ