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日本におけるlivedoor叩き報道と中国における江沢民路線賞賛報道
こういうタイミングに限って日本に滞在することが多いので、私の日本の大衆メディアに対するある種の"偏見"が増長してしまうのかもしれませんね。4月末はJR西日本のスピード違反脱線転覆事故で、テレビや新聞は一色でした。そして今回は、どのチャンネルを選んでも、どの新聞を見ても、livedoorのことが大々的に取り上げられています。細かく分析したわけではありませんが、NHKと民放キー局の主なニュースを見る限り、報道の仕方に大きな違いは感じませんでした。私なりに整理しますと:

  • 「関係者の話では」という言い出しで、検察やlivedoor関係者からの、容疑を裏づける証言を紹介していますが、各チャンネルともほぼ同じ情報源、内容、論調です

  • 自民党の武部さん、竹中さんに対する責任を追及する声が、主として野党から噴き出している、と言う、政治がらみとなると何となく"客観的"報道

  • 例えば「近鉄球団買収やニッポン放送株の大量取得は、株価吊り上げのためのパフォーマンスだった」みたいな、恐らくその時点では、大衆メディアもそうみていたと思うし、国民の多くもそう感じていたと思うような事象を、"新事実"のように扱い、容疑者の倫理を批判し、視聴者のlivedoorや容疑者に対する心証を一層悪化させる報道

などなど。個人投資家などの"被害者"に、「前から胡散臭いと思ってませんでしたか」とか「そう思いつつ、便乗しようと思いませんでしたか」などとは、少なくともテレビ・ニュースではインタビューしないことになっているようですね。

次会計年度の売上や利益を当会計年度に付け替えるような操作は、多くの企業が経験しているのではないでしょうか?自分の会社ではやっていなくとも、取引先から契約書や請求書の日付を変えてくれと頼まれた経験をお持ちの方は、少なからずいらっしゃるのではないのでしょうか?こうした操作が"粉飾決算"を構成するのは確かでしょう。本来であれば、あらゆる企業がこうした不正操作を行わないことが理想であることも確かです。
ただ、民放のニュース番組を見ている限り、こうした話も大きく取り上げて、「酷いことをしている」とコメントしていたりします。そんな正義感の強いテレビ局のひとつに、かつて私は何度も請求書の日付変更を頼み込まれたことがあるのですけど。

報道量、内容、論調が、どのテレビ局でも似たようなものになっていることが、国民の知る権利を満たすため、視聴者を獲得するため、商業メディアとして公正な市場競争に打ち勝つため、だと言えば、その通りなのかもしれませんが....

「ぺきん日記」というブログですから、中国にも目を向けようと思います。数日北京を離れている間に、ちょっと胡散臭い状況になっているようで心配です。
すごく単純化してしまえば、「政変の可能性が増している」と言えなくもありません。

一つの事件は、中国共産党青年団の機関紙でもある全国紙「中国青年報」の別刷り版である「週刊氷点」が発行停止になったことです((25日共同通信)
センセーショナル報道で部数を伸ばしてきた「新京報」の編集長らが"配置換え"になったのですが、「週刊氷点」の発行停止は、ちょっと別の意味を持っているように思います。前述の通り本紙「中国青年報」は、胡錦濤さんの出身母体ともいえる共産党青年団の機関紙ですから、国家主席である胡錦濤さんの影響力が大きいはずなのです。発行停止の直接の理由は、義和団事件の従来の共産党的"歴史的評価"に異を唱えたから、だったようですが、「週刊氷点」の編集方針が胡錦濤さんの意に沿ったものだという前提に立つなら、胡錦濤さんへの処分とも言えなくは無いのです。
ちなみに李大同・編集長は、「発行停止は共産党中央宣伝部によるものだ」とする文章を中国国外のメディアを通じて発表していますが(Yahoo! News Hong Kong)、「中国青年報」は中央宣伝部の治外法権的な意識が、かつてはあったように思っています。

もう一つは、対台湾政策に対する前指導者の方針「江八点」が、現指導者の方針「胡四点」よりも、メディアに大々的に取り上げられている、と言う状況です。
「江八点」は江沢民さんが1995年に発表した台湾問題の解決方針八項目を指します。1月30日に発表"11周年"になることはなるのですが。"10周年"じゃありませんから...
一方の「胡四点」は、胡錦濤さんが2003年に「江八点」を発展させた形で主張した方針です。ことし1月12日に台湾の対岸である福建省を訪問した際に"重要講話"として強調し、中国国内メディアもリマインド報道を行っていました。香港・台湾のメディアは、胡錦濤さんの福建省視察と"重要講話”により、対台湾政策においても江沢民さんの影響力が削がれ名実共に胡錦濤さんが音頭を取ることになる、と言うような論調で報道していました。
ところが1月19日、平和統一を目指す台湾の民主自治同盟・林中央主席の「江八点」を手放しで褒める新年会での演説を、新華社が報道すると、事態は変わっていきます。
人民日報で「江八点」"11周年"記念のコラムが始まったり、"11周年"記念座談会開催のニュースを新華社が大きく配信したり、「胡四点」はどっかに吹っ飛んでしまった感じです。
春節を控えたこの時期は、台湾同胞の帰省などもあり、何かと台湾絡みの話題が中国のメディアを賑わすのですが、中国政府の対台湾政策に関するニュースを検索サイトで拾って見ますと、見出しだけ比べても1月20日以降本日まで「江八点」のほうが、「胡四点」を圧倒しています.....

江沢民さんの下(しも)の病気の悪化などの情報もあり、胡錦濤さんの政権掌握が確実に進んでいると読んでいた中国国外メディアが大勢ではないかと思うのですが、上述二つの出来事だけ見ても胡錦濤さんは、相変わらずいろんな勢力と綱引きをしているのではないかなぁ、と伺えてしまいますね。
私の推測ですが、江沢民さんご自身はだいぶヨレヨレになっているので、彼を担ぐ勢力(まぁ人民解放軍と言うことになるのでしょうが)が、胡錦濤さん率いる指導部と張り合っているのでしょう。昨年春あたりから北京では、数回にわたって軍部(地方軍区の一部若手将校という話ですが)による中南海制圧の噂が流れているようですし....胡錦濤さんもいろいろ苦労しているのでしょうけど、ここ最近のメディア絡みの動きは、もしかしたら"黄色信号"かもしれません。

こうして中国では、ある勢力によってメディアが横並びの報道をする場合があるわけです。体制がまったく違うことを認めたうえでも、なんとなく日本の大衆メディアの報道も"結果として"は似てしまっているように、私には思えたりします。
まぁ、これは心配し過ぎで、単純に「江八点」のほうが「胡四点」より中身が濃かったから、報道価値が大きくて、改めて大きく取り上げられただけなのかもしれませんけど....
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by pandanokuni | 2006-01-28 02:41 | 社会ネタ
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