「嫦娥1号」打ち上げ成功18時間後にバスストップ祝賀広告が出現。
中国初の月探査機「嫦娥1号」が打ち上げられたのはきのう(10月24日)の北京時間午後7時過ぎのことでした。

嫦娥は古代中国の伝説の美女の名前だそうです。仙女になって夫を残してひとり月に昇ってしまい、月宮でひとりさびしく地球に残してきた夫を思い沈んだそうです。
いっぽう、月に帰っていった「かぐや姫」に未練をたらたらだったのは地球の男たちでした。日本の「かぐや姫」は、台頭してきた藤原一族の情けない男たちを陰であざ笑うためのお話として言い伝えられたと言われています。
日本の「かぐや姫」はもともと月から地球にやってきた設定になっていて、もともと地球界にいた美女「嫦娥」とは筋書きが違いますね。
日本の月探査機は「かぐや姫」。月の探索機能ではこちらのほうが随分優れているらしいです。ちなみに日本の「かぐや姫」のことを中国では「月亮女神(月の女神)」と呼んでいるようです。

さて国営のメディアが大騒ぎする割りに、中国の経済を支えているとも若者の反応は冷ややかなようです。
2003年10月15日に初の有人宇宙衛星「神州5号」の打ち上げと帰還に成功したときには、北京の若い人たちも喜んで話題にしていたのですが、きょうお話した上海の若い中国人は誰一人としてこの話題を口にしませんでした(上海にいるせいもあると思うのですが)。CNET Japanの記事にも"ネット利用者の反応はいまいち?--中国、月探査機「嫦娥1号」を打ち上げ"とあります。SINA.com(新浪網)のニュースセンター・ランキングでも現在4位という状況です。

まぁ、有人宇宙飛行より地味なのは確かですしね....。第十七回共産党大会直後と言う、いかにも政治ショー的な演出に、高学歴・高所得の若者を中心としたネットユーザーが、どっシラケている感じすらします。
月に眠るたくさんの資源(ヘリウム3などが期待されているそうですが)が、根こそぎ中国に持っていかれないように、日本の「かぐや姫」もがんばって欲しいものです。

前置きが長くなりましたが、その「嫦娥1号」が打ち上げられた翌日の上海の大通りで、『熱烈祝賀 嫦娥1号月球探測衛星発射成功!』と言うタグラインの入った屋外広告をたくさん発見してしまいました。この広告は中国の大手乳業メーカー「蒙牛」の企業広告で、「蒙牛」は中国の宇宙開発の協賛企業(オフィシャル・サプライヤー)でもあります。つまり「蒙牛」の牛乳は中国の宇宙飛行士のオフィシャル・ドリンクになっているのです。
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大きな出来事の直後に、そのネタで広告を打つことはよくある話です。
中日や日本ハムが優勝を決めた翌日の新聞には、
球団からの「ご声援ありがとう」広告や、系列の量販店などの「祝優勝バーゲン」広告が掲載されたりします。テレビや新聞、インターネットなどの広告メディアは、即時性に強いので、こういった仕掛けをしやすいのです。予定されるお祝い事など大きな出来事の前に、コマーシャルの素材や広告原稿を用意しておけば良いだけですから。

ところが屋外広告となるとそうは行きません。広告原稿は事前に用意できても、設置するのに労力と時間がかかるからです。
しかも、屋外広告は街の景観に関わりますから、あらかじめ行政によるデザインのチェックがありますし、広告内容の審査もあります。とりわけ中国の場合は、そのお国柄で審査基準が厳しくかつ時間がかかるものです。まして、打ち上げに成功する前の段階で、「成功」なんて不事実な内容は、本来審査で撥ね付けられるべきものです。
しかも、この「祝賀広告」は1箇所のビルボードに掲出されているのではなく、上海市内のバスストップのいたるところに掲出されているのです。広告フィルムを交換するには、4人がかりで1時間ほどかかると言われていて、1時間で50箇所を交換するには200人の作業部隊が必要になります。

大都市のバスストップなどに設置されているライトボックス屋外広告は、香港に上場している白馬広告が独占的に権利をもっていて、なかなか融通が利かないと評判です。少なくとも外資系の広告主に対しては2週間前までに広告原稿の最終確認を求める割には、掲出予定日が過ぎても広告が掲載されていない、なんてことが良くあるのです。
にも関わらず、打ち上げ成功から18時間以内に"祝賀広告"原稿を差し替えたなんて、よほど気合が入っています。きっと政府関係の誰かの後ろ盾があったのでしょうね。

NHKの報道によれば、「嫦娥1号」打ち上げ見学ツアーまで売り出されていた、と言うこと。
よほど打ち上げの成功に自身があったのでしょうね。
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by pandanokuni | 2007-10-25 21:35 | 社会ネタ
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