北側国土交通相と阿南大使ののメンツが潰された『日中観光の夜』
日本政府でもようやく海外からの観光客誘致のために重い腰を上げました。国土交通省が音頭をとり、政府関連の独立法人や旅行関係の民間企業を巻き込んだ"Visit Japan -YOKOSO! JAPAN-"キャンペーンがそれです。どこから観光客を呼ぼうとしているのか、と言うと、まずは韓国、次に中国らしいのです。ヨーロッパやアメリカよりも、中国から日本への観光客に期待を抱いているのです。
もちろん、韓国や中国は日本と距離が近いですし、何と言っても中国は人口が多く、お金持ちもたくさん居るわけで、中国人がたくさん日本に観光に来てお金を落としてくれれば、日本経済としてもありがたいのです。ですから、国土交通省は国家予算で韓国や中国で、日本の観光PRを行っています。

ところが中国人が日本に行くためにはVISAが必要です。商用で行く場合は、相手先日本企業のインビテーションなどがあれば何とか短期VISAがもらえるのですが、観光目的で行く場合は、指定旅行会社によるパッケージツアーを使わなければならず、しかも北京市、上海市などの大都市や、遼寧省、山東省、浙江省、広東省など一部の地区の"戸籍"を持った中国人で無ければVISAが取得できません。これは不法滞在による労働市場の中国人化や犯罪の増加を恐れる法務省を中心とする日本政府の政策によるものです。
つまり、同じ日本の政府なのに、国土交通省は『日本に観光に来てください』と言ってるし、法務省は『中国人にあまり日本に来てもらっては困る』と考えている状態なのです。

北側国土交通大臣が、"日本への観光誘致のため(!?)"中国を訪れています。北京、上海、広州を回って、中国政府の観光局にあたる"旅游局"や有力な旅行会社などに観光日本の売込みをするわけです。そのスケジュールには、北側"大臣主催"の『日中観光の夜』と銘打った晩餐会が含まれています。北京では今夜市内のホテルで開催されました。
北側さんや日本から同行してきた旅行関係の民間企業の"お偉方"と、中国の政府、旅行関係者との交流会で、"観光日本"を売り込むためのメイン・イベントです。そもそも相手国の中国で、日本の大臣が相手国をもてなすわけですから、外交慣習上ヘンと言えばヘンな感じがします。でも、日本を"売り込み"に来たわけですから、それもいいでしょう。

中国側の主賓としては、中国国家旅游局の局長が招かれていました。国家旅游局は日本で言うと「省」よりやや格下の「庁」みたいなものでしょうか。それでもここのトップは「大臣」級と言えるでしょう。日本の大臣が中国の大臣をもてなすと言うわけです。
ところが、直前になって国家旅游局局長はドタキャンしてしまって、晩餐会に姿を現しません。日本の大臣のカウンターパートナーとして、中国を代表して挨拶に立ったのは、副局長よりなお格下の「司長」さんでした。「司長」は日本の中央官庁で言うと「局長級」と言う感じでしょうか。さらに、出席予定の準主賓である北京市旅游局局長も姿を現さず、副局長が代理で参加していました。
日本のほうから"売り込み"に来たわけですから百歩譲ったとしても、"正式な"外交現場であれば"非礼"を通り越して"国辱"とも言える中国側の対応と言えるでしょう。日本側は阿南大使も出席したわけですから、中国側の対応は"意図的"としか言いようがありません。さらに、日本政府挙げての"売り込み"を中国人民に伝えてもらうと期待して招待していた中国の主要マスメディアもほとんど取材に来ていませんでした。これでは北側さんと阿南さんとメンツは丸潰れです。


この晩餐会の前に、実は北側さんはその国家旅游局局長と会っています。また呉儀副首相と面談し、「愛・地球博」へ温家宝首相を招待したそうですが、首相の訪日は難しい、と告げられ、小泉さんの靖国神社参拝の話まで、持ち出されたようです((毎日Web))。
関係者の中では、今回北側さんの招待を国家旅游局局長がドタキャンした理由について、台湾の人へのVISA"差別"問題があると考えられています。「愛・地球博」の開催期間中、エリアを限定せず中国人の観光VISAの申請を認めます、と提案したそうですが、それでも台湾の人との扱いに格差が生じます。台湾の人はこの期間中、VISA無しで日本を訪問できることになりますし、VISA無し訪日の"特例"期間はなし崩し的に延長される見込みです。中国政府としては「一つの中国」ですから、"差別"扱いは受け入れ難いでしょう。少なくとも、中国政府は日本人のVISA無し中国入国を認めていますから、日本に対して多いに"譲歩"しているとも言えるのです。
もちろん、靖国問題も影響しているのでしょうけど....

それにしても、「観光キャンペーン」と言う、どちらかと言うと"お祭り"的イベントにまで、政府間交流になるとここまで中国側が頑なな態度に出る、と言うことは、北京でビジネスをしている日本人にとって"危機的状況"に突入した、と思えてしまいます。中国政府の態度を「大人気無い」と思っても何も解決しないでしょう。むしろ態度が徹底している、と受け取ったほうが良さそうです。『政冷経熱』と言われてきた日中関係ですが、このままでは経済まで冷めていってしまうような気がしてしまいます。

中国側の態度は、「非礼」以外の何物とも言い難いのですが、こうした中国の現状を分析せずに、大臣を訪中させて恥をかかせてしまった日本政府の官僚たちも反省すべきです。中国側に相手にされず、大臣と大使が二人並んでコソコソ話し込んでいる姿を見るのは、日本国民として、まさに屈辱と言えるでしょう。
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by pandanokuni | 2005-01-19 00:28 | 政治ネタ
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