カテゴリ:経済ネタ( 14 )
広告を一人年間3クリックすれば、facebookの時価総額1,000億ドル(8兆円)は説明がつく
北京でネットバブルを相変わらず煽っている人たちと、facebookの時価総額がバブルか適正かという議論になりました。
お酒も入っていて、数字の桁が合っているか心配だったので、ホテルに戻って再検証してみました。


IPOを間近に控えたfacebookの時価総額は1,000億ドル(8兆円)と言われています。
目論見書によると、2011年の売上は37億ドル 、純利益は10億ドル(純利益率27%)。つまりP/E(株価収益率)は100ということになります。
facebookがいまのままの利益しか出さないのであれば、投資家は100年立たないと元手が戻って来ない、ということです。

ちなみに、GoogleのここのところのP/Eは20くらい。
とは言え、faceookは更なる急成長が期待されていて、2012年の売上予測は57億ドルとも言われているので(eMarketer)、
近い将来の落ち着きどころとしてP/E30くらいだろうと想定してみると、
この数年で、時価総額(に変化が無いとして)1,000億ドル÷P/E30=年間33億ドルほどの純利益が必要になります。
純利益率も、更に高められて30%と想定すれば、年間売上として100億ドル。

facebookの売り上げに占める広告収入の比率は、2011年で89%と言われていますが(前述eMarketer記事=売上額は過大だったが、売上比率は近似と判断)、
ソーシャル・コマース収入などが伸びて、近い将来に広告収入の比率が75%まで下がると仮定すると、
75億ドルの広告収入が期待される、ということになります。
facebook広告のCPC(1クリックあたりの単価)は、日本の場合4ドルを超えていますが、
USで2.4ドルくらい(Facebook JapanInside)。
近い将来の全世界平均CPCを3ドルで想定すると、
75億ドルの広告収入を得るには、15億クリックしてもらう必要があります。

facebookのユーザー数は、現状8.5億人。アクティブユーザーは4.8億人ほど、と言われています(Tech Crunch)。
仮に3~5年後のアクティブユーザーも5億人だと想定すると、
一人あたり、年間3クリック。

つまり、ユーザーが年平均3回程度、facebookに表示された広告をクリックすれば、売上100億ドルは達成され、時価総額=企業価値1,000億ドル(P/E30)は、さほどバブルなお話では無くなるわけです。
ソーシャル・コマースでfacebookがマネタイズを本格化すれば、より納得感のある金額になりそうです。


数の論理からいけば、中国のネット企業の時価総額ももっと高く評価されて然るべきだ、というのが、彼らの結論であったことに、間違いはありません...。
[PR]
by pandanokuni | 2012-02-27 23:26 | 経済ネタ
Googleのビジネス・センスと中国国内向けインターネット規制強化
Googleの無検閲表示もリンク先にアクセスできなければ無意味

Googleが中国から撤退の検討をしているというニュースは、日本でも大きな話題となりました。Googleが1月12日にブログで発表したコメントは、「今回の攻撃(当社の社内インフラストラクチャーに対する、中国を発生源とするきわめて高度かつ標的を定めた攻撃)と、中国政府が打ち出した監視 ― 加えて、過去数年にわたるウェブ上の言論の自由制限の強化 ― を踏まえ、当社は中国における事業の実現性を再考する必要があるという結論に至った。」と、ハッキングが中国からであることを断定するとともに、その文脈からは幾分唐突気味に、中国政府によるインターネット規制を、事業再考の理由の一つに掲げました。

中国政府によるインターネット規制として、Googleが直接問題としているのは、検索結果表示に対するセンサーシップです。Googleは、天安門事件やチベット、ウイグル問題など、中国政府にとって都合が悪いウェブサイトを検索結果から削除させられており、「現地の規則により、一部の検索結果は表示されていない可能性があります」と表示されています。
ただこのことが、中国国内からのインターネット・ユーザーにとっ不便な規制なのかと考えてみると、実はそうではありません。Googleが中国で検索結果を表示できないウェブサイトのほとんどは、一般的な方法では中国からアクセスできないものなのですから。つまりGoogleが、ガンデンポタン(チベット亡命政府)や世界ウイグル会議のリンクを表示したとしても、中国の一般ユーザーがリンク先のページに辿り着くことはできないのです。

つまり、Googleが中国政府のNGワードの検索結果を表示できたとしても、中国が誇るGreat Fire Wall (不適切な外国サイトを遮断するシステム)が機能する限り、実質的な成果は極めて小さいのです。中国政府のインターネット規制、とりわけ検索結果に対するセンサーシップ(検閲)を事業再考の理由の一つに上げているGoogleを、"Don't be evil (ビジネスで悪さをしない)"精神の発揚だ、などと単純に賞賛する気持ちにはなれません。Googleのビジネスそのものにとって重要な何か(それは何かのソースコードかも知れない....)が損害を受けつつあったから、という推理に共感を覚えてしまうのもそのためです。

インターネット規制の重点が、中国国内に

Googleのような派手なプレイヤーが登場しない地味なところで、中国国外のメディアが十分な監視を怠っているうちに、中国のインターネット規制は着実に完成しつつあります。2009年初から、中国政府は国内のインターネットの「大掃除」に着手しているのです。
まずそれは、「低俗ウェブサイト」の一掃から始まりました。工業と情報化省、公安省、文化省、放送映画総局、新聞出版総局など関連するお役所が、それら政府機関を唯一指導する立場の中国共産党への点数稼ぎで競い合いました。
9月には、放送映画総局のライセンスを取得していない中小の動画共有サイトが一斉に強制閉鎖させられました。12月4日には、映画やドラマやソフトウェアを交換でき、中国では人気を博していたBT(BitTorrent)と呼ばれるP2Pファイル共有サイトもすべて閉鎖されました。12月8日中国共産党とインターネット関連政府機関によるコンファレンス・コールでは、取り締まりの対象をケータイ・サイトにまで広げ、低俗でエッチなコンテンツを2010年5月末までに撲滅することを宣言したのです。

そして12月9日に中国共産党中央宣伝部の御用達番組CCTVの『焦点訪談』が、ドメインの偽名登録による低俗サイトの弊害を取り上げてからは、インターネットの「根っ子」とも言えるネットワークやサーバー(データセンター)、さらには.cnドメインそのものに、取り締まりの矛先が向けられるようになりました。
データセンターは、定められたエビデンス(書類)を準備できないウェブサイト運営者にサーバーを提供した場合、即営業停止処分にさせられます。悪足掻きをすれば、China Mobile、China Telecom、China Unicomの3大通信キャリアが、データセンターとの通信回線を即時遮断します。
さらに.cnドメイン名取得の審査が厳格になり、昨年末までには、登記された企業や団体でなければ.cnドメイン名の取得が実質的には不可能になりました(個人が.cnドメイン名を新規取得することが実質困難になりました)。1月14日には、.cnドメイン名の全取得者に対し、企業や団体であれば営業許可証、個人であれば身分証明書を、1月末日までに提出するよう通告が出されました。

中国の知人の会社が、ドメイン名取得代行のお仕事をしています。1月15日にその会社を訪ねると、てんやわんやの大騒ぎでした。その会社が代行した.cn取得者は30万件で、2週間以内に取得法人や個人の証明書類を取り寄せて、.cnドメイン名を管理するCNNIC(中国インターネット情報センター)に提出しなければならない、とその前日に告げられたのです。
提出が求められているドキュメントは5種類、150万の書類を取り寄せ、内容を確認して、CNNICに再提出しなければ、そのドメインが取り消されてしまいます。しかも、ドメイン名取得者からのPDFやファックスによる提出は不可で、ペーパー・コピーを取り寄せなければなりません。
30万セット150万部の提出書類のチェック要員として、各部門から300人のスタッフを再配置し、隣のオフィスビルを1フロアまるごと臨時で借り上げて、準備に大わらわでした。
提出を求めた政府機関が、こうした費用を負担してくれるわけがありません。ドメイン取得者に負担してもらうわけにもいかず、その会社は費用のすべて負担することに決めたそうです。着払いの送料だけでも300万RMB(約4,000万円)かかるけれども、「こうした時期だからこそ、.cnドメイン取得者の権利を守りたいから。」という知人の脳裏には.cnドメイン名の稀少化をチャンスと捉えるビジネス・マインドがたっぷりあるのでしょうが。

「巨大なパワーが、遂に動き始めたという恐怖を感じる」

中国当局が行ってきた様々な政策と比較するなら、インターネットに対して中国政府は、これまで比較的寛容な態度を取ってきたと思います。
当初はインターネットの過小評価からだったかもしれませんが、今世紀に入ると情報の流通が経済成長にもたらす効果を積極的に捉えるとともに、政体に不安定となる情報が管理可能と考えたのでしょう。外国資本のインターネット関連企業への投資も魅力的ですし、インターネット業界からNASDAQやNYEに上場する企業がたくさん出ることも中国のイメージ向上につながります。この数年、規制は徐々に強化されてきましたが、勝ち馬に乗れとばかりに複数の政府機関が"通行手形"の発行とそれによる利権確保に走ったから、というのが私の見方でした。
例えば2008年、動画投稿サイトにライセンス制が導入された時も、ウェブサイト運営会社はさほど動揺しませんでした。コネを操り、放送映画総局の然るべき人物に辿りつければ、要件が満たされていないサイトであっても、ライセンスを取得する道が残っていたからです。同様に、ICPライセンスを取り仕切る工業と情報化省、オンラインゲームなどのコンテンツを取り仕切る文化省なども、末端での運用に対しては柔軟性がありました。騒乱事件をきっかけにインターネットやSNSから遮断されていた新疆ウイグル族自治区であっても、少なからぬ人たちがインターネットやSNSを享受できていたのです。

ところが昨年9月以降、特に12月に入ってからの規制の厳格化は、これまでのものとは様子が違います。インターネット利権の末端で、きっと甘い汁を吸ってきたと思われるお役人さんも、「今度ばかりはどうにもならない」とウェブサイト運営会社を冷たく引き離す始末です。
中国共産党中央宣伝部が"指導力"を発揮して、所轄の政府機関の意見を無視して、強引に推し進めているようなのです。
工業と情報化省の管轄でありながら、中国科学アカデミーの影響下にもあり、インターネットの縄張り争いでは中立的な立場を通してきた、.cnドメインを管理するCNNIC(中国インターネット情報センター)の告知ページをみると、現場の慌てぶりが良くわかります。
  2009/12/10「ドメイン名登録情報の正確化のための特別措置について」
   ※ドメイン名取得代行業者向けの徹底でした
  2009/12/10「ドメイン名登録手続き違反業者の処分について」
   ※前日のCCTVの番組で告発されたドメイン名取得代行業者の処分を発表
  2009/12/10「ドメイン名登録手続き管理の強化について」
  2009/12/11「ドメイン名登録手続き審査の更なる強化について」
  2009/12/22「不正ドメイン名登録者の通報奨励」
  2009/12/24「ドメイン名登録者にウェブサイト登録のリマインド」
   ※12月15日に工業と情報化省が発表した「ケータイによる児童ポルノ撲滅運動指針」を受けて
  2009/12/28「通報活動の実績報告」
   ※半月で13,175件の不正ドメイン名登録者を検挙
この後も「告知」は続くのですが、中共中央宣伝部からの「まだまだ生温い!!」と言うCNNICへの"指導"の雄叫びが聞こえてきそうです。

中国当局のインターネット規制には当然批判的でありながら、「政策には必ず対策があるから」と楽観的な見方をしていた中国の知人は、「今回は、何だか巨大なパワーが動き始めたという感じで、恐怖を感じる」と話していました。その巨大なパワーとは軍部なのか、改革開放路線への反動なのか、知人にとっては容認できる範囲を越えるような何かかも知れない、と。

中小サイトが駆逐され、巨大メディアの楽園に

中国国内インターネットの取り締まり強化で、10万以上の中小ウェブサイトが閉鎖に追い込まれたと言われます。
中国当局は「著作権を侵害するサイトと児童ポルノなどを含む猥褻サイトの撲滅のため」だと言います。確かに、閉鎖に追い込まれたウェブサイトのほとんどが、そうしたサイトです。現に著作権保護の強化や低俗系コンテンツへの取り締まりは、インターネットだけではなく、ほかのメディアや出版物も対象となっています。中国政府に、知的所有権の保護強化を求め続けてきた他の国々としては、歓迎すべきことかも知れません。
もちろん、こうした規制の強化が、政権側の政治的意図と結びついている、と考える人たちが圧倒的に多いのも事実です。

中小ウェブサイトへの取締りが進む2009年12月28日、中国ネットテレビ(CNTV.cn)が正式にオープンしました。CNTV.cnは中国"国家機構"が用意したインターネット動画コンテンツのプラットフォームです。CCTVをはじめ地方テレビ局の衛星チャネルはもちろん、中国内外の人気ドラマや映画、NBAやF1を含むスポーツなど豊富なコンテンツを、パソコンからはもちろんのこと、ケータイやテレビでも視聴することができます。表には出ていませんが、CNTC.cnは中共中央宣伝部の関与が極めて強いと考えられます。
また、成長中のインターネット企業に中国当局が出資するケースも増えています。
各種ライセンスの取得困難、手続きの煩雑さ、コンテンツ管理の厳格化など、中国でインターネットのウェブサイトを運営してためには、政府機関との"良好な関係"はもちろんのこと、資金面などの企業としての体力が一層重要にになってきました。中小のウェブサイトが生き残れなくなるばかりか、一人二人で始めたベンチャーが大成功をおさめるというチャイナ・ドリームをうむ環境すら無くなりつつあります。

Yahoo! Japanがほぼ独り勝ちと言える日本とは異なり、中国のインターネット・メディアは実に多様でした。総合ポータルサイトですら、常に上位3~4社が競り合ってきました。動画共有やオンラインゲームなどエンタテインメント系になると更にたくさんのウェブサイトがしのぎを削ってきたのです。
国内向けインターネットの規制は、インターネット・メディアの寡占化を推し進める結果につながるでしょう。ショッピングモールにおける淘宝網(TAOBAO)のように、各サービス・テリトリーで巨大プレイヤーの一人勝ちする未来が待ち受けているかも知れません。
Googleの中国事業における主たる収入源は、AdwardとAdsenseでした。中小のウェブサイトが広告主にもなり、広告メディアにもなる、いわゆるロングテール・モデルです。ウェブサイトの開設や運営が規制され、巨大メディアの寡占が進めば、そのビジネス・ターゲットは激減してしまいます。

Googleがそうした未来を見立てて、中国から手を引こうとしているのだとすれば、そのビジネス・センスをどう評価したら良いのでしょうか。
[PR]
by pandanokuni | 2010-01-27 17:12 | 経済ネタ
CCTVのCM枠オークション結果から、2010年の中国経済を占ってみる。
中国中央テレビ(CCTV)の2010年のゴールデンタイムCM枠のオークションが11月18日の行われました。来年の中国経済を占うものとして、その結果を概観してみます。
CCTVは原則として中国全土をカバーしています。富裕層の多い都市部を中心にテレビ広告を行うのであれば、北京や上海などの地方テレビ局で行ったほうが効率的になります。CCTVで、特にゴールデンタイムで広告を行うことは、内陸や農村部まで含めてカバーすることになりますから、富裕層だけではなくテレビを視ることもできない、いわゆる貧困層を除く中国の大多数の消費者に向けた企業戦略の傾向を、CCTVのCM枠オークションの結果が示してると言っても過言ではないと思います。

まず、落札総額は110億RMB(1,500億円)で前年(2009年)と比べて18.5%増加しました。金融危機の真っ只中に行われた前回のオークションとの比較とはなりますが、それでも前回もその前と比べて落札総額は伸びていたのです。来年も引き続き内陸部を中心に経済成長が続く、と落札した広告主企業はみているのでしょう。

業種別の落札金額ランキングでは、酒類がトップです。これは例年見られる傾向で、その多くは「白酒」と呼ばれる中国酒の広告主です。
2位は、例年上位の常連となっている家電、乳製品、医薬品を押さえて金融が入りました。その多くは銀行ですが、証券など金融商品を扱う"基金・投資"会社や生命保険会社も大量のCM枠を落札しました。生活にゆとりができて、マネーゲームに参加する中間層が増えてくる、ということでしょうか。
いっぽう日本では常に広告主上位になっている自動車は、トップ10に入っていません(12位でわずか3%程度のシェアです)。経済の底上げが進む中国といえども、年間1,000万台も売れている自動車はまだ中間層以上向けの"ぜいたく品"ということなのでしょう。

1位:酒類
2位:金融
3位:家電
4位:乳製品
5位:食品
6位:トイレタリー
7位:飲料
8位:通信
9位:IT
10位:アパレル

ちなみに、最も多額のCM枠を落札したのは「蒙牛」と言う乳製品の会社です。ことしは有害成分の検出でイメージダウンしましたので、来年は大量のCMで挽回を狙っていくのでしょうか。2位は「飛鶴」と言うやはり乳製品の会社です。こちらは牛乳やヨーグルトと言うより赤ちゃん向けの粉ミルクが主力製品です。ベイビー・マーケットは来年も続伸していくのでしょう。
トップ10の中で、いわゆる外国ブランドはP&Gとユニリーバの2社のみ。両者とも石鹸やシャンプーなどの日用品を内陸部の農村地帯にまで拡販していますから、もはや舶来の高級ブランドではなく中国に浸透しています。

1位:蒙牛(牛乳・ヨーグルト)
2位:飛鶴(粉ミルク)
3位:格力(GREE/白物家電)
4位:匯源(飲料/コカコーラによるM&Aが独禁法により頓挫)
5位:美的集団(MIDEA/白物家電)
6位:P&G
7位:波司登(ウール製品)
8位:双匯(ハム・食品)
9位:脳白金(健康食品)
10位:ユニリーバ

トップ100広告主の中で、外国ブランド企業を探してみると、以下の通りです。やはり自動車関連が強気です。日本企業ではトヨタのみという結果です。都市部の中間層や富裕層を主たるターゲットとしている日本ブランドは、CCTVへのCMはあまり使わないのです。

15位:フォルクスワーゲン(一汽大衆)
71位:NIKE
76位:ペプシ
77位:シェル(売牌統一)
79位:トヨタ(カローラ・クラウン・一汽豊田)
87位:コカコーラ
93位:トヨタ(カムリ・広汽豊田)
[PR]
by pandanokuni | 2009-11-23 14:31 | 経済ネタ
中国における被害妄想は自虐史観と同じくらい前向きではないと思います。
日本企業が中国で叩かれると、反日感情が背景にあるとか中国当局の差し金であるとか、そういう視点で取り上げる日本のメディアって多いですね。
最近で言えばソニーのデジカメやSK-IIの品質問題。前者は初動対応の拙さから被害が広がったと思われますし、後者は厳密に言えば日本製造のアメリカ・ブランドであって、ユーザーなど一部の人たちを除いて日本との関わりを感じてなかったブランドです。どちらのケースも騒ぎの広がりに関するなら、中国人民の反日感情が後押ししたと考えられますが、端緒として中国政府関係の意図的な日本企業攻撃が存在したとは考えにくいのです。
かつてトヨタの雑誌広告が非難を浴びたことなども、「露骨な反日の動き」などと、日本メディアは報道しましたが、中国でバッシングを受けるのは何も日本企業の広告に限ったことではありません

このあたりのことについては、北京に在住のお二方が、私とほぼ同じようなご意見を述べられています。
*『中国消費者の権利意識と品質問題』 10月30日Nikkei BP Net(原 奈緒さん)
*『中国の消費意識:蔑視、差別、倫理観……CMの難しさ』10月29日中国情報局(女子大学院生まやさん)
*ソニーのデジカメやトヨタ雑誌広告など、中国における日本ブランドの悲劇については、お時間が許せば拙ブログ『北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地』をご覧ください。

中国で活動する日本企業や日本人がまったく不利を被っていない、などというつもりは毛頭ありません。結構"意地悪"されるものです。でも、日本企業や日本人だけが特別に標的になっていると断定するのはいかがなものでしょうか。特にビジネスの場合は、成功することを目指して進めているわけです。日本企業だから、日本ブランドだから、日本人だから、中国では不利なんだと嘆いていても、なかなか好転しないと思うのです。日本企業だから"意地悪"される、と考えるのは一種の被害妄想ではないでしょうか。

しかも、日本に戻ってきて気づいたのは、いわゆる日本人の自虐史観を否定する人たちやメディアのほうが、中国に対する被害妄想が強いと言うことです。
日本は欧米列国からアジアを解放するために努力した->中国に対して過剰な罪悪感を持つ必要は無い->日本はアジアに対して堂々とすべき、と言う論理が、中国は過去の日本の行いを未だに根に持っている->中国はいつまでも日本に意地悪し続ける、と言う論理と共存してしまっているのです。
直観的には、自虐論を否定する皆さんが被害妄想になるなんておかしな感じですが....。

私としては、日本(人)が中国(人)と関わり合う時、とりわけビジネス絡みの時には、過剰な自虐史観も被害妄想も良くないと思います。
特に被害妄想と言うのは、責任を第三者に押し付けるのに好都合な分だけ、前向きな対応ができないものです。なんでもかんでも『チャイナ・リスク』だから仕方ない、と片付けてしまうのは、いわゆる"土下座外交"と同じくらい非生産的で、私たち日本(人)のプラスにはならないと思うのです。被害を広げないため、前向きに解決していくためには、中国を悪者にしても仕方ありません。
中国では、日本企業だけではなく、欧米企業も国内企業もしばしば批判に曝されているのです。某巨大広告会社に頼み込めば不祥事さえも揉み消してもらえる、などと考えているような日本の大企業であっても、中国でその手は通用しませんから....。

安倍さんの訪中以来、日中の政治関係もほんわりと柔らかな雰囲気になってきたようですから、そのうち「中国だから仕方ない」なんて言い訳が通用しない時代が来るかもしれません。
裏を返せば、中国でうまく行くなら、世界中どこ行ってもやって行けるよ、がんばれ日本、日本人、と言いたい気持ちです。
[PR]
by pandanokuni | 2006-10-31 17:41 | 経済ネタ
ライブドアを中国語では"ホリえもん"と言うんだぁ....
ライブドアの強制捜査や東証の取引放棄のニュースは、中国のニュースサイトでもバンバン取り上げられています。
ほとんどは、外電をそのまま引用して論評抜きで伝えているようです。
知人で経済通の中国人に意見を求めると、「せっかく日本経済がウソでも復活しようとしているのに、勿体無いことをするものだ」と言う感じでした。

中国でも”出過ぎた杭(釘子)"は打たれます。急成長した企業の創業者やトップの多くは、"経済犯"として司法の裁きを受け、一旦は失脚してしまうのです。罪状は横領、背任や贈賄などが多いのですが、最近は粉飾決裁や不正経理操作などで"追放"される企業家も増えています。
ですから、この種のニュースは中国では特に珍しいものではなく、「遣り過ぎちゃったなぁ、気の毒に」くらいの話です。
NASDAQあたりに上場を果たした中国の"IT関連企業"のほとんどは、海外のペーパーカンパニーを活用したり、事業会社をノミニー(名義借り)して外国資本を隠したり、グレイ・ゾーン活用によって企業価値を高めてきたわけですが、いまのところ中国当局は"政策的に"見過ごしています。いずれ創業者や経営者が個人的に”苛められる”ようなことがあると思うのですが、企業をまるごと再起不能に陥れるような"バカな真似"はしないのではないでしょうか。
「国のためになっている間は、"目をつぶる"だろう。」経済通の知人はこう語り、日本の何らかの勢力によると思われる"ライブドア潰し"をしきりに「勿体無い、勿体無い」と言います。

私も同感です。
"怪しげ"といわれようが、彼ら"IT関連企業"が日本の景気回復の雰囲気作りをしてきたのは確かだと思いますし、彼らのことを"怪しげ"と思いつつも株を始めた個人投資家だってたくさんいるわけですから、”証券市場を欺いた"などと国家権力が良心を振りかざすことよりも、市場の原理を見守ってあげれば良かったのに、と思います。
株価は将来の期待値でもあるわけですし、"錬金術"で生み出された薄っぺらな企業だとしたら、いずれ自然淘汰されるでしょう。彼らが"嘘っぱち"なのかどうかは、これからの業績を見守れば良かったのではないでしょうか?
ライブドアのような様々な意味で"出過ぎた"企業が出現したからこそ、若者は夢を甦らせ、株式市場は注目され、"守旧派企業"ですら刺激を受け変革を迫られた、と功績を評価して、目をつぶることもできただろうに.....

それにしても、中国人(特に北京人)は何でも漢字にしたがります。ライブドアのようなカタカナ企業名は"livedoor"のように英語表記される場合が多いのですが、記事の露出が増えていくうちに、いつの間にか「活力門」と言う中国語訳で定着したようです。
liveは「活力」ですし、doorは「門」ですから、livedoorはまさに「活力門」なのですが、中国語の発音では「ほぅおりぃめんになります。早口で話すと「ホリえもん」と聞こえなくも無いのです。
恐らくライブドアが自社で中国語社名を用意したのでは無いと思います。誰が訳したのか知りませんが、きっとホリエモンの発音を意識して「活力門」にしたのだと思います。liveは「生命」とも「実況」とも訳すことができるのに、敢えて「活力」を使ったのですから、たいしたものだと思いました。

ライブドアが、日本経済と日本の多くの若者にとって「活力門」であったのは事実だと思います。内輪揉めばかりしていないで、国家一丸となって日本に活力を甦らせなければならないと思う、今日この頃です。
[PR]
by pandanokuni | 2006-01-20 02:03 | 経済ネタ
北京の日本人の1ヶ月の生活費
それでは、日本人が北京で生活するのに、毎月いくらくらい必要でしょうか?
一人暮らしの男性の典型例と言えるある友人の事例を紹介してみます。

まず日常の生活費、主に食費やトイレタリーの購入ですが、1週間で見てみましょう。
彼は朝食を食べません。日中勤めていますから昼は外食になります。オフィスの社員食堂でしたら10元くらい、近場の中華レストランで同僚とシェアすれば一人20元程度、ケンタッキーや吉野家など馴染みのファーストフードなら25元くらい、比較的高級な日本料理店やタイ飯ややイタ飯やででランチにすると60元くらいです。これらを取り合わせると、月~金の5日間で150元もあればかなり立地なランチ生活ができるはずです。
夕食は週2回ほど外食とすると1回当たり割り勘で150元くらいでしょう。残りの夕食と土日のランチは自炊です。
自炊のために週2回はスーパーで買い物をします。野菜やお肉やパスタや牛乳やビールや調味料やインスタントラーメンやお菓子などの食材と無くなりかけたボックスティシュや歯磨きなどを買ったとして1回あたり100元を越えることはまずありません。しかも、日本人が行くようなスーパーですから、東京で言うと紀伊国屋みたいな高級店でです。

ここまで、昼食代が毎週150元で月700元、買い物代も毎週150元くらいですからやはり月700元。最低必要な飲み食い+日用品で毎月1,500元(2万円くらい)でしょうか。この金額で毎晩缶ビール2本ほどの晩酌も付きますし、それなりのレストランでのディナーが週2回含まれます。

通信費は、携帯電話の通話料が比較的高くつきます。積極的に使わないようにしても月300元くらいです。自宅はIP電話なので日本と週2~3回10分程度の電話をしても月100元程度で済みます。ちなみに、自宅のブロードバンド代は家賃に含まれています。

交通費ですが、彼の場合、出退勤時は会社負担ですし、近くのスーパーなどへは自転車で行きます。同僚と外食したり、友人とディナーに出かける場合は、タクシーを利用しますが、多くても月200元ほどです。

被服関係費について、スーツや服は日本に帰ったとき買うので生活費から除外しますが、自宅で着るような普段着は北京で購入しますが、月平均100元もあれば十分です。

医療・衛生費としては、散髪代が毎月かかりますが、ローカルの中級美容院でマッサージ月で50元。医療費は海外旅行傷害保険が使えますから、原則として無料です。

ここまで:
日常生活費が1,500元 / 通信費が400元 / 交通費が200元 / 被服関係費が100元 / 医療・衛生費が50元
合計2,250元(約3万円)です。

問題は交際費です。一般的な単身赴任サラリーマンである彼は、週に1回は一人であと1回は友人とスナックに行きます。2ヶ月に1回ボトルを開けるので、1ヶ月当たり1,600元ほどスナック通いに費やします。さらにマッサージが好きなので、週に1回はお店に赴き(1時間60元)あと1回は自宅出張(2時間200元)で2時間マッサージをしてもらいます。これで1ヶ月1,200元くらい費やします。カラオケ系のお店は取引先か日本からの出張者としか行かないので、会社負担で済みますが、チップは自腹ですから月平均500元くらいかかります。合計3,000元(約4万円)以上になります。

なお彼の場合、家賃(光熱費含む)は会社負担です。

b0047829_17245735.jpg
まとめますと、交際費を除けば毎月2,250元、約3万円ほどで十分リッチな生活ができるのです。

彼の場合、ゴルフはしませんしカラオケも好きではないですし、スナック頻度も決して高いほうではないので、遊び人とは言えませんが、そこそこスナック通いをしてマッサージなどしてもらうと、交際費のほうが日常生活費より高くついてしまうわけです。
なお、土日にゴルフを嗜む方だと、プレイ代が安くて500元、交通費、食事代、さらに「ニギリ」も含めると1回1,000元(1万3,000円)は必要です。
スナックも安いからと思って、ほぼ毎日通ったりすると月4,000元(5万2,000円)くらい出費することになります。

家賃ですが、月2,000元くらい出せば家具・家電付きでそこそこのアパートは賃貸できますから、夜の遊びを控えれば、月5,000元(6万5,000円)でかなりリッチな生活ができるはずです。
[PR]
by pandanokuni | 2004-11-02 22:17 | 経済ネタ
北京の日本人の待遇
北京には1万人以上の日本人が生活していますが、中国人民同様極端な経済的ヒエラルキーが存在しています。

日本の大きな会社から駐在でいらっしゃっているような方は、住むところはすべて会社持ちで、海外手当てなどがつき、所得税なども会社負担になるので、手取り年収ですと日本の1.5倍以上の方もいます。
例えば、30代前半で毎月70万円以上手取りでもらっている方がいるわけです。こういう方は、単身でも毎月2,500ドル(約30万円)の高級マンションに会社持ちで住めたりできますから、実質100万円くらいになりますね。

中小企業から駐在でいらっしゃっている方は、海外手当などがついても、こちらの住居費を会社と折半したりする場合も多いので、同じ30代前半なら毎月30万円くらいでしょうか。北京なら相当リッチな生活ができます。

あとはこちらで職を探して、日系の現地法人などの企業に就職している、いわゆる「現地採用」の方ですが、これはもう待遇がまちまちです。
30代前半で手取り2,000ドル(約22万円)と住宅を支給してもらっている方もいますし、毎月手取り5,000元(約6万円)で家賃や交通費も自己負担の方もいます。こういう方は、月1,000元(約1万3,000円)くらいのアパートを自腹で借りたりするわけです。

月1,000元のアパートは、北京の現地人にとってはどちらかと言うと高級な部類に属します。残りの4,000元で一人暮らしなら、そこそこリッチな生活ができることは事実です。でも同じ年代の日本人が、自分の10倍以上の収入を得てると思うと、貧乏に思えてくるわけです。
[PR]
by pandanokuni | 2004-11-01 23:45 | 経済ネタ
天津 - もっと注視すべき市場
天津は北京からクルマで2時間弱、ほぼ1時間おきに出ている列車なら1時間半、日本からも直行便が出ていて、比較的交通の便が良い都市です。

最近北京の空港などで「天津甘栗」クッキーや「天津甘栗」チョコレートがお土産として売られていますが、天津では「天津甘栗」は存在しません。もちろん、天津を含め北京や河北省では、日本でお馴染みの「甘栗」が売られていますが、「天津」の名産ではなく「河北省」の名産として、中国では認知されています。
さて「天津飯」や「天津丼」は、というと、これは天津だけではなく、中国のどこでもまずはお目にかかれません。ボクは天津飯が大好きなので、きっとそのルーツがあるのだろうと、7年間中国を探し回ったのですが、それらしい食べ物は無いのです。

日本から出張などで来る方に、「本場の天津飯が食べたい」とか「餃子とチャーハン」などと頼まれると、ほんとに困ってしまいます。

さてこの天津、1000万人を越える人口を有している中国第3の都市なのです(重慶はうそ臭いので除きます)。地域総生産(GDP)は北京の半分、上海の4分の1ほどですが、他の地方都市と比較すると高いのです。
しかもマーケットが北京ほどコンサバで無いので、広告の反応も大きくて、新製品のテスト・ロウンチングには持ってこいの都市なのです。
中国市場で上海はむしろ特殊なマーケットであって、天津あたりで成功する製品こそ、中国の巨大市場に適応しやすいスペックを持っている感じがするわけです。

北京にも近く、日本にも近い、この天津のマーケットをもっと注視する必要があるのではないでしょうか。
[PR]
by pandanokuni | 2004-10-31 03:04 | 経済ネタ
いまこそ、人民元建てで預金しよう!
金融引き締めの一貫だと思うのですが、中国の金利が引き上げられました。
中国で資金を調達する者にとっては、困ったお話ですが、預金の金利も少しは上がるようなので、お金持ちにとっては良い話かもしれません。

日本で1年モノの定期預金をしたとしても良くて年利0.1%。米ドルでもあまり変わりません。ところが、中国の人民元だと2.2~2.3%の金利がつくわけです。

外貨預金ですと為替リスクを心配してしまいますが、人民元の引き上げ圧力が強い中で、少なくとも米ドルに対して人民元の値打ちが下がるということは、ここ当分ありません。毎日のように人民元の切り上げが話題になっているわけですから、もしかしたら対米ドルで5%程度の切り上げがここ1年のうちにあるかもしれません。

うまく行けば、1年で7%以上の利回りが期待できるのです。

もちろんこれは、米ドルに対してですから、日本円と米ドルの関係も考えなければなりません。円高が進むと、人民元引き上げ効果がなくなってしまいます。110円台で安定していた円-ドル相場が、ここ2~3日で106円を割り込むような展開を見せています。中国の利上げで米ドルに期待が持てますが、原油価格の推移など不安定要因もたくさんあります。
アメリカ大統領選挙が終わらないと落ち着かないと思いますが、個人的には105円を基本にしておけば、いいのかなと思っています。
つまり、円-ドルレートが105円台のときに、人民元に替えて1年の定期預金に入れます。100万円の元手で来年の今頃は5~6万円は儲かる計算です。
怪しげな中国株に手を出すより、よほど確実です。

問題は、日本に住んでいる皆さんが人民元預金をするのが難しい、と言うことです。中国で働いていて中国で収入がある外国人なら可能なわけですから、興味があったらお手伝いして差し上げても構いません。
[PR]
by pandanokuni | 2004-10-29 13:53 | 経済ネタ
中国のオンラインゲーム市場規模36億元
[China Wave]

日本円だと500億円くらいです。
これは大変大きな市場と言って良いでしょう。

日本ではビデオゲーム(テレビゲーム)がまだまだ主流で、ソニーも任天堂も次世代機を開発することで頭がいっぱいですが、韓国や中国ではPCプラットフォームで楽しめるオンラインゲームが主流です。

PCを持っていれば楽しめるし、持っていなくてもネットカフェで遊べるから、ゲーム専用機を買うよりも手軽です。
海賊版の蔓延る中国ではPSもNINTENDOもパッケージソフトの収益によるビジネスモデルを再考せざるを得なかったわけですが、オンラインゲームはほぼ確実に課金できるのです。

ミドルユーザーくらいですと、800円くらいのプリペイドカードで1ヶ月は楽しめるので、年間で1万円くらいでしょうか。だとすると500万人くらいはオンラインゲームのミドルユーザーがいる計算になります。

日本のソフトハウス物ですとCross Gate(スクエアエニックス)はかなりの人気があります。でも中心は韓国、台湾のタイトルです。
[PR]
by pandanokuni | 2004-10-28 21:00 | 経済ネタ