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ライスさんが居たので、警官が多かった。そして、日本は孤立する....
北京市内、空港からCBDにかけて市街地北東部では、きのうから今日にかけて、たくさんの警官が目に付きました。地方から出てきそうなデモ隊を追い払うために警察や公安を配置する場合は、各ポイントにバス単位で数十人ごと盾などで武装した体育会系治安部隊が配置されるのですが、今回は各ポイントに数人単位で目立った武装はしておらず、どちらかと言うとスマートな配置ですから、これは明らかにアメリカのライス国務長官向けの警備なのでしょう。

一泊二日の強行日程にも拘らず、中国ではオリンピックのゴールドメダリスト3人が出迎えたり、外務大臣だけではなく、胡錦濤さんや温家宝さんも時間を割いたりして、"熱烈な"歓迎ぶりです。現地メディアも大々的に取り上げていて(つまり政府当局が音頭取りをしているわけですが)、共同記者会見まで準備されています。

アメリカとしては、北朝鮮を説き伏せる役目を何とか中国に委ねたいと考えているので、北朝鮮問題でもっと中国に頑張って欲しい。中国にすれば、北朝鮮問題は厄介なことです。北朝鮮は、なかなか言うことを聞かない"駄々っ子"みたいなものですし、力づくで抑え込むわけにもいかない友好国でもあります。とは言え、ここで一肌脱いでおけば、アメリカに恩を売ることはできるし、東アジアでの発言力も一層増すはず。アメリカの強気の要請には、「だったら、二国間協議も考えれば」などとカウンターパンチを用意しつつも、まんざら悪い気はしなかったのではないでしょうか。中国の外務大臣の中国訪問も発表されるなど、ライスさん訪問国としては、少なくとも日本よりはいい感じです。

このあたり、アメリカの外交のうまさと言うか、日本の外交下手さ加減が浮き彫りになっています。ライスさんの訪日を前に、アメリカ政府は毎年のように国連人権委員会に提出していた中国の人権抑圧非難決議案の提出を見送ると発表しています。また、先週中国の全人代で「反国家分裂法」が議決されたときも、アメリカ政府は極めて抑えた反応でした。こうした地ならしをしておいて、北朝鮮のことに的を絞って、中国側の協力をこぎつけたい、という戦略がみえます。

日本はどうでしょう。
6カ国協議の当事国との関係だけをみても、中国からの"ラブコール"(全人代終了時の温家宝さんの発言)が始まったにも拘らず、"歴史問題"の解決に向けて未だ打つ手無し(官房長官曰く「中国側の真意を慎重に調査したい」)。せっかくの韓流ブームも「竹島」問題の火に油を注ぐような状況で、韓国との関係も危うくなっています。ロシアにしても、北方領土問題で妥協するのかしないのか国内世論をまとめきれず、相手国の顰蹙を買っている状況です。蜜月関係だったはずのアメリカとも、牛肉輸入再開問題で政府内の意見調整がつけられず、アメリカの堪忍袋の緒も切れ掛かっています。そんな中、なぜか北朝鮮に対しては、いわゆる"弱腰外交"と言えるような譲歩が続いています。
韓国は北朝鮮に接近し、アメリカは中国に接近し、日本だけがどんどん孤立していくような感じです。日本政府の外交的リーダーシップの欠如が大きな要因なのでは無いでしょうか。

そう言えば、今年は第二次世界大戦(或いは太平洋戦争、或いは日中戦争)終戦60周年にあたりますが、中国もロシアもアメリカも、またある意味で韓国も北朝鮮も、日本を敵として戦った国であり、あの戦争の戦勝国でもあります。その後、いろんな同盟や戦争の組み合わせはあったのですが、60年経って再び日本が包囲されているような感じすらします。
日本がこの先、東アジアで、国際社会で、どのような立場でどう振舞っていくのか、いまが正念場ではないでしょうか。
by pandanokuni | 2005-03-21 17:14 | 政治ネタ
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