カテゴリ:[実録]05年4月反日デモ( 17 )
中国の日本人、日本の中国人。
今回の反日デモに関しても、或いは日常のビジネスにおいても、日本に居る日本人との間である種の”温度差"を感じてしまう私。
中国で暮らし、仕事をして7年以上になるこの私を"中国人化した日本人"を呼ぶ日本人もいます。でも、私個人としては日本人としてのアイデンティティや祖国を愛する心を、日本で暮らしていたとき以上に意識して、大切にしたいと思っているのです。
中国に居る日本人には、いわゆる中国大好き日本人、中国に深い思い入れを持っていらっしゃる方がいるのも事実だと思います。でも私自身は、どうしても中国で暮らしたい、どうしても中国で働きたい、と思っているタイプの日本人ではありません。私にとって中国は、魅力的に感じる部分もありますが、そうでない部分もあります。自ら望んで中国に居る人ばかりではないですし、自ら望んで中国にいらっしゃった方でも、盲目的に中国を愛している日本人がすべてではないと思います。
産経新聞の古森さん(Hatena Daiary : ここのプロフィールは支持できませんが他に見つからなかったので)は、<日本の中国スペシャリストと言われるジャーナリストは、中国で取材活動ができなくなると存在理由を失うので、中国政府当局を刺激するような取材活動や記事は書けないのではないか>と指摘していましたが、中国在住の日本人の多くが同じような理由で中国に対して、"甘い見方"をする、とは思いたくないですし、実際にそうでない日本人が私の周りにはたくさん居ます。
ですから、私の言う"温度差"とは、「日本で言われているほど、中国は酷くない」とか「大変じゃない」ということだけではなく、「日本で考える以上に、中国は大変だ」或いは「酷いことになっている」ということも含んでいますし、「こうした現状だから、日本では不思議に思うかもしれないけど、中国に居ると妙に納得する」という意味合いもあります。

前回のポストに対して、華南のレストランでの日本人への嫌がらせに関するコメントをいただきました。事実関係は確認できませんが、北京に居る私は、「こういうことも当然あるだろうな」と言う"妙に納得する"感覚でした。長く北京で暮らす私にとって、反日や日本人への"迫害"は、さもありなん、と言ういわば当たり前のことだったからです。
こちらが顧客であるはずのタクシーやレストランで、日本人だということで、いろいろイチャモンをつけられたことが、私自身何度かあります。この時期だからこそ、タクシーの日本人乗車拒否が日本のニュースになるのでしょうけど、私は主として日本人だという理由でタクシーを降ろされ、氷点下十数度の真冬の一本道をテクテク歩きながら歩いたこともありました。もちろん怒りがこみ上げてくるのですが、日本で暮らす一般の日本人より中国人と接することが多いため、彼らがどんな教育を受けてきて、どんなテレビ番組を見てきて、日本人をどんな風に思うようになったのか、何となく察しがつくので、そんなには驚かなくて済んでいると思うのです。"温度差"とはそういうものではないかと思うのです。
もちろん、日本人だと分かっても"損得抜き"で親切にしてくれる中国人もいます。

日本における中国人はどうでしょう。いわゆる"悪い奴"がたくさん居るのも事実だと思います。でもそうでない中国人もたくさん日本にいるはずです。
私は、中国企業のクライアントの幹部と一緒日本に出張することがあります。私自身が旅程をアレンジすることもありますが、中国人が一緒ということだけで、宿泊の予約を拒否されるケースがあるのも事実です。日本語が話せない中国人が東京でタクシーに乗る際、私が運転手さんに行き先を伝えて、タクシーチケットを前もって渡したとしても、「悪いね、別のクルマあたってくれる」って言われたこともありました。一番苦労するのが夜の接待です。合法とされるちょっとエッチな風俗店(当然、日本人の女性がメインで働いているところを狙うのですが)のほとんどは、ご来店拒否です。中国ではトップクラスの会社のマネージメントで、身なりも私よりずっと良いのに....アテンドしている日本人の自分が、なんだか犯罪者を連れて歩いている雰囲気に追い込まれたりします。もちろん、郊外の温泉旅館や東京の一流といわれるホテルなど、中国人のお客さまにしっかり対応しているところもたくさんありますが。

日本の大企業は、海外戦略で"ローカル・マネージメントの推進"などと謳い、アメリカやヨーロッパでは現地人の社長やCEOに経営を委ねる傾向があります。でも、中国人を中国のトップ・マネージメントとして起用する企業はほんの僅かです。欧米の社員は日本語など話せなくともどんどん昇格します。でも、日本企業の中国事業のマネージメントは日本語が話せないと、なかなか上に昇れません。日本の大学院まで出て日本人より日本語ができそうな中国人でも、中国の日系企業では通訳に毛が生えたような使われ方しかされていなかったりします。

こうした事実が、中国人の軽視なのか蔑視なのか、個々の日本人や各企業の想いや事情があるのでしょうから、一概には言えないと思います。日本に居る日本人には、身近な中国人の振る舞いやマスコミの報道によって、何らかの"既成概念"が働いているのかもしれません。
一方、中国に居る日本人への蔑視や迫害があるとすれば、こちらの背景のほうが、中国に居る日本人にとっては分かりやすい感じがしてしまうのです。
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by pandanokuni | 2005-04-26 00:34 | [実録]05年4月反日デモ
少なからぬ北京在住の日本人が感じる"温度差"
日本の大臣クラスが公式に北京に来ると、日本人学校を訪問するか、中国日本商会(在中国日本商工会議所)か北京日本人会のいずれかと懇親会を持ちます。いずれにしてもアレンジするのは大使館なのですが、今週はじめに北京を訪れた町村さんは約36時間と言う短時間の滞在にも拘らず、その3つともこなして行きました。もちろん日本コミュニティだけではなく、李外相とも唐国務委員とも会っています。さらに月曜日の夜は、ほぼお忍びに近い形で、留学生などの民間人とともに食事をして北京在住の日本人の"意見"を聞いていったそうです(だーれんさんのブログ)。

私自身も感じていますし、そのだーれんさんもブログで指摘されていたのは「温度差」です。北京に住んでいると、日本に住んでいる人との中国に関する認識の違いをたびたび感じるのですが、今回の中国における「反日運動」に対するイメージの違いもその一つです。
極端な話ですが、中国13億の人民すべてが日常的に反日思考を抱いているわけではありません。中国人すべてが、日本ブランド製品を買いたくないと思っているわけでもありません。反日デモが北京中を練り歩いたわけでもありません。破壊活動は決して許せるものではありませんが、反日デモに参加者すべてが破壊活動に関わったわけでも無いのです。4月9日でさえ、ごく一部の人たちと一部の地域を除けば、ごくフツーの北京の一日だったのです。
ただ日本で暮らす日本人の多くはそんな風には思わなかったのではないでしょうか。それは、やはり日本の報道が影響しているとしか思えません。中国寄りとも思えるあのNHKでさえ、デモの影響を受けてなかった街並みや人々の映像は使ってなかったように思えますし、「こんなことがあってもいずれは日本車を買うよ」みたいなインタビューも流しませんでした。「デモのど真ん中以外は比較的平穏です」などと言う報道をすれば、日本人の安全に対して無責任に思われるでしょうから仕方ないのかもしれませんが....

ただ"攻撃対象"になっている日本人でさえ、北京で意外といつもと同じような暮らしをしているのは事実です。反日デモや暴徒への想いは人それぞれですが、そうした"温度差"を少しでも知っていただくために、北京在住の方の四九デモ以降のブログを引用してご紹介したいと思います。
これは、だーれんさんの「 在中国日本人の声をまとめる試みをしてみたいです」のアイディアですが、意見を取りまとめるという作業には時間と労力もかかるでしょうから、速報性を優先して既存ポストからの引用ということでやってみます。


日本で報道されている中国での「反日」の様子と、現場で自分の肌で感じる「温度差」。SARSやアジアカップの際など、これまでに何度も繰り返し書いてきた。だが、特に今回は、いろいろばところで、この「温度差」を訴えっている声を聞く。メディアに対する批判、不信感も急速に広がっている気がする。部数を伸ばし、視聴率をとることを使命にしているメディアは、読者や視聴者が好む報道を重視する。得てして過激な映像が強調され、現実の空気が誇張されて報道される。
[だーれんの中国留学日記~ちゃいなりぃ~(4月22日)]


ただ、日本にいる時の海外の情報は限られたものでしかなく、またその限られた中である部分だけがクローズアップされて情報として伝わる場合があり、それ故に何かしらイメージというものが先行してしまったともいえると思います。
(今回のデモなんかは特にいい例で、ある部分のみが日本に伝わったため、日本からの心配メールなんかがばんばん送られてきたんですよね)
[cmoookの日記(4月12日)]


これらの映像を見ながら自分が実際にその現場にいることがなんか不思議な感じになりますね。日本の報道を見ていると、日本人と分かるとすぐにやられそうな勢いですが、普通に日常生活をするうえでは特にいつもと変わりません。ただ、もちろん危機感を持って生活する必要がありますが。
日本のテレビの報道状況を見ていて日本と中国では温度差があると感じました。もちろん現地日本人としては危機感を持って行動すべきですが、現地の多くの中国人はそこまで大きなことと考えてないと思います。報道規制があるのでデモについてはほとんど報道されていないこともありますが。

[じゃんす的北京好日子(4月17日)]


私 「えー、じゃあ私乗せてもらえないの?」
運 「ははは、アンタ日本人じゃないだろう。」
私 「日本人だよ。」
運 「え?(私の顔をまじまじと見る←わき見運転は危険です)」
私 「日本人だよ。コンニチワ。」
運 「あ、アンタ日本人かー。ははは・・・俺は日本人は嫌いじゃないよ!政府がいけないと思ってるよ!そっか、アンタ日本人かー。」
私 「そ、だから今すっごく不便!」
運 「やつら今、長安街でデモやってるよ。」
私 「え~~!まだやってるの??朝9:00からやってるんでしょう?すごい体力だね。」
運 「そう、でもその後ばらけてデモやったりしてるんだよ。だから後から参加したのもいるの。」
私 「ふーん。で、どこに到着したら終了なの?天安門?」
運 「どこってのはないんじゃないか。疲れたらおしまい。」
私 「なんだそれ!そんなテキトーに終わるのかい。」
運 「だって、疲れちゃったらもう歩けないだろー。」

[ボウエンキョウとケンビキョウ(4月10日)]


この日は老舗のお茶屋さんの隣の茶館に飛び込みで入り、撮影をお願いして撮らせてもらいましたが、「あんたたち、日本人?日本人は礼儀正しいね」とほめられ、親切に助けてもらって感謝。
一日に接触した何人もの北京人との間では、普通に物事がすすみ、無事に終わった一日。
新聞に載るようなことは何も起きてない北京の平穏な一日を、逆にこうして記録しておきたいと思います。

[原口純子の北京日記(4月17日)]


日本大使館からは、不要不急の事がない限りなるべく外出するなとのメッセージが出ています。日本大使公邸近くに習い事に行っているのですが、今日はお休みしたいと連絡をすると、”何も起こっていないです。皆さん来ていますよ。”とのお答え。でも先週は確かに公邸の周りは騒然としていたし、後から聞いた話だと、公邸の敷地内に瓦礫や石や生卵がビックリするほど投げ込まれていて愕然としたとのこと。…好奇心旺盛な私であるので、他のことであれば見に行ってやろうと思うのですが、今回のことは心が痛むばかりで、結局お休みしました。(こういう風な辛い思いが続くと、”心”はやっぱり心臓の付近にあって、脳じゃないなと感じ取れます。)
それでも部屋の中でじっとしていることに耐えられなくなって外に出ると、もう初夏の陽気でした。大使館が並ぶ辺りは公安が通行止めをしていました。テレビでは凄い場面が出ていますが、外では路上で爺さんたちが将棋をしていて、あくびが出そうなお昼時です。何だか分裂気味です。大丈夫か?私

[毎天在北京(4月16日)]


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by pandanokuni | 2005-04-22 19:31 | [実録]05年4月反日デモ
ゴールデンタイムのニュースでで公安部談話!中国政府当局の"焦り"。
きょう(21日)午後7時のCCTVニュース「新聞聯播」では、遂に"公安部談話"を取り上げる事態となりました。この「新聞聯播」は中国全国でみると最も視聴率の高いニュース番組です。上海市や広東省を除けば、その時間にテレビを見ている中国人の大半が見ている番組と言ってよいでしょう。

日本語字幕があるわけではないので正確さを欠くかもしれませんが、CCTVニュースのアナウンサーが淡々と読み上げた”公安部談話"の内容は:
  • 最近北京や上海で一部の群衆や学生が自発的に日本の歴史問題に関するデモを行った。

  • 彼らの愛国心は十分理解できる。

  • デモに関し、関係部門は社会秩序の維持と日本に関連する施設や人の安全を守ってきた。

  • 多くの大衆や学生は理智的に行動したが、少数の仕事を持たない人が公的或いは私的財産に危害を加え、秩序を乱した。

  • これは中国のイメージを傷つけ、法律が認めない行為である。

  • デモ活動を行う場合は、法律に則り許可を得てから行って欲しい。

  • 公安当局が許可をしていないデモや集会は違法行為である。

  • 不許可のデモには参加せず、またインターネットやケータイメールでの呼び掛けも行わないで欲しい。

こんな感じでした。
まるで、89年の天安門事件のときに学生に呼び掛けたCCTV「新聞聯播」みたいで、北京でデモを目撃したときより、緊迫した雰囲気を感じました(その頃北京にはいませんでしたが、『天安門』というドキュメンタリー映画で見た雰囲気です)。
そもそも、こうした呼び掛けをCCTV「新聞聯播」で行うことは、非常に稀なケースと言えるでしょう。このニュース番組自体、国家の方針を通達する機能が大きいので、「こうしよう」とか「ああすべきだ」とか言う話題はいつものことですが、「こうしてはいけない」と言う言い方はほとんど行いません。ときどき腐敗追放キャンペーンなんかでやるくらいでしょうか。

どちらかと言うとインターネットやケータイメールというパーソナル・メディアを通して広がった反日デモ、マス・メディアでは取り上げず口コミで広がったそのデモの状況。それなのに、火曜日あたりから公式メディアにさっそうと登場したと思いましたら、遂に全国区のお茶の間にまで"自粛せよ"のいわば警告です。しかも、"無かったこと"で通すこともできたはずの"破壊行為"があったことまで、13億人民に白状してしまったのです。
これは、ほとんど国内対策だと思うのですが(もちろん国際社会も意識しているでしょうけど)、こうした大キャンペーンで、事態の収拾を余儀なくされた中国政府当局には、大きな"誤算"だったと言えるのではないでしょうか。或いはこの"反日運動"相当根が深く、更に広く蔓延してしまったのでしょうか。
いずれにしても、中国当局の"危機感”と"焦り"を感じさせる出来事でした。

新華網に"公安部談話"が掲載されていました。ネットや新聞や堅物テレビ番組くらいなら、ある意味納得できるのですが、ゴールデンタイムのお国を代表するニュース番組で、これを(ほぼそのままだと思います)読み上げたのですから、中国政府当局もかなり何かに追い詰められている感じがするワケです。
(このポストは速報性を重視しました)
追記(北京時間23:10):この番組の映像がアップされていました(wmvファイル300k)
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by pandanokuni | 2005-04-21 23:05 | [実録]05年4月反日デモ
中国側の事態解決に向けた動き。
いよいよ中国政府当局も事態の解決に向けて動き始めたような感じがします。これ以上暴力沙汰が続けは、現政権の統治能力を疑われるでしょうし、国際的なイメージはがた落ち、外交的にも経済的にも望ましくない、と言う方向にまとまったのでしょう。
中国政府当局は、「愛国」と言う基本コンセプトを否定することなく、政府が弱腰と思われること無く、まず国内優先で事態を収拾しなければなりませんから、頭の使いどころでしょう。そして、きょうの朝、そのストーリーが人民網で明らかになりました(中国情報局)。

「愛国は正義により沸き立ち、理性により止まる」という特別企画は、

  • [大衆の議論] 穏やかさが最も大切。私たちは愛国の熱情をどのように表わせばよいのか
  • [背景1] 政府方針:日中関係で遵守すべき三原則
  • [背景2] 第二次大戦後、日本政府は反省と謝罪の態度を既にとってきた
  • [ネットユーザー] 愛国主義の感情:義より沸き立ち、理を以って止まる

という構成になっており、田中角栄さんと周恩来さんが乾杯している(角栄さんが頭を下げています)写真を掲げています。

弱腰と批難されないためのキーワードとして"理"を持ってきたのではないでしょうか。つまり、「三原則」という中国の対日基本路線と、その政策の背景でもある日本政府が既に反省と謝罪の態度を示したという事実を再認識させることによって、政府は理性的に日本に対しているのだから、キミたちもそうしないとダメよと諭している感じです。
さらに踏み込んだ言い方をすれば、中国人民の間で広がった"日本に対する認識の誤り"を政府自らが正してあげることによって、根本原因の一つを断ち切ろう、としているとも思えます。
それで「私たちは、日本の行動を見守っていく」という4月12日の外交部スポークスマンの秦剛さんの発言を引用して、中国政府は"理"に叶った対応をしているのだから、キミたちも"理"に叶った態度で、あとは日本の行動を(冷静に)見守って行こう、というわけです。
ま、中国政府の事情を考えれば、国内向けの施策が優先するのも致し方ないのではないでしょうか。

一応日本向け(?)に始めたこと:北京の日本大使館の原状回復を提示・中国外務省の関連会社(NIKKEI NET)。
(今回のポストは速報性を重視しました)
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by pandanokuni | 2005-04-19 18:21 | [実録]05年4月反日デモ
中国で報道された町村発言の内容と日中双方の"落とし所"。
<在中国の日本政府関連施設への破壊行為について謝罪と賠償を求めた町村さんに対して、中国の外相・李さんはそれに応じなかった。中国では町村さんの反省と謝罪が報道された。>というのが、4月17日の日中外相会議の日本での捉えられ方の大勢ではないでしょうか(中国情報局)。
まず中国での報道のベースとなる新華社の中国政府当局お墨付き記事のを全文引用してみます(日本語としてはぎこちないかもしれませんが、できるだけ直訳にしています)。


日中外相会談 双方は意見の相違を対話を通じて解決することに同意した
新華ネット4月17日電。17日夜、李肇星外相と町村外相が会談を行った。
李外相は、<中国政府と人民は日中友好関係の発展を一貫して高度に重視している。双方は「歴史を鑑とし未来に向かう」という精神で、両国間の3つの政治文書に照らし合わせ、平和共存、是大寒の友好、互いの利益につながる協力、共同発展を希望している。これは世界平和と安定、発展に利するものでもある。>と述べた。
李外相は更に、<日中関係の改善と発展には、まず正確に歴史を認識することが必要である。侵略の歴史の承諾を正視し反省し、具体的な行動で実行し、中国人民の感情を再び傷つけることが無いように、これらに関わる問題の根本的な改善処理を希望する。>とも指摘した。
李外相は、<台湾問題に関わることは中国の核心的利益であり13億中国人民の民族感情である。一つの中国の原則を堅持することは日中関係の政治的基礎である。中国としては、日本がこれを承諾し忠実に守り、中国の主権に関する件を損害しないように、強く要求した.>と述べた。
町村外相は、<日本政府としても「歴史を鑑とし未来に向かう」という精神の両国関係の大局から日中友好が発展することを願っている。温家宝総理が最近「両会」(全人代と政商会議)の記者会見で日中関係発展のために提出した「三つの原則と「三つの提案」を日本としても高く評価しており、中国側とともに努力し、両国関係の改善と発展を推し進められるように願っている。>と表明した。
町村外相は、<日本は近代歴史において、中国に侵略したことで中国人民に巨大な傷害をもたらした。これに対しひどく残念に思い、再び深い反省とお詫びの気持ちを表わす。日本は歴史の教訓をしっかりと汲み取るように願っており、平和的発展の道を歩み続けている。>と表明し、台湾問題に関して町村氏は、<日本は一つの中国と言う原則を堅持している。「二つの中国」「一つの中国と一つの台湾」を支持していない。「台湾の独立」を支持していない。>と重ねて述べた。
双方は、日中関係がどちらにとっても十分に重要であるとの認識で一致した。双方は、長期戦略から両国関係を高度に認識し把握していくことで、世界の平和と発展に力を合わせること、互いに威嚇しないこと、意見の相違は対話を通じて解決すること、共同の利益を積極的に追求し拡大していくこと、そして各レベルでのまた個人領域での交流と協力を更に推し進めることで、同意した。
李肇星はまた、日本政府が日本にある中国の政府機関と中国公民の安全を確保するために友好な手段を採用するように、厳正に要求した。
このほかにも双方は、両国が関心を持つ国際と地域問題について意見を交換した。



中国ではこの記事を転載・引用する形で、各メディアが伝え始めています。
なお、この記事で出てきた「三つの原則と「三つの提案」は、昨日のポストでも触れましたが、政権中枢の対日強硬派が文句をつけそうな内容です。ポイントをお伝えしますと:


三つの原則(温家宝首相:2005年3月14日)
(1)「歴史を鑑にして未来に向かう」
(2)一つの中国の原則を堅持する
(3)特に経済と貿易の分野での協力を深め共同で発展する
三つの提案
(1)高いレベルでの相互訪問を行う
(2)それぞれの外交部門が共同で日中友好の戦略的研究に着手する
(3)歴史に残された問題を妥当(*)に処理する
(新華ネットより)

*中国語では「妥善」。この言葉には、<すべて思い通りとは行かないが適切といえる>というニュアンスがあるので、中国側のある程度の譲歩に含みを持たせた表現になっています。


中国政府当局の意図を勝手に推測すると、<日本の外務大臣が、歴史問題に関して詫びを入れ、1972年以来の原則を守ると言ってきている。人民の皆さんの熱い反日活動のお陰でもあるから、これ以上激しく日本をいじめるのは止めてあげない?>という方向なのでしょうか。
ちなみに、新華社が伝える町村さんの発言は、95年の「村山談話」に沿った内容になっていると思います。


村山談話(抜粋・1995年8月15日)
わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。
(全文)


正式な文書になっているわけでなく、このことを"やり玉"に挙げる中国の方もいらっしゃるようですが、政府中枢としてはこの談話の則った行動を取ってもらえれば、いまのところ、それ以上踏み込むことは無い、という方針であるように思えます。
ちなみに、小泉さんはかつて村山談話よりもさらに"踏み込んだ"発言をしたことがあると言われています。「中国人民への"侵略"」と言う言葉です。


小泉談話(抜粋・2001年10月8日・北京市郊外盧溝橋にある抗日戦争紀念館参観後)
私は侵略を受け犠牲になられた中国人民に心からのお詫びと哀悼の意を感じ、そうした気持ちを胸に抱きつつここの数多くの展示物を参観してまいりました。
(在中国日本大使館の中国語ホームページより日本語訳。日本語のオリジナル発言内容は見つかりませんでした。)
4月19日追記:大使館発行の「日中関係重要文献集」を入手し、その中に日本語バージョンがありましたので、"お墨付き"表現を追記しておきましょう。
侵略によって犠牲になった中国の人々に対し心からのお詫びと哀悼の気持ちをもって、いろいろな展示を見させていただきました。


なお、大使館がHPで公表している中国語の文章は、"侵略"の主語に当たるものがありません。

話がそれましたが、多くの皆さんは「中国側の謝罪や賠償はどうなってんだ」「そっちのほうが先じゃないか」と更に怒りが増しているのではないでしょうか。私個人も同感なのですが、いまはちょっと無理のような気がします。中国の外務次官・武大偉さんがきょう(4月18日)、外国人記者団に「日本が先に謝罪すべき」と言明したそうです(Sankei Web)。中国政府当局が国内と国際的立場を維持するために、必要な条件ということで一致しているのではないでしょうか。
1999年NATO軍(アメリカ)によるベオグラードの中国大使館の誤爆事件で、北京のアメリカ大使館は反米デモ隊にかなりの仕打ちを受けています。このときはアメリカが損害賠償を求め、中国は拒否する姿勢をとり続けましたが、2年後には秘かに(中国人民にはあまり分からないようにして)賠償金を支払っています。もちろんその前には、その原因となった誤爆に対して、アメリカが謝罪し中国が支払うことになる賠償金の10倍くらいの賠償金を支払っているのですが。
ベオグラード誤爆事件のときとは事情が大きく違いますが、まず根本原因について問題を解決し、それによって発生した事象について解決を図る、というのが中国の方針なのでしょう。4月16日の"上海暴動"に、中国の政権中枢もきっと驚いてしまい対日穏健派が勢力を盛り返してきたのではないでしょうか。4月22日の小泉さんと胡錦濤さんの会談がどうなるかが当面の焦点になるでしょう。
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by pandanokuni | 2005-04-18 17:51 | [実録]05年4月反日デモ
私としては"想定外"だった「上海暴動」をどう捉えたらよいのでしょう。
私は北京に居ますから昨日(4月16日)の上海での出来事を直接目撃したわけではありません。ただ、日本の報道、上海在住の方のブログや知人からの目撃情報などから判断すると、先週(4月9日)北京で起こったことより、一層深刻に感じました。複数の日本車が襲撃を受けひっくり返されたり、日本料理店内部に暴徒の一部が侵入し、お店の設備まで破壊したり、日本に関連していると思われてるレストランやコンビニの看板や窓ガラスが相当数破壊された、或いはパトカーに逃げ込んだ日本人が数百人の中国人に囲まれ、尚且つそのパトカーへの破壊行為も行われた、などという顛末は、もはや「デモ」「集会」の範疇を越え、「暴動」或いは「騒乱」と呼ぶに相応しい出来事だったのではないでしょうか。
もちろん、このような暴動状態になったのは上海市のごく一部、日本人が多く居住するエリアに近い日本関係のレストランやお店が多い地域に限られていたようですが。

実は私は、この週末、北京はもちろん上海でも、暴力や破壊行為を伴う反日行動は起こらないのではないか、と想定していました。

  • 4月13日上海市政府の報道官が外国記者とブリーフィングの中で、「デモや集会には申請が必要で、上海市として現時点では書面による申請を受け取っていない」と明言したこと(NIKKEI NET)。

  • 4月14日以降、上海市民に当局がケータイメールまで使って、そのこと(デモや集会には申請が必要)を周知させていたこと。

  • 北京に住む中国の知人の話

  • そして何よりも、上海及びその周辺エリアの経済は日本との結びつきが他の地域より強く、ビジネスが政治に優先する地域柄だという思い込み。

などが、主たる根拠だったのですが、上海での出来事は私の想定を遥かに越えるものでした。
現時点で私は上海の出来事は、大きく分ければ政権中枢部の"足並みの乱れ"と北京人と上海人の"ライバル意識"が招いた結果だったのではいか、と疑っています。
政権内部の"権力闘争"については既に多くの方が指摘されていますから、見識の浅い私としては詳述を避けますが、一つだけ温家宝さんの発言の変化について述べたいと思います。3月14日「全人代」閉会時の記者会見で温さんは「日中関係は、最も重要な二カ国関係だ」と両国関係の重要性を強調し、日中関係改善のための道標を示しています(もちろん、歴史問題のことも強調)SEARCHINA。ところが北京で反日デモがあった4月9日には、スリランカの津波被災者支援のことで小泉さんを名指しで揶揄したといいます(Y! News)。さらに、4月13日には対日デモについての温さんの発言を人民日報(ウェブ版)が初めて取り上げましたが、見出しは「日本当局は深く反省を」になっていて、3月14日の発言の流れを汲むものの、かなりタカ派っぽくなってしまった感じがします。この間、北京でのデモ発生直後の外交部(中国外務省)の次官クラス喬宗淮さんの「お見舞いと遺憾の意」表明と言う比較的穏健な態度から、4月10日以降の外交部スポークスマンの「背景に中国の責任は無い」と言う強硬な発言へと、次第に硬化したように思えます。
対日強硬派と穏健派による政権内部の"足並みの乱れ"は容易に想像がつきます。胡錦濤さんと温家宝さんはほとんど"一枚岩"に見えなくも無いのですが、やはり江沢民さんの"上海閥"の影が気になるところです。中枢には曽慶紅さん(国家副主席)くらいしかいなくなったのですが、軍部を中心にまだまだ影響力があるのではないでしょうか。

一方、第2点の北京人と上海人の"ライバル意識"とは、「上海なんて○○○」と蔑む北京人と「北京に負けるわけに行かない」という上海人の心理ということです。"上海暴動"が起こる前に私の北京の知人(出身は遼寧省だが大学時代から10数年北京に居る)は、「"拝金主義"の上海人が"金蔓"の日本に刃を向けるはずが無い」と言いました。内心キミだって同類項じゃないかと思いつつ、私は妙に納得させられたのです。ところが、生粋の上海人の知人に上海での出来事について尋ねたところ、「北京には負けられないからね」という言葉が出てきました(彼はデモには参加しなかったとのことですが)。この言葉にも私は妙に納得してしまいました。
<ライバル北京で"愛国主義"的運動が行われた、北京の奴らは経済優先の上海人にはこんなことできないだろうとバカにしている、経済発展で北京に差をつけるだけでなく、"愛国心"でも北京に差をつけてやろうじゃないか....>不謹慎な話かもしれませんが、一部の上海人の意識下にはこうした気持ちがあったのではないか、と思われてなりません。
こうした意識が上海市政府や警備当局にも生じていた可能性も否定できないと思います。上海人と北京人を"ライバル意識"を上海閥"残留勢力vs”共青団派"現中枢部、すなわち"強硬派"と"穏健派"に重ねてみると、自分なりに納得してしまう感じがしてしまうのです。

ただ、私が見聞きした範囲での"警備方針"は、北京と上海で大きな修正がなされたとは思いません。一応デモ隊の進路を塞ぐ、突破されたら先導する、大使館施設内への侵入は阻止する、大使館施設への物の投げ込みは無視する、と言う感じだったのではないでしょうか。レストランや商店への破壊行為に関しての対応方針は想定されておらず、現場の警察官の判断に委ねられていたのかもしれないと思います。中国の警察官や武装警察官は上司からの具体的な指示が無い限り、現場の判断で能動的に対応するということは無いと思われます。

外務大臣の李肇星さんは、4月13日の温さんと同じ内容の発言をしている様子です。李さん自身は知米家の風見鶏のような感じですから、現時点では"強硬派"が優勢な状況で続いていると考えてもよろしいのではないでしょうか。
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by pandanokuni | 2005-04-17 22:22 | [実録]05年4月反日デモ
北京は緊迫の中にも一応平穏(速報:16日北京時間正午現在)
b0047829_14235167.jpg天安門(9:30)
地下鉄天安門東駅のホームから出口への階段には警察官が2~3人配置されていました[写真-1]。天安門東駅から天安門に向かう長安街の北側歩道の両サイドにはほぼ20mごとに武装警察官が背筋を伸ばして立っています[写真-3]。警察官はところどころに4~5人ずつ固まるようにいて、大きめな荷物を持っている歩行者の荷物や身分証のチェックをしていました[写真-2]。
b0047829_1425174.jpg

b0047829_14241723.jpg天安門広場の中も、ポイントごとに固定配置された緑の制服の武装警察官と、見回り担当と思われ、何となく緊張感に欠けた濃いグレーの制服の警察官が、普段よりは多くいました。
天安門から天安門広場にかけては、いつものように中国各地や海外からの観光客で賑わっており、記念撮影をしたりして、いつもと変わらない和やかな雰囲気でした。


b0047829_14253229.jpg王府井(10:00)
ここの東方広場というショッピングモールの地下にある「吉野家」、1階で通りにも面しているソニーの体験型博物館「Sonyexplorerscience」はフツーの営業していました。玄関にガードマンが配置されている様子もありませんでした。
王府井の歩行者天国の大通りは、いつもの週末と同じように賑やかでした。ただ、歩行者天国の北側の入口(新東安市場前)には、婦人警察官が数人配置されていました[写真-4]。欧米系の観光客でしょうか、少しからかい気味に何か尋ねたり、記念撮影をしたりしていて、のんびりした雰囲気でした。


b0047829_14255448.jpg日本大使館(10:30)
大使館前の通り(日壇路)は一般車も含め交通規制は行っていませんでした。ただ、「交通管制」の標識を載せた公安関係のトラックが周辺に駐車しており、スグにでも交通規制できる体制のようです。大使館の近くの光華路との十字路付近には、濃いグレーの制服の警察官が数人単位で歩道に配置され、不審者の通行をチェックしているようでした[写真-5]。ヘルメット装備の武装警察官も約十人単位で3箇所ほどに固まっていました。大使館の正門には、やはり重装備の武装警察官が約3mごとに5人ほど配置されていました[写真-6]。大使館の南側(国際倶楽部飯店側)にはガソリンスタンドがあるのですが、なぜか赤い消防車が2台停車してありました。国際倶楽部飯店付近の歩道には、30代と思われるちょっと雰囲気の悪い男性が20人ほど地べた座りしていました。この人たちが、大使館に抗議をしようと思って集まってきた人たちなのか、私服警察官なのかは分かりません。その周辺には警察官も何人か張り付いていました。
警備関係者以外では、その感じの悪い男性たちのほかに、"怪しげな"感じの人は見かけませんでした。大使館の目の前を一般の中国人や観光客と思われる欧米系の人たちが、フツーに通行していました。
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その後、光華路を東に向かいましたが、この一帯はなんだか緊張感がありました。


b0047829_14284152.jpg 日本大使公邸(11:30)
先週デモ隊が日本料理店などを破壊した東三環路の北側は、普段の休日と変わらない雰囲気でした。先週被害にあった日本料理店のうち一軒は、店の看板のシンボルだった浮世絵調の和服女性の絵と「日本料理」という文字を黒く塗りつぶしてありました。また、もう一軒は店の玄関の両側に中国国旗を立ててありました。
その東三環路から大使公邸に向かう道沿いには、警察官の姿が目立ちます。大使公邸の西側の道路は、既に交通規制で通行止めになっており、武装警察官がガードしていました[写真-7]。大使公邸前の歩道には公安関係のミニバスが10台ほど駐車してあり、車両の中に待機したり、歩道で包子(饅頭)の差し入れを食べたりしていました。大使館公邸前の十字路では、一台の乗用車が警察官の検問に引っかかっていました。
大使公邸の東側の空き地には、重装備の武装警察官が100人以上待機していました[写真-8]。そこから20人ほどのグループで各方面に行進して行く様子でした。この周辺の道路で武装警察官の行進を何グループかみかけましたが、大使公邸の西側(市中心部)の方向よりも東側の東四環路の方向に向かうグループのほうが多かったように思われます。
この時点では、このあたりに反日運動で駆けつけた人は見当たりませんでした。警備関係者の多さを別にすると、通行人はいつもと変わらない感じです。
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大使館と大使公邸付近は、物々しい警備体制が準備されていて、緊迫感がありました。また、大使公邸の警備のほうがより厳重に準備されているように感じました。これはあくまでも推測ですが、反日運動のグループがやってくるとすれば、大使公邸が中心であり、しかも東三環路方面からではなく、東側の東四環路方面からやってくる、という前提の元で警備体制が敷かれているように思えます。
先週の出来事を考えると、デモ参加者の多くは大学生で、大学の多くは北京市の北西部にあり、大学の多いエリアからは北四環路を経由して、東四環路に向かうことができます。東四環路から大使公邸は比較的近い位置にあります。仮にデモの終着点を大使公邸に設定した場合、デモ隊の市の中心部-つまり東三環路や日本大使館、さらには天安門広場-への侵入を食い止めることができる。つまり、デモ参加者の増大と中国当局が死守すべき天安門広場での集会を阻止することが可能になるわけです。

北京に在住の日本人の皆さん、引き続きご注意ください。
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by pandanokuni | 2005-04-16 14:30 | [実録]05年4月反日デモ
反日運動、身近な中国人の声。
今週の土曜日、北京でも反日デモに参加しようとのメールが出回っています。また、17日(日)に北京を訪れる町村外相に対する抗議行動も予想され、この週末、北京在住の日本人の方は十分な注意が必要だと思います。
先週の北京でのデモについて、私が直接接した何人かの中国人の声を、できるだけ忠実に書いてみたいと思います。

私のビジネス・パートナー(北京大学で政治学を学ぶ。天安門事件の首謀者とされた人物と学生寮で同室。日系企業勤務。36歳男性):
私:「政府も収拾に向けて本腰を入れるんじゃないの」
彼:「今回の活動は、そんなに簡単に収まるとは思わない。中国の多くの人が支持している反日活動だから、政府が無理に押さえつけることも難しいと思う。」
私:「いつまで続くの」
彼:「早くて9月いっぱい。多分年末までは断続的に続くと思う。」
私:「暴力的行為も続くかなぁ」
私:「過激な暴力行為は取り締まると思う。暴力に訴えることが良い方法だとは、ほとんどの参加者は思っていないよ。群集心理で暴走する危険性はあるけど、参加者も自制するだろうし、政府も過激な暴力行為や破壊行為は取締りを強化すると思うよ。」

(まじめな)出張マッサージの女の子(四川省の農家出身。北京に稼ぎにやって来て約1年。顧客のほとんどは日本人。自称19歳女性):
彼女:--NHKのテレビニュースで小泉首相が映って--「小泉首相が靖国に参拝に行くから、日本は問題があるんでしょ。あなたも靖国に行ったことがあるの?」
私:「無いよ。土曜日のデモのこと、知ってるの?」
彼女:「当然知ってるわよ。(出張マッサージに出かけるとき)店の周りが渋滞で全然タクシーが拾えなかった(彼女のお店は大使公邸の近く)。」
私:「どう思う?」
彼女:「私には関係ないわよ。でも、日本を嫌いな人がたくさんいるんだなぁ、って分かった。日本人はみんな親切で優しくて良い人なのに、何で日本を嫌いになるんだろう。」
私:「小泉首相が靖国に行くから、中国人は日本のことを怒っているんじゃないの?」
彼女:「靖国に参拝する人は良くないと思う。でも、あなたは靖国を参拝しないんでしょ、日本人がみんな参拝するわけじゃないんでしょ?」
私:「何故、靖国を参拝する人は良くない人なの?」
彼女:「はっきり分からない。でもみんな言ってるよ。」

北京人民大学の2年生(国際関係学専攻。湖北省のとある市の公安幹部の娘。私とはグループで食事などをする関係。19歳女性):
彼女:「pandanokuniさんも大変ね。反日がどんどん盛り上がっていくと、仕事にも影響するでしょ。」
私:「まだまだ盛り上がると思う?」
彼女:「回りの人たちは結構盛り上がってるよ。担任の先生は、暴力や行き過ぎた行為は中国の恥を世界に曝すことになるから止めるように言ったけど、参加するなとかは言ってないし。」
私:「これからもデモや集会があったら、キミも参加するの?」
彼女:「同学の友達が参加するんだったら、一緒に参加するかもしれないな。日本人に対する抗議じゃないのよ、日本政府に対する抗議なのよ。」
私:「何を抗議するの?」
彼女:「過去の歴史を反省しない態度と行動について。教科書で中国侵略のことを美化しようとしているなんて、やっぱり許せないよ。」
私:「でも、日本の教科書がすべて、過去の歴史を美化する態度で書かれているわけじゃないんだよ。中国と違って、歴史教科書だって何種類もあって、学校の判断で選べるんだ。どちらかと言うと、中国で問題にするような教科書を使っている学生は少数派なんだよ。」
彼女:「知ってるわよ。特別な教科書のことだけが問題じゃないのよ。日本政府が"侵略"と言う言葉を使うな、と決めたんでしょ。だから、日本政府に対する抗議だって言ったでしょ。」

他にもいろんな中国人と反日運動の話をしたのですが、何らかの形で日本、或いは日本人と関わりのある人ばかりです。上の三人の発言が典型例なのですが、日本や日本人とまったく関わりの無い人は、また別の意見を持っているのかもしれません。
夕べ、老舗の日本式スナックに行きました。いつもと同じように、ほぼ満卓という感じで賑わっていました。このスナックも、9日(土)と10日(日)は臨時休業したそうです。スナックの女の子は、反日運動やデモについて口をつぐむことは無く、こちらから尋ねれば自分の意見を(たぶん素直に)話してくれました。ただ、日本人を顧客とするこのスナックの女の子であっても「日本は悪くない。中国が悪い。」と言う主旨の会話はありませんでした。
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by pandanokuni | 2005-04-15 18:12 | [実録]05年4月反日デモ
北京の反日デモで、真っ先に経済的被害を被った人たち。
先週末の反日デモの影響で、既に経済的被害を受けている人たちがいます。ちょっとご紹介しておきましょう。

まず、北京在住の殿方や日本からの出張者のオアシス(?)、日本式スナック。北京市内だけで100軒近くありますが、みな日本人のお客さんを当て込んだお店です。4月9日(土)の夜は、外の騒ぎも知らずに普段どおりスナックでお酒を飲んでいた日本人も多かったようですが、日本のテレビニュースなどで"惨状"を知るに至って、日曜日からは客足が遠のきました。こうしたスナックは、週末に荒れた日本大使公邸付近から東三環路、日本大使館のゾーンに集中していますし、北京在住の日本人の間では不用不急の外出は避ける傾向にありますから、まず打撃を受けたのが、こうした日本式スナックや日本人向けカラオケでしょう。裏で操る日本人がいる場合もありますが、こうしたお店のほとんどは中国人がオーナーなのです。
いくつかのスナックでは「送迎サービス」を始めました。夜道が怖くて来れないお客さまを自宅やホテルまでお迎えして送り届けよう、というわけです。さすが中国人ママ、苦境にめげず頑張っています。

次に、中関村のデジカメ販売店。
IT製品販売店がたくさん集まる中関村。4月9日の反日デモがここから始まった理由もそこにあったのでしょうか。そうは言っても、パソコンやモニタなどの周辺機器は日本ブランドが大人気と言うわけではないので、日本ブランド以外の製品が売れれば販売店の人はそんなに困らないのです。ただデジカメやムービーカムとなるとワケが違います。特に中国で販売されているハイエンド・デジカメはほとんどが日本ブランドなのです。デジカメを売る人も、日本ブランド以外に勧められる製品がほとんど無いのです。
私の知人が働くお店は、日本ブランドのデジカメ専門店。9日は休業、10日はお店を開きましたが普段の日曜の1割も売れなかったそうです。このようなお店で働く人たちはフツー歩合給です。たくさん売れればお給料も多くなりますが、売れなければお給料がもらえないわけです。とても困っていました。

昨日の昼食は、現代城(北京市ほぼ中心部のオフィスビル)1階の吉野家に行きました。オフィスに近く、なんと言っても日本では食べることのできない吉野家の牛丼を食べることができるので、週に一回ほどここを利用するのですが、いつもの昼時よりはお客さんが少なかったです。いつもだと、カウンターの列も入口あたりまで長く続き、2フロアに広がる座席も空席が見つからず合席を強いられるほどの混雑なのですが、きのうはカウンターの列も短くて、座席が少ない1階にも6人掛けの席がまるまる空いていて、同僚と二人で悠々食べることができました。北京の吉野家は、日本の直営ではなくて台湾系資本のFCらしいのに....
東三環路などの路面に面した日本料理店は、9日に襲撃を受けたりして、未だに休業しているところも多いです。こうしたお店のほとんどは中国人オーナーですし、従業員もみな中国人です。私たち日本人や日本企業にも経済的被害が次第に拡大していくかもしれませんが、中国人にだって被害が及んでいるわけです。
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by pandanokuni | 2005-04-13 16:53 | [実録]05年4月反日デモ
北京全体が危険に曝されているわけではありませんが....
数年来メールを出しても返信すらして来ないような旧友から、「大丈夫か」と言うメールが来ました。とにかく北京に居る私の安全を心配してくれている知人が多いのに驚きました。ほんと、ありがたいことです。
2003年のSARS(新型肺炎)流行のときも去年のサッカー・アジアカップ決勝戦のときも、安否確認はありましたが、こんなに多くはありませんでした。日本では「北京が危険だ」と言う報道が相当されているのでしょう。確かにNHKニュースで反日集団の破壊活動の映像とその痕跡を見てしまうと、大変危険な感じがします。でも、広い北京或いは広大な中国のごくごく一部の地域で一部の人たちが起こした行動なのです。

きょうの北京は、フツーに生活している限り、いつもと同じように平穏です。いくつかの事実を紹介しておきましょう。
きのう(4月10日・日曜日)の午後、私は北京市東部にあるイトーヨーカ堂に買い物に行きました。入口付近のガードマンはいつもより少し多めだった感じですが、警察関係者は見かけませんでした。いつもの土日と同じように、北京の人たちで大変な混雑でした。日本ブランドビールも日本から輸入の食材コーナーも、お寿司コーナーもお刺身コーナーもいつもと変わりませんでした。北京の人たちはいつもと同じように買い物をしていました。

きょうは日系企業が入居しているオフィスビルのいくつかに、北京市公安局のおまわりさんが訪ねてきました。知人のオフィスにも北京市公安局外事部所属の制服のおまわりさんが二人でやって来て、日本人の勤務者に対して、安全の確認をし、何かあったらここに連絡するようにと外事部の連絡先を書き残して行ったそうです。私のオフィスは日系企業が入居するようなビルではないので、安全確認のおまわりさんはやってきませんでしたが。

また、来週4月16日に第2波の反日デモを計画しており参加を呼び掛けるようなメールも、今朝あたりから出回っているそうです。メールが届いた大学生の知人によると4月9日の反日デモの参加呼び掛けとは違うアドレスからで、聞いたことの無い団体名だったそうです。一部の大学では、大学当局がデモへの参加とメール転送の禁止を文書で掲示しているそうです。

北京は相当危険らしい、大丈夫か、生きてるか、と心配してくれている知人には、次のように説明しています。東京で喩えるなら....
秋葉原の駅前広場で"りんご"フリークがアンチ"窓"と"窓"の創設者ビル君の排斥集会を始めました。「”窓"は使いにくくてスグにフリーズするOSだ」「ウィルスに弱いのに対策が甘い」「ビル君一人だけに儲けさせてどうなる」「オレたちアーティストはみんな"りんご"を支持している」みたいな事を叫びながら、秋葉原の電気街で「"窓"は買うな、"りんご"にしよう」と行進していきます。"窓"のウィルスやフリーズにイラついていた秋葉原の買い物客の一部も賛同して、そのデモ隊に加わります。どんどん熱くなって、とうとう初台の"窓"の会社の日本ビルまでたどり着きました。そして一部の過激な"りんご"フリークが、手にしていたペットボトルを甲州街道からオフィスビル目掛けて投げ放ちました。
こんな出来事、テレビニュースで目にしない限り、浅草や銀座や渋谷でお買い物している人たちは知りえませんし、他の人たちはフツーに生活し続けているわけです。
もちろん、"りんご"フリークがヒートアップしているところで、「オレは"窓"が好きだ!"りんご"なんて子どものオモチャだ!」なんて叫んだら、きっとボゴボゴにされてしまうかもしれません。でも、そんな特別な行動をしない限り、"りんご"フリークは一般人を攻撃してこないでしょ....

このたとえ話で言うなら、いまの北京はいたるところに"りんご"フリーク(というかアンチ"窓"派)が存在するわけですが、彼らは一人二人では大それた行動を起こしません。何人か集まるとちょっと怖くなっていきます。そんな感じですから、自分からすすんで「オレは"窓"派だ」と主張しない限り、危険はほとんど及ばない、と考えて良いのではないでしょうか。
北京に旅行や出張をご予定の方、ご参考になりましたでしょうか。もちろん、日本人の行動次第では危険な状況に陥ることは確かです。不用不急の観光旅行などを計画の方は、慎重に考えたほうがよろしいと思います。
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by pandanokuni | 2005-04-11 21:48 | [実録]05年4月反日デモ