『白い巨塔』と『ドラえもん』と『君よ憤怒の河を渉れ』
天下のCCTV(中国中央電視台)で久々に日本のテレビ番組が放映されています。3月18日から28日にかけてCCTV-8(ドラマチャンネル)で放映されたドラマ『白い巨塔』と3月27日からCCTV小児(こどもチャンネル)で放映中のアニメ『ドラえもん』です。

山崎豊子原作の『白い巨塔』は4回テレビドラマ化されていますが、今回中国で放映されたのは、2003年10月からフジテレビ系列で放映された"最新"ヴァージョン全21話です。日本ではテレビドラマは"ハコ"と呼ばれる週に1回放映がお決まりですが、中国の場合、同じ時間帯で毎日2~3話を放映するのが普通です。日本では半年間続いた唐沢&江口版『白い巨塔』も、CCTV-8ではたった1週間ほどで放映完了となりました。

ところでCCTV-8版『白い巨塔』の最終話は、中国の一部視聴者の顰蹙を買ってしまったようです。「CCTVは原作を尊重せず『白い巨塔』を切り刻んだ」と罵られています(新浪網)。この記事は上海の「東方早報」からの転載のようでが、要は熱心な視聴者は、CCTVが『白い巨塔』のクライマックスをバラバラに切り刻んで支離滅裂なものにしてしまった、と憤っているらしいのです。さらに翻訳やアフレコの間違いならいざ知らず、CCTVが原作の精髄を破壊したことに関しては我慢できないそうです。
私は原作を読んでいませんし、CCTV-8で放映された最終回も視ていませんから、何をどう切り刻まれたのか分かりませんが、その記事では細かいシーンにまで言及していますので、恐らく日本で放映されたテレビドラマの最終回とCCTV版の内容がかなりかけ離れていたのでしょう。ちなみに日本のオリジナル版はネット上のダウンロードや海賊版DVDで視ることができますから、それを視ていた視聴者からの指摘なのでしょう。CCTV版の第21話を録画されてる方がいらっしゃれば、ぜひお借りして比較してみたいところです。

一方『ドラえもん』のほうは、"第二世代"と呼ばれる日本では6~7年前に放映されたシリーズです。
国策によりCCTVでも2年前からアニメ番組を中心に放送する"こどもチャンネル"を開設しました。ただ"総枠規制"があって外国製アニメが放送可能な時間帯は限られています。その一つが毎日20:00から30分間の『動漫世界 - Comic World』("動漫"は中国語で"アニメ"を意味します)という番組です。この番組の中で外国アニメを放映していくのですが、過去2年間で日本アニメが放映されたのはたった一つ、"新世代"の『鉄腕アトム』のみで、他はすべて欧米制作の作品でした。そして、ようやく日本作品第二弾『ドラえもん』の登場となったのです。
日本のアニメは100%お子様向けに作られているわけではありませんから、暴力的シーンやちょっぴりエッチなシーンなど非教育的なシーンがあるので、海外のテレビ局では放映に慎重にならざるを得ないのですが、世界的に高いレベルの日本のアニメがこれほどまで中国で正式に放映されていないことには、やはり何らかの意図を感じてしまいます。

さて、『ドラえもん』は数年前に大陸のローカルテレビ局で放映されたことがあるのですが、今回CCTVで放映されているシリーズは中国大陸初公開です。『白い巨塔』も台湾や香港では既に放映され、大陸では既にネットや海賊版DVDで視た人も多いのですが、やはい今回のCCTVでの放映が正式には中国大陸初登場です。
CCTVは1チャンネルや一部の人気番組を除き、都市部での視聴率は限りなくゼロに等しいテレビ局です。とりわけ、CCTV小児チャンネルの視聴率なんてほとんどいつも"米印"みたいなものです。とは言え、この時期に日本のテレビコンテンツがCCTVで放映された意義は大きいと思います。

話は変わりますが、張藝謀監督の映画『単騎千里を走る』を撮るきっかけになったとも言われる、高倉健さん主演の日本映画『君よ憤怒の河を渉れ』をようやく観ることができました(弊ブログ参照)。
1978年、文化大革命後の中国で初めて公開された外国映画で、中国都市部に住む現在40歳以上の方のほとんどが観たといわれています。張藝謀さんが惚れ込むだけあって健さんはかっこよかったですし、演技力も光っていました。
でもこの映画、驚くことにベッドシーン(正確には山小屋のワラの中でしたが)もありますし、中野良子(正確には影武者らしい)の非必然的なヌードシーンもありますし、新宿の繁華街を馬が駆け抜ける非現実的なシーンもありますし、西村晃演じる右系黒幕が「皇紀2635年の歴史と伝統を忘れて日本を社会主義化しようする不逞の輩に残らず思い知らせてやる」なんて言ってしまうシーンまであるのです。「資本主義社会の暗黒面を描いた映画」と言う名目だったとは言え、よくもこんな映画が公開されたなぁ、と思いました。

ところが調べてみますと1970年代の中国公開当時はやはり原作を尊重せず切り刻んでいたようなのです(参考サイト「結末は正反対!?"健さん"主演映画20年ぶりに再放映でビックリ 」by原口純子さん・Daily News Cafe)。ベッドシーンやヌードシーンは確実にカットされたでしょうし、ラストシーンなんかオリジナルと正反対の結末に再編集されていたらしいのです。
初公開から20年以上経った2000年になって、CCTVはほぼ無修正版の『君よ憤怒の河を渉れ』を放映したそうです。

CCTVで無修正版『白い巨塔』最終回が放映されるのは、20年後になってしまうのでしょうか.....。
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by pandanokuni | 2006-04-04 21:08 | ひまネタ
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