ダライ・ラマ14世がブッシュに会うと、中国ではBaidu(百度)以外の検索サイトが使えなくなる!?
先日、訪米したダライ・ラマ14世にブッシュ大統領は最高位の勲章を授与しましたが、アメリカの対応を中国外交部(外務省)のスポークス・パーソンは定例会見で強く批判しただけではなく、外交部長(外務大臣)が駐北京アメリカ大使を呼びつけて抗議したそうです。
こうした事実を中国大陸ではほとんど報道していないので、検索しようと思って"Google"のアドレスを打ち込んだのに、中国の検索サイト"Baidu(百度)"が表示されてしまったことは、平和な中国人民にとっては自分の勘違いにしか思えなかったでしょう。

実はこの数日、中国の一部のエリアから、"google.com"、"yahoo.com"、"msm.com"などにアクセスしようとすると、なぜか"Baidu(百度)"が表示されてしまうと言う現象が起きたそうです(10月18日付Webpronews.com「China Blocks Everything But Baidu?」)。
北京滞在中の私はこれらの検索サイトにアクセスを試みてみましたが、2つの接続プロバイダーともに"Baidu(百度)"にリディレクトされず(行き先を変えられず)、無事それぞれのサイトが表示されました。10月19日付けTechCrunchによると、この現象が確認されたのは中国第2の接続プロバイダーである"China Netcom"を利用して上海から接続した場合とのこと。ほかのプロバイダーやほかの地域では確認のは取れていません。

すわダライ・ラマ14世の訪米や叙勲の情報をブロックするため、中国当局が仕組んだアクセス制限か、と思いきや、国家の謀略とは確認できず、とりあえずISP(接続プロバイダー)の謀略なのだろう、と言うのがTechCrunchはじめアメリカのネット専門ニュースサイトの分析のようです。

ちなみに北京から、Googleなどを利用して"ダライ・ラマ"を検索しても通常に結果が表示されますし、Googleニュースの一覧にもダライ・ラマ訪米関連のニュースは表示されています。
ただ現在、Asahi.comには接続できますが、YOMIURI ONLINEには接続できません。これは私の接続環境に固有の現象かもしれませんが、Googleニュースで拾ったダライ・ラマ関連ニュースのタイトルは、Asahi.comが『「深刻な影響」中国強い抗議 ダライ・ラマ金メダルで』、YOMIURI ONLINEは『ダライ・ラマへの勲章授与、中国外務省が激しく非難』です。タイトルからしか想像できませんが、もしかしたら、中国政府に都合が悪い内容の記事であるYOMIURI ONLINEのほうだけをアクセス禁止にしているのかも知れませんね....。
それに、ここ数日、北京からYouTubeにアクセスできません(北京の複数の知人も同様の現象に遭遇しています)。あとは中国以外のドメインへの接続速度が、気分的に遅いようにも思えて、何だかインターネットが使いにくい状態にあることは事実です。

日本の果敢なネットウヨク系の方などは、共産党の言論統制の一環だ、などと短絡的に決め付けてしまいそうですが、アメリカのネット系情報サイト"TechCrunch"の記者Duncan Rileyさんは「サイバー戦争、中国が西側諸国検索サイトに宣戦布告」というタイトルで、ある意味冷静な分析をしています。
彼は、「中国はファイアーウォールを検閲目的のツールとして利用するとだけでなく、経済的なツールとして利用しているのでは」という持論を持っています。つまり、GoogleやYahoo!やMSNなど中国国内の検索/ポータルサイトの中国国内でのビジネスの邪魔をするために、中国政府によって整備された金盾(ゴールド・シールド)ネット検閲~アクセス遮断システムが利用されているのではないか、と。
もし、中国政府が検閲に限って真剣なら、ページが見つからない/ブロックされているなどとするメッセージを掲載したページを表示するだけでよいはずで、 Baiduサイトへとユーザーを誘導する必要はないはずだ。中国政府は明らかに検閲体制を中国拠点(しかしNASDAQ上場)企業の経済的な利益へと利用しているのだ。もっとも、アメリカ政府は、中国も最近メンバーに加わったお粗末なWTO(アンティグアの件を覚えている人は?)のメンバーだが、不服を申し立てるべきだろう。中国は西側諸国に対し自由でオープンなアクセスを求めている。その一方で、今では、単に西側各国のサイトをブロックするだけでなく、中国拠点サイトと競合するサイトへのトラフィックを(中国を拠点とする)サイトへと誘導しているのだ。
中国政府がBaidu(百度)など国内企業を保護しているのであって、政治的問題と言うよりは経済的な問題だ、と言う仮説です。
ま、政府がそこまでするかどうか、私としては疑問に思いますが、China Netcomのような有力ISPがBaidu(百度)とタイアップ(!?)して、GoogleやYahoo!などのユーザーをBaidu(百度)に強制誘導した、と言うストーリーなら、十分可能性があると思います、プロモーションの一環として。

もちろん中国ではネットが規制されていて、政府や共産党に都合が悪いサイトなどがブロックされるのは日常茶飯事です。
今回の現象をもって、中国の言論統制では無い、などと言うつもりは毛頭ありません。
YouTubeがアクセスできない状態になっているのは、ダライ・ラマ14世の訪米や叙勲のニュース映像をブロックするためなのかもしれませんし......。

[追記]
10月20日時点で、北京、上海、大連の各知人から、Yahoo! JapanなどがBaiduにリディレクトされているという情報をいただいております。接続プロバイダーは確認できませんでしたが、上海地区のChina Netcomによる接続だけではない、全中国的な現象であることは確かなようです。
ただ私や周囲の人はリディレクトされず、Yahoo!やGoogleの海外ドメインに行けていますので、全中国のすべての接続がリディレクトされているわけでは無いようです。
[PR]
by pandanokuni | 2007-10-20 01:11 | 社会ネタ
<< 中国ネット規制:『豚がみんな笑... ネット統制のいたちごっこ。中国... >>