犬のために命を賭けて(!?)戦う人、犬に噛まれる人、犬を食べちゃう人。
北京で犬を飼う場合、警察に申請して登録しなければなりません。そのときに、登録料を支払わなければなりません。いまは1,000RMBほどですが、5年前は5,000RMBを一括払いしなければなりませんでした。その頃の四大卒の初任給の3倍から4倍ですから、日本の感覚だと70万円から100万円を用意しなければ、合法的に犬を飼うことができなかったわけです。

犬を飼うための登録料が5,000RMBだった頃の映画『わが家の犬は世界一』をご紹介しようと思います。
ことし最も注目された中国映画でありながら、公開後の評判が芳しくない章子怡(チャン・ツィイー)主演の『夜宴』を監督した馮小剛さんが製作総指揮、路学長さんが監督した、2003年のベルリン国際映画祭正式出品作品です。
b0047829_1858428.jpg反抗期の息子と決して仲睦まじいとは言えないその両親。父親は工場勤務で、怪しげな関係のバツイチ女性から子犬を貰い飼うことになりました。母親は中国では珍しく専業主婦で、夜勤の多い夫に代わって愛犬"カーラ"のお散歩はいつも母親の役目。夫の愛人っぽい女性がくれた犬だけど、やっぱ可愛くなっちゃいます。
夜の公園は愛犬を散歩する人たちで賑わっていたのですが、突然警察が取り締まりにやってきました。登録証の無い犬は有無を言わさず派出所に収監されてしまいました。カーラの飼い主は警察の手から逃げ延びようと試みましたが、最後には"御用"となってしまいました。翌日の午後4時まで登録証を用意しなければ、カーラは郊外の強制収用所に連れて行かれ"処分"されてしまうのです。
あとはバラバラだった家族がカーラを救い出すためにバラバラに奮闘すると言うお話です。息子は警察官を父に持つ友人の"コネ"、父親はカーラの親犬の登録証の"不正利用"と中国っぽい手法で頑張るのですが、最後は母親の蓄えたへそくりがモノを言います。そして、意外な結末が待っているわけですが....。
張芸謀監督の『活きる』で波乱万丈の生涯を飄々と演じた葛優さんが父親役、『北京の自転車(十七歳的単車)』でイジメられっ子役だった李濱さんが息子役というキャスティングの妙が、見所の一つだと思います。

上述の通り、北京市の登録料は当時の1/5に引き下げられましたが(但し毎年更新料が必要となりました)、"違法飼い犬"の取り締まりは、一層厳しくなっているようです。
11日午後には、当局による"違法飼い犬"取締りに抗議する"愛犬家"たちが、北京動物園の前で集会を行ったそうです(『大紀元』のウェブサイト / Yomiuri Online)。"愛犬家"たちは、「生命を大切にしよう。動物を可愛がろう。"調和のある社会"をともに築こう。」「屠殺反対!!」などのプラカードやシュプレヒコールで、警戒中の警察隊と対峙したそうです。「体高制限反対!!」と言う主張も目立ったようです。北京では体の高さが35cmを越える大型犬は、登録の有無に関わらず、強制収容され屠殺されてしまうのだそうです((産経新聞中国総局・福島香織さんのブログ『北京趣聞博客』を参考にさせていただきました)。無許可の集会ですから、当局に逮捕・拘束される危険性もあったわけで、"愛犬"のため、まさに"命懸け"のアピールを行ったわけです。

当局が取り締まりを強化するのは、狂犬病と犬に噛まれる被害が無くならないからでしょう。1-10月までに北京市内で動物に噛まれた"被害者"は11万人を上回り、前年同期より28%も増えたとの報道もあります(11月8日北京晨報)。10人が狂犬病を発病し、うち9人が亡くなってしまったとか....。取締りをもっと強化して欲しいと願う市民も確かに多いと思います。きちんと登録して、狂犬病の予防接種も受けて、定期的に検査を行えば、少なくとも狂犬病の危険は経るのだと思います。体長35cmルールについてはどうも解せませんが.....。"愛犬家"による無届けの違法集会についての報道は当然スルーした中国のメディアですが、2日後、人民日報のニュースサイトが「犬の災いは人災だ」という記事でルールを守らず犬を飼い続ける"愛犬家"を非難しました。

いまから7~8年前になりますが、北京に住み始めた頃、近所の小汚い朝鮮料理屋で友人と食事をしていると、家族連れのお客さんが賑やかに入ってきました。母親と思われる中年の女性は少し大きめの紙袋を抱えていて、紙袋の口からは白い子犬が頭を出して、キャンキャンと鳴いていました。当時は、レストランにペットを連れてやってくる家族など珍しかったのですが、気取ったレストランでも無いので気になりませんでした。
私たちは当然その家族のペットだと思って、可愛い犬だなどと話しながら、その子犬の気を引こうとしてたのですが、席につくなりその子犬はレストランの店主の元に引き渡されてしまいました。まさか、とは思いましたが.....。
暫らくすると、家族連れのテーブルに鍋料理が運ばれてきました。その家族が食したのは「犬鍋」。愛くるしい子犬が持ち込んだ材料だったわけです....。
朝鮮族の方が比較的多い北京では朝鮮料理屋さんが結構あります。これからの寒い時期には「狗鍋」(犬鍋)を供するお店もあります。もちろん、東北地区の朝鮮族自治区ほどではありませんが、ご馳走として食べられてしまう"犬"もいまだにいるのです。

犬に噛まれて命を落とす人たち、愛犬のために当局を敵に回しても戦おうとする人たち、寒いときには身体の芯まで暖まると言う「犬鍋」を美味しそうに食する人たち、ほんと中国は多様なんですよ....。
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by pandanokuni | 2006-11-14 18:50 | 社会ネタ
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