イチロー(=日興コーディアル)+松井秀喜(ミサワホーム)でもホリエモン(ライブドア)にはかなわん、かぁ。
日興コーディアル証券に"不適切な会計処理"があったとして、証券取引等監視委員会は金融庁に5億円の課徴金納付を命じるように勧告したそうです。これを受けて東京証券取引所は明日から、日興コーディアルの株式を監理ポストに割り当てることにしたそうです。つまり、"上場廃止"の可能性も出てきたということです。
日興は05年3月期に本来は連結すべきグループ会社を決算から外し、利益をかさ上げした疑いがもたれているそうです(NIKKEI NET)。

連結決算の際に相殺しなければならない、子会社(日興プリンスパル・インベストメンツ株式会社)と孫会社(NPIホールディングス株式会社)間の取り引きを相殺せずに、子会社側の売上利益のみを計上していたようです。05年3月期の連結純利益は、当初発表していた469億円から351億円に概算修正することになり、結果として1年間の純利益で118億円の粉飾ということになります。
財務処理には精通しているはずの証券会社ですから、ちょいと、うっかりミスとは思い難い感じがします。ちなみに、当時の監査法人は中央青山だったようです....。
平成17年3月期の中間および期末に計上したEB債の評価益は、不適正であったとの結論に至りました(日興コーディアルグループWeb)」そうですが、『改善策』として発表されたのは、「経営責任の明確化」。いままでは、明確でなかったのでしょう....。このくらい大きな会社ですと、会長や社長は「知らなかった」で通ることになるのでしょうか?ちなみに、会長・社長は減給50%を6ヶ月で、課徴金(5億円)は経営陣が負担の模様。

いっぽうミサワホームのほうは、連結子会社であるミサワホーム九州株式会社の売上計上時期に絡む問題です。過去5年間に渡って商品(住宅)を引き渡しする前に売上を計上していた、ということで、5年間の純利益では17億円の粉飾、単純平均すると1年あたり3.3億円くらいになります。
ミサワホーム九州はこうした粉飾操作を行わないと、債務超過に陥っていたようので、かなり積極的に売上を前倒ししていた可能性が高いのでしょう。

さて、粉飾決算とか不適切な会計処理といえば、ライブドア事件を想起される方も多いのではないでしょうか?証券取引等監査委員会が指導とか勧告とかするでもなく、いきなり検察とともに強制捜査を行い関係者を逮捕。テレビを中心とする大衆メディアは多くの時間を割いて報道しました。
ところが、日興コーディアルの事件をテレビ・メディアはほぼ黙殺しています。この事件、雑誌では『東洋経済』あたりが予告して、日本経済新聞社が16日に1面で報道しました。日経が第一報を休日に選んだのは、株式市場への影響を考えてのことでしょう。それほど、大きな問題であるはずなのに、私の知る限り、いまのところテレビではNHKとテレビ東京が18日の日中のニュースで取り上げたくらいで、夜のニュース番組では報道されていません。
むしろ、財界の大物に嫌われているのかミサワホームの問題のほうは、週末のテレビニュースで結構取り上げられていた感じです。
大手証券会社と住宅建設会社、不適切な会計処理の金額の大きさ、どちらをとっても、日興コーディアルの事件のほうが、社会的影響力が大きいように思えるのですが....。ちなみに、現時点ではミサワホームの株式を監理ポストに割当てるような発表も無いようですし。

こう考えると、ライブドアのときの捜査手法や報道姿勢がいかにも特別に思えてきませんか?私は本ブログでライブドア強制捜査についてネガティブな意見をエントリーし、随分ご意見もいただきました(「ライブドアを中国語では"ホリえもん"と言うんだぁ....」/「ライブドア強制捜査。日本にとって吉と出るか凶と出るか?」)/日本におけるlivedoor叩き報道と中国における江沢民路線賞賛報道)。
上述のようにライブドア事件をまとめるなら、最終的にホリエモンの起訴事実とされているのは、投資事業組合を利用して自社株売却益37億円を売上利益として計上した問題と、子会社にする前の会社の売上利益を計上し53億円を粉飾した問題)。前者に関しては会計処理の専門家でも"不適切"といえるのか意見が分かれるくらいビミョーな問題のようです。あれだけメディアが大騒ぎしたのは社会的注目度が大きい企業と代表者だからかもしれませんし、堀江さんに大衆メディアを積極的に利用する意図があったのかもしれません。だとしても、社会的注目度を大きくしたのはキミたち大衆メディアではないか、と思いたくもなります。
"市場の規律保持のために、機動的な追及ができる"と言う証券等取引監視委員会が金融庁への勧告などの行政手続きを行えるようになったのは2005年4月から。刑事事件として告発するほど"悪質ではない案件"は行政手続きで処理できるというルールらしい....。"社会的注目度"は別として、"社会的責任"はライブドアよりも日興コーディアルのほうが大きいように思えてしまうのですが、刑事事件として追及されず"担当者のミス"ということで済んでしまうのであれば、株価が一時的に落ち込み経営陣が5億円の課徴金を割り勘で負担しなければならないとしても、やはりライブドアやホリエモンへの捜査当局やメディアの対応に違和感を覚えざるを得ません。

日興コーディアルのテレビCMにはイチローが、ミサワホームのテレビCMには松井秀喜が出演しています。まぁ、お二人とも社会的注目度は大きいはずなのですが、やっぱホリエモンにはかなわなかったのでしょうか....。
やっぱ西欧のように、企業や政府とメディアとの間に緩衝地帯を設けなければ、日本の民主主義は成熟していかないのではないか、などと思いつつ、受け手の大半が"制限付き"ということを認識してメディアと接している中国のことを懐かしく思ったりもしてしまいます....。
[PR]
by pandanokuni | 2006-12-19 01:16 | 社会ネタ
<< 四ヶ月ぶりの北京にて 実名報道:タウンミーティングの... >>