メディアも栄枯盛衰、センセーショナルな「新京報」と火消し役「北京青年報」。
去年のいま頃まで北京で新聞広告を掲載する場合、「北京晩報」というタブロイド版の夕刊紙と「北京青年報」という共産党青年同盟のブランケット版機関紙の2紙はハズせない感じでした。東京で言えば、「読売新聞」と「朝日新聞」みたいなものです。北京だけでも主要ローカル新聞が6~7ありますから、ご予算に余裕があれば「産経新聞」や「毎日新聞」もとい「北京晨報」や「京華時報」にも広告を出しましょう、となります。

ところが、いまでは「北京青年報」に広告を出したいとクライアントがおっしゃっても、よほどの理由が無い限り、別の新聞をお勧めしてしまいます。
「北京青年報」の広告収入は今年に入って激減しているらしく、業界の噂では前年比の10~20%(ダウンではありません。去年の80%~90%ダウンということです)らしい。「北京青年報」の発行元は昨年末に上場を果たしたのですが、読者離れが進み実売部数がどんどん落ちてしまい、広告メディアとしての価値が激減してしまいました。それで収入も大幅に落ち込んでいるのです(「没落"貴族"北京青年報」についてはWorld Media Lab中国語版(11/15)もご参照ください)。

いまは中国でも、センセーショナルな記事が掲載される新聞ほど読者を増やしています。中国の報道はすべて統制下にあって、当局からのメッセージしか掲載されない、と思ってらっしゃる日本人も多いかもしれませんが、最近はスゴク政治絡みの内容でも無い限り、各紙競って特ダネを探して掲載しています。
いっぽうで胡錦濤さんの出身母体である青年同盟系の機関誌である「北京青年報」、他紙がセンセーショナルな記事を出して、人民が盛り上がってしまったときの"火消し役"みたいな任務を負わされるようになってしまい、センセーショナルな記事はほとんど掲載されなくなりました。

「北京青年報」に代わって頭角を現してきたのが「新京報」というやはりタブロイド版です。「北京晩報」や「北京日報」と同じ系列の発行元で、一般庶民が興味を持つ社会ネタ中心の、創刊して2年もたたない新しい新聞です。北京ではこの「新京報」が一般庶民ウケする、センセーショナル報道の第一人者でしょう。

「警察発表」などあまり行わない北京で、例えばバスの中でひとりの少女が乗務員に絞め殺されたという「三面記事」的事件を追跡して、取り上げたりもしています。(pinpinさんの「遠走高飛」に詳細)
吉林省の化学工場爆発で、アムール川(松花江)が汚染されハルピン(哈爾濵)で水道がストップしたあたりの話も、先週まで北京では「新京報」がかなり大きく取り上げたりしていました。
反日運動やビールのホルムアルデヒド問題などのときも、世論を盛り上げるのは北京なら「新京報」などの"センセーショナル・メディア"です。そして「北京青年報」などの国家指導者に近いメディアが、他紙の潮流に水を差すような報道をして"火消し"するのです。
例えば「新京報」のアムール川報道も、先週末温家宝さんが現地視察して、つまりコトが公になってからは、どの新聞でも読める"つまらない"記事になってしまいました。

また、「北京青年報」などの機関紙は"宅配"中心で、政府機関や国営企業を中心とした職場で購読する割合が高く、新興の新聞の攻勢にタカをくくっていたフシがあります。「新京報」などの新興センセーショナル新聞は、街中でよく見かけるマガジンスタンド(KIOSK)を中心に販売攻勢を仕掛けました。見本紙をオフィス街で無料配布したり、ときには豪華景品で釣ったり(日本の新聞社ほど景品にお金はかけていないようですが)、販売部数を伸ばすために、あの手この手でプロモーションを行っています。

そんなわけで「北京青年報」は読者と広告収入を失い、「新京報」が読者の支持と広告収入を拡大しています。
読者層が違うんじゃないの?北京の若者インテリ層は「北京青年報」でしょ、と思われる方もいらっしゃるでしょうが、意外とそうではないことを付け加えておきましょう。
もともと北京の若者インテリ層が「北京青年報」を愛読していたか、というとそうではないのです。90年代前半ならわかりませんが....
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by pandanokuni | 2005-11-28 19:59 | 社会ネタ
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