中国メディア、安倍さんを迎えるために地ならし進行中。
10月8日の日中首脳会談がほぼ固まったようです。
小泉さんのときには"悪役"扱いだった日本の"指導者"です。13億の民の手前、中国の"指導者"がにこにこしながら"悪役"と握手をするわけにも行かないのでしょう。
この時を待っていたとばかりに、安倍さんのイメージアップに躍起です。まぁ、小泉さんが首相だった最後の1年は、日本という国家とか政治家とか政府などと小泉純一郎個人をできるだけ区別して、"悪役"は日本政府の人たちではなく小泉さんなんだ、と念じ続けてきたので、小泉さんの後を継いだ安倍さんを"悪役"から"善人"へと持ち上げる土壌は出来ていたわけです。

新華社のウェブ版「新華網」が伝えた安倍さん関連の記事を拾ってみましょう。

『日本の新指導者に日中関係の改善と発展に建設的な努力をしてくれるように望む』(9月26日新華網)
安倍政権発足直後の記事ですが、中国側の期待の大きさが伺えます。この記事は、9月26日の中国外務省定例会見での秦剛スポークスマンの発言が元になっています。関連部分を引用してみましょう。
Q1:本日、安倍政権が成立しましたが、日中関係に対する影響は?
A1:私たちは日本の新しい指導者が日中関係の改善と発展のために努力してくれることを希望しています。
Q2:中国は日本の新首相に祝電を送りましたか?
A2:常識の問題です。
Q3:自民党総裁に選出された際、安倍氏はアジア外交重視を示しましたが、こうした態度に中国側が期待する価値はあると思いますか?
A3:私たちは日本の新しい指導者の言行一致を望んでおります。
Q4:靖国神社に参拝するかどうかについて、安倍さんは明確な態度を示していません。こうした態度は小泉さんと少し異なると思いますが、日中首脳会談にポジティブな影響をもたらすのでしょうか?
A4:中国側の靖国神社の問題に対する立場は一貫して明確なものです。
Q5:東京で開催された日中戦略対話の時に、日本側は安倍首相の靖国神社に対する態度を説明し、今後政治問題化しないために、首相は参拝に対する明確な表明は行わないことにする、と報道されていますが、中国側の態度は?
A5:この問題については、先ほどお答えしました。
Q6:安倍伸首相と胡錦濤主席の首脳会談が年内に開催される可能性はありますか?どのような条件で開催されますか?
A6:日中両国の指導者が会談する時期や条件について、私たちはこれまで何度も関連する立場を明らかにしてまいりました。ご出席の皆さんもよくご存知だと思います。その立場に変化はありません
Q7:麻生氏が外務大臣に再任されましたが、あなたの評価をお聞かせください。
A7:麻生外相は日本の新政権の一員です。私たちは日本の政権が日中関係の改善と発展のために努力してくれることを希望しています。

中国外務省のキーノートは、小泉さんのときと何も変わっていません。でも見出しの付け方によって、こうも印象が変わってしまうのです。悪意を満ちた記事にするなら『日本の指導者が変わっても、中国の立場に変わりは無い』などと見出しをつけることも出来たでしょうに....。既に歓迎ムードが漂っています(写真の選び方一つでもイメージは随分違ってきますね....直近ニュースサイトに掲載された両名の写真です)

『安倍首相、所信表明演説で隣国との関係改善を約束する』9月30日新華網
日本の安倍晋三首相は19日、国会衆議院本会議で首相に選ばれて最初の所信表明演説を行いました。演説の中で安倍首相は、中国と韓国は日本の重要な隣国であり、日本が中韓と相互信頼関係を深めることはアジア地区と国際社会のためにも重要であることを強調しました。(要約)
所信表明演説を取り上げた記事もポジティブです。

『安倍首相、日本の侵略がアジア人民に巨大な損害と苦痛をもたらしたことを認める。』(10月3日新華網)
日本の新首相安倍晋三氏は2日、衆議院で歴史問題に関する質問に対し、"村山談話"を引用し、日本の植民地統治と侵略は多くの国家、特にアジア各国の人々に巨大な損害と苦痛をもたらした、と答えました。
日本の最大野党である民主党の幹事長・鳩山由紀夫氏は衆議院本会議で安倍首相に対して、当時の日本のアジア植民地統治を認めるか、またA級戦犯の責任などに関する質問を行い、さらに靖国神社に参拝するかどうかについても明らかにするように求めました。
A級戦犯の責任問題について、安倍首相は、戦争責任の主体に関しては様々な議論があり、政府が具体的結論を出すのは適当ではない、と回答しました。また、日本は「サンフランシスコ講和条約」に基づき、極東軍事裁判の結果を受け入れたのだから、裁判結果に意義を示すべきではない、と答えました。靖国神社を参拝するかどうかについて、安倍首相は直接的な態度を表明しませんでした。
1985年8月15日、当時日本の首相だった村山富市氏は演説の中で、日本が過去に行った植民地統治と侵略に対して深い反省の念を表明するとともに、過去の過ちを繰り返さないよう、日本の若者に戦争の悲惨さを話しました。
まるで小泉さんが"日本の侵略がアジア人民に巨大な損害と苦痛をもたらしたこと"を認めてなかったように思えてしまうこの記事で、安倍さんをお迎えする準備も万端と言う感じです。
小泉さんは2001年の最初の訪中で真っ先に盧溝橋を訪ねました。そして「中国人民抗日戦争記念館」を見学した後、「侵略によって犠牲になった中国の人々に対し心からのお詫びと哀悼の気持ちをもって、いろいろな展示を見させていただきました。」と発言しています(在中国日本大使館のサイト)。敗戦60年の2005年8月15日には"村山談話"を踏襲した、「多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明するとともに、先の大戦における内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を表します。」という"小泉談話"を発表してもいます()。もちろん当時は、新華社通信などが速報扱いで好意的な報道したのですが((2005年8月15日付け拙ブログ)、この間の"靖国ノイズ"が大き過ぎて、多くの中国人民の記憶からはすっかり消え去っていたのではないでしょうか。ですから、こうした安倍さんの発言は、小泉さんとは何か違う、変わったと受け入れられているのではないかと思います。

こうして新華社など中国国営メディアは、安倍さん歓迎ムードを醸し出そうとしているようです。でもホンキで人民に歓迎してもらおうなんて思っていないでしょう。胡錦濤さんや温家宝さんが、いままで"悪役"だった日本の指導者と急にスリスリしちゃうと人民が納得しませんから、安倍さんが来る前に日本の新指導者は"悪役"では無いんだよ、と言うイメージ作りが必要なんだと思います。
読者が飛びつくようなニュースならば、あっという間に地方紙やニュースサイトに転載されていく新華網の記事ですが、いまのところ(2006年10月3日正午現在)あまり転載が進んでいない様子です。読者=人民の興味が無いニュースは国営メディアが音頭取りしても、大々的には広がらないようですね。SK-II問題みたいな"いちゃもん"系の話題ならば、あっという間に中国中に広がってしまうのですが.....。
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by pandanokuni | 2006-10-03 15:16 | 社会ネタ
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